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夢見月夜曲 http://yumemizukiyakyoku.blog.fc2.com/

日高千湖のオリジナルBL小説ブログです♪『薄き袂に宿る月影』はこちらへ移動しております。

日高千湖
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2014/02/17

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  • さやさやと流るるが如く・94

    叶多が意識を取り戻した。だが、俺に連絡はない。何とか面会が出来ないかと菜那美に頼んでみたが、向こうの看護師から良い返事はもらえなかった。病院内で異動があり叶多の病状が全く伝わってこなくなったのだ。叶多は意識は戻ったが、自由に歩き回れる状態ではないという。スマホも操作出来ないくらいの悪い状態なのだろうか。それとも母親の寿美子に止められているのか。意識が戻っただけでも喜ぶべき事なのだが、蚊帳の外に置...

  • さやさやと流るるが如く・93

    事件から2か月が経った。叶多の意識は戻らないままだと聞く。江原寿美子は朝から晩まで叶多の傍で過ごし、俺は一度も面会出来ないままだった。たまに寿美子がいない日もあるようだが、チャンスには恵まれていない。俺も一日中病院に張り付いているわけにもいかないからな。 甥が叔母を襲って従兄弟をメッタ刺しにするというショッキングな事件にマスコミの取材合戦は過熱していたが、2ヵ月も経つと事件の事などすっかり忘れて...

  • さやさやと流るるが如く・92

    やられた。報道によれば、江原寿美子は重傷とはいえ叶多ほどは傷も多くなく症状も重くはない。回復した彼女は看護師たちから俺が見舞いに来る事を知り転院を決めたのだ。「そんな顔すんなよ、欧介」弓川はビール瓶を持ってカウンターに移動してきた。ドアを開けた瞬間の俺の顔があまりにも悲惨だったので、「見るに見かねて」今夜は臨時休業にするそうだ。弓川はタンと置いたグラスにビールを注ぎ分けて、一つは俺の前に置いた。...

  • 三度の飯より君が好き。~『春の夜の夢の浮橋』番外編

    ★去年の7月19日から9月20日までの二ヶ月、熱い戦いがございました。お忘れかもしれませんけど!!(忘れさせてるのは日高?)投票所を設けまして、皆さまには推しに熱い一票を投じて頂きました。そこで第一位となりました山下明利のSSとなります。←今頃かよ!忘れていたわけじゃないんですよ?日高のペースがトロいからですwwすみませんです。頑張りますので、応援してやってくださいませっ(汗)一年越しとなってしまいま...

  • さやさやと流るるが如く・91

    追い出されるように病院を出て、辺りを見回したが北岡の姿は見つけることが出来なかった。 北岡たちが病院長に手を回して叶多に会わせてくれた事には感謝しかない。北岡には一言お礼を言いたかったが相手はヤクザだ。偶然、余所で会ったとしても他人のふりをするべき人だ。これと引き換えに何か要求されたとしても、こんなチャンスがあれば俺はOKするだろう。ただ、こういうラッキーは一度きりなのだ。 翌日も叶多には面会出...

  • さやさやと流るるが如く・90

    翌日も叶多に会う事は出来なかった。翌日も、翌日も、叶多に会う事は出来なかった。3日連続で面会を断られた挙句に、「何度来られても面会は出来ませんから!」と厳しい口調で言われてしまってさすがにへこんだ。仕方なくナースセンターの前から叶多の

  • さやさやと流るるが如く・89

    翌日、俺は宇宙人を抱えて病院へ向かった。叶多のベッドの枕元に置いてもらおうと思ったからだ。集中治療室を出られたのだから、ぬいぐるみくらい置けると思ったのだ。「お前も叶多の近くにいたいだろう?叶多が目を覚ました時にお前がいたら喜ぶと思うんだよな」宇宙人は俺の代わりだ。 ひょうきん者の宇宙人は意外と目立って、電車の中では視線を感じたが気にしない。叶多が目を覚ました時にこれを見れば、すぐに俺を呼んでく...

