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2019年4月29日月曜日

鈴木常彦先生の「共用レンタルサーバにおけるメールの窃盗」の話を聴講した

4月23日(火)に開催された 「#ssmjp 2019/04 ~DNSの話を聞く会~」に「Outputなら任せてください枠」で参加しましたので、講演内容からとくにやばい(?)内容と思われる@tss_ontap(鈴木常彦=浸透言うな先生)の「黒塗りの DNS (萎縮編)」から、「共用レンタルサーバにおけるメールの窃盗」について紹介します。スライドは公開されています

サマリ

レンタルサーバーからメールを送信する場合、悪意の第三者に、特定のドメインに対するメールを横取りされるリスクがある

攻撃手法


  • 攻撃者は、レンタルサーバーを契約(お試しなどでも可能)して、攻撃対象のドメイン名(ここではchukyo-u.ac.jp…中京大学のドメイン名を用いる)を登録する
  • その際に、当該ドメイン名の権利を有している必要はない(権利があれば正当にメールを受信できるので攻撃の必要がない)
  • これだけ

なぜメールが横取りされるか?

一般にメール送信する場合、サーバー内に送信先ドメインがある場合、そちらを優先して配送する。レンタルサーバー内に攻撃対象のドメイン名(ここではchukyo-u.ac.jp)がメール設定されていると、メール配送の際にDNSを参照することなく、無条件に(ローカル内で)当該のメールボックスにメールを配送してしまう。このchukyo-u.ac.jpのメールボックスは、実際には正規のドメイン名登録者ではなく、悪意の第三者が登録したものなので、メールは悪意の第三者が横取りできることになる。

FAQ

Q1: レンタルサーバー契約時にドメイン名の権利は確認されないのか?
A1: 多くの場合権利確認はないそうですし、まぁ難しそうですね

Q2: レンサバ側でDNS権威サーバーやwhoisとか参照しないのか?
A2: 前述の通り、ローカル配送の際にはDNSやwhoisは参照しません

Q3: ドメイン名の権利者ができる対策はあるか?
A3: すべてのレンタルサーバーに契約すれば防げますが現実的ではありせん

Q4: メール送信者(レンタルサーバー利用者)ができる対策はあるか?
A4: メール以外の方法で「メール送ったよ、届いていないときは連絡して!」とメッセージするとか…というのは冗談で、メール送信者側にとれる対策はなさそうです

Q5: DNS関係ないじゃん
A5: はい。DNSとは無関係の問題ですが、近隣のテーマだとは思います

2019年4月17日水曜日

WordPressのプラグインVisual CSS Style Editorに権限昇格の脆弱性

最近WordPressのプラグインのアップデート状況を監視しているのですが、Visual CSS Style Editor(別名Yellow pencil visual theme customizer)が公開停止になり、しばらくたって公開が再開されていました。これは、掲題のように権限昇格の脆弱性があったので公開停止になり、修正版が出たことにより公開再開したものです。WordPressのプラグインではよく見る光景です。

注: 公開停止になったまま再開しないプラグインも珍しくありません。最近では、typesgoogle-maps-buildersimple-share-buttons-adderyuzo-related-post等の人気プラグインが公開停止になりましたが、本稿執筆時点で再開していません。

脆弱性の概要

脆弱性のあるバージョン: 7.1.9以前
脆弱性の種類: 権限昇格
脆弱性による直接の影響: 外部からWordPressの設定をログインなしに変更できる
典型的な攻撃手法: 外部から勝手に管理者ユーザーを登録することで管理者になれる
対策: 最新版(本稿執筆時点では7.2.1)にアップデートする

上記は、以前紹介したWP GDPR Complianceの脆弱性CVE-2018-19207と攻撃手法や影響は似ています。PoC(概念実証コード)は公開されていますが、影響が大きいので紹介はしません。私が逮捕されても困りますしね…

原因

複数の問題が組み合わさって攻撃が可能になっていますが、とくに、yp_remote_get_first()関数内で、特定のGETパラメータを指定すると一時的に管理者になる(厳密にはid=1のユーザになる)機能が実装されていることが原因のようです。この機能の意図はよくわかりませんが、表面上は開発者が仕込んだバックドアのように見えます。以下は7.1.9から7.2.0への差分です。当該箇所は、修正版では単に削除されています。



対策

Visual CSS Style Editorプラグインの7.2.0で改修されています。本稿執筆時点の最新版は7.2.1です。最新版の導入を推奨します。
当脆弱性の攻撃のうち、管理者ユーザーを勝手に作成される経路については、WordPressのログイン機能 wp-login.php のURLを変更し、隠すことで緩和策になります。

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