★★★★☆
あらすじ
町の有力者が惨殺された事件を捜査する刑事は、容疑者となった愛人の魅力に引き込まれていく。
原題は「Basic Instinct」。123分。
感想
刑事である主人公が、妖艶な容疑者女性の魅力に翻弄される物語だ。序盤はシャロン・ストーン演じる容疑者のセクシーな魅力でグイグイと引っ張っていく。有名なミニスカートで脚を組み替える取り調べシーンもかなり早い段階である。
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彼女は、被害者との関係を聞かれて恋人ではなく体だけの関係だと平然と言い放ったり、性的な話題をあけすけに語ったりと堂々としている。そんな彼女の態度に主人公をはじめ男性陣は興味津々ながらもどこかで怯えており、それがこのサスペンスの核となっている。
彼女のような女性を男は恐れて敬遠しがちだが、むしろ歓迎すべきような気もする。女性が慎ましくしていたら男はその分頑張らないといけないが、彼女のようであれば女性の分まで頑張る必要はなくなる。それに意思表示も明確だから、頑張りすぎて無理強いしたり誤解したりすることも無くなるはずだ。
相手が気持ちをはっきりと伝えてくれるわけだから、話が早くなって男にとってもメリットばかりだが、それでも拒絶反応を示す人が多いのは、男は常に可能性があると思っていたいからなのかもしれない。根底には、はっきりと断られて傷つきたくない、という男らしくない理由がありそうだ。
心の問題を抱えていた主人公は、容疑者の巧みな誘惑に抗えず、とうとう関係を持ってしまう。まさに飛んで火にいる夏の虫だったが、もう行ったれ、みたいなヤケクソぶりはちょっと面白かった。
だが新たな容疑者が浮かび上がってきたこともあり、ここから話は取っ散らかり出す。登場人物が多いのもネックになっていて、何人もの名前が飛び交うセリフに、誰が誰だか分からなくなって混乱してしまった。終盤は停滞感があった。
やがて真相が明らかになってエンディングを迎える。これまで何度かやっていた殺人を仄めかす動きをここでもやり始めて、何度もしつこいな、もう分かったからと苦笑していたのだが、最後のどんでん返し的なショットで一気に引き締まった。見終わった後に、あれはこういうことだったのか?等と色々と反芻してしまう映画だ。
性的な描写の多いいわゆる大人の映画だが、今では大人すら大人の映画よりもアニメ映画を選ぶ時代なので、こんな映画がヒットすることはもう無いのかもしれないなと思ったりした。また時代が変わってくれば、あるのかもしれないが、そんな時代はやってくるのだろうか。
スタッフ/キャスト
監督 ポール・バーホーベン
脚本 ジョー・エスターハス
出演 マイケル・ダグラス/シャロン・ストーン/ジョージ・ズンザ/ジーン・トリプルホーン/レイラニ・サレル/チェルシー・ロス/ダニエル・フォン・バーゲン/ドロシー・マローン/ウェイン・ナイト/スティーヴン・トボロウスキー/ジェームズ・レブホーン/ミッチ・ピレッジ
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
撮影 ヤン・デ・ボン
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