内容紹介
★そのリスキリングは未来を変えてくれますか?★AI時代、企業に新たな価値をもたらすスキルとは
本書のテーマはビジネスパーソンの「リスキリング」にありますが、それは手段の一つであり、著者の思いはタイトルにある「逆転」に込められています。
「逆転」には3つの意味があります。
1つ目は、「失われた30年」といわれ、負け続けている日本経済を「逆転」させる意味です。本書の前半は時代を読み解くことにページを割き、未来に向けてどのような考え方をしていけばよいのか、著者の分析が冴えています。AIをはじめとするテクノロジーが時代を変えていくといわれていますが、実は変化は人の側にも起きていて、その変化をつかむことで、未来への一手が見えてくるというのです。
現在、多くの企業で行われているリスキリングは、長い目で見れば少しずれていて、AIをはじめ、ますますテクノロジーが進化する時代、「人はメタスキルを身につけるべきだ」と著者は説いています。
「メタスキル」の特徴の一つは、生涯にわたって学び続けることにあります。すべての世代が身につけるべきスキルですが、短期的に見れば、メタスキルの習得には人生経験豊富な方が有利で、成熟世代にアドバンテージがあるというのです。
ここに、日本のチャンスがあります。成熟世代の多くは50代60代であり、「パフォーマンスと給与が見合わないお荷物世代」と経営側から見られてきましたが、著者によれば、企業に新たな価値をもたらす可能性が最も高い世代です。
2つ目の「逆転」はHR部門目線で、成熟世代は扱いづらいと認識していたが、実は、AI時代に新たな価値をもたらす人々であるという意味です。3つ目は当の成熟世代目線で、本書に書いていることに目を向けてもらえれば、失いかけた自信を取り戻し、将来に向けて明るい道を切り開けるという意味になります。
本書の想定読者は3つの「逆転」の当事者、つまり、経営者、HR部門、成熟世代です。日本社会が置かれている現状を直視すれば、これまでにない新たな考え方が必要です。人口減少社会で自社の未来を悲観しているなら、一度、著者の考え方に触れてほしい。本書では考え方だけでなく、そのための方法論として、AI時代に必要とされる「メタスキル」の習得方法についても具体的に解説しています。
時代の変曲点にいる今、経営者、HR部門、成熟世代にとって、検討する価値のある一つの考え方がここに提示されたのではないかと思います。
<目次>
第1章 混迷する世界の背景にある「時代の移り変わり」
1-1 カオス化する世界
1-2 技術統合時代の終焉
1-3 成長志向の終焉へ
第2章 これからのビジネスパーソンに求められる能力
2-1 時代の移り変わりを踏まえた未来
2-2 AI時代に適応した6つの人材像
2-3 AIにはできない人間の中核的な能力
第3章 メタスキルとサードエイジ
3-1 未来に求められる能力「メタスキル」
3-2 メタスキル人材に有利な「サードエイジ」
4章 日本企業の逆転戦略第
4-1 日本企業の現状
4-2 弱みを強みに変える戦略
4-3 人材戦略をビジネス視点で検証
第5章 メタスキルを身につける「CRAFTメソッド」
5-1 CRAFTメソッドとは
5-2 CREATIVITY/「創造性拡張」を可能にする能力
5-3 RAPID RAPPORT/「迅速な信頼関係構築」を習得する能力
5-4 AGILITY & ADAPTABILITY/「未知領域の探索」を習得する能力
5-5 FUTURE FORESIGHT/「未来予測」を可能にする能力
5-6 TACKING COMPLEXITY/「複雑性への対処」を可能にする能力
第6章 サードエイジが自分らしく目的を再設定する「リパーパス」
6-1 人事部門とサードエイジが共に考えること
6-2 ステップ1「パーソナルストーリー」で価値観を知る
6-3 ステップ2「生きがいメソッド」で自分らしさを知る
6-4 ステップ3「スラッシュキャリア」を使って新たな領域をプラスする
6-5 ステップ4「アクションプラン」でやることを明確にする
6-6 高い主体性を持つ
エピローグ