  • さやさやと流るるが如く・88

    背中に張り付いて泣く菜那美の太い腕をポンと叩いた。「おい、放せ。俺が窒息する」「失礼ね!」「お前が激突したから、マジで首が痛いんだよ。バーカ」「ホント、素直じゃないんだからっ!」「悪かったな」「泣きたい時は泣きなよ」菜那美は背中で泣き始めた。グズグズと鼻を啜りながら俺に向かって「バカ、バカ」と繰り返す。菜那美と叶多は仲が良かった。叶多は気難しい所もあるし厳しい事も言うが、元来優しい。人の痛みを知...

  • さやさやと流るるが如く・87

    翌日、弓川と菜那美を連れて聖洋病院へと向かった。前日から服装は地味にしろと言っておいたのに、菜那美は嫌味のように黄色いミニスカートに派手な蛍光グリーンのジャンパーを着て俺を迎えに来た。マンションの前で菜那美を怒鳴り、ミニスカートをジーンズに派手なジャンパーを黒いジャンパーに変えさせるだけで30分かかり、電車に乗る頃の俺は不機嫌の塊だった。「一秒でも早く病院に着きたいのに、手間を取らせやがって」「...

  • さやさやと流るるが如く・86

    雨は本降りになっていた。病院を出るとすっかり暗くなっていた。叶多が運ばれたのは集中治療室で、俺たちは長時間病院に留まる事は出来ず追い出されてしまった。 寿美子も重傷だが意識はある。病棟に運ばれた彼女の様子を張本さんが見に行ったが、眠っていて話しをすることは出来なかった。ここへ運ばれた時、寿美子は意識がなかったが治療が終わり意識が戻ると興奮状態になり息子の名前を呼び続けたそうだ。寿美子の受けたショ...

  • さやさやと流るるが如く・85

    待合室の窓の向こうは中庭だ。ホテルの傷害事件の被害者は、全員この病院へ運ばれたようだ。救急のフロアはずっとバタバタしているし、待合室には被害者の家族やホテル関係者が続々と詰め掛けて来ている。 それ程広くない中庭に植えられた木々が雨に濡れていた。降り続く雨を恨めしく思いながら、俺は漏れ聞こえてくる家族たちの会話に聞き耳を立てていた。何か情報が得られないかと思って。どうしてうちの子が、と泣き崩れる母...

  • さやさやと流るるが如く・84

    渋谷ワールドホテルの丸いビルがはっきりと見えてきた。警察の警戒網が解かれ車の流れもスムーズになり、鈍色の空からはポツポツと雨が降り始めていた。叶多に会ったら傘を買おう。ビニール傘じゃなくてちゃんとしたやつ。お揃いがいい。オーダーしてもいい。一生物の良いのを買おう。「もうすぐだぞ」運転している張本さんの声も表情も厳しい。「はい」叶多には電話を掛け続けていたが出ない。留守電には『渋谷ワールドホテルま...

  • さやさやと流るるが如く・83

    張本さんと一緒に近所の喫茶店で昼食を食べた。食後のコーヒーを飲みながら、張本さんは新聞を広げ俺はボンヤリと外を眺めている。徐々に雲の動きが早くなり風が出て来た。雨が降りそうだった。「一雨来そうだな」「傘、持ってない」「珍しいな。お前、カバンには折り畳み傘を入れていただろう?」「そうなんですけど。今日はこのとおり手ぶらなんで」両手を上げて見せると、張本さんは「そういえば、お前はサラリーマンじゃなく...

  • さやさやと流るるが如く・82

    叶多は朝早くから出て行った。俺は一緒に行くと言ったが、そこは家族の問題だからと軽く断られた。俺は張本さんに言われていたように、すでに新会社で働いているデザイナーの大磯さんの手伝いをしに行った。手伝いといっても備品をチェックしてリストを作ったり、大磯さんの荷物を整理したり、その程度。叶多からの連絡を待ちながら事務所で過ごし、一緒に帰宅した。「川西組の件、終わったよ」「そうか」川西組の北岡をホテルに...

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