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新しいメキシコガイド本に寄せる、現在進行形サウンドトラック

メキシコで暮らすライターの長屋美保さんが選ぶ、現在進行形のメキシカンミュージック。

text: BRUTUS

メキシコは、多くの日本人にとっては、いくつかの先入観がある遠い国に映っていることだろう。しかしながら、この本を読めば、新しい窓が開けたような感覚になる。モダンなガストロノミーや、デザイン会社による書店、空中に浮かぶ本棚のある図書館……進化する“生きたメキシコ”に出会える。一方で伝統も息づく町であり、その両方の魅力が詰まった都市空間であることがこの本を通読するとよくわかる。

モダンと伝統。この国の今を知っていますか?新しいメキシコガイド本に寄せる、現在進行形サウンドトラック
『新しいメキシコ・ガイド メキシコシティ プエブラ オアハカ』
2007年よりメキシコに暮らすライター長屋美保と、メキシコ好きのデザイナー福間優子による、モダンと伝統を織り交ぜた現在進行形のメキシコを伝えるガイドブック。筑摩書房/2,090円。

今回は、著者の一人であり、メキシコで暮らすライターの長屋美保さんに、ガイドブックを読みながら聴きたい現在進行形のメキシカンミュージックを選んでもらった。

読みながら聴きたい“新しいメキシコ”のサウンドトラック

『Latin-Esque』Esquivel

スペースエイジ、ラウンジなサウンドで一世を風靡したエスキベルのラテンをテーマにした1962年の傑作アルバム。「メキシコ音楽の革新性を象徴するアーティストだと思います」(長屋)

『The Last Recording Session』Tino Contreras

2021年に亡くなった伝説のジャズドラマー、ティノ・コントレラス。晩年のレコーディングセッションを収録した2023年の一枚。「粋なラテンジャズの曲がたっぷり入っています」(長屋)

『Laura Itandehui』Laura Itandehui

現地で今注目されるシンガーソングライター、ローラ・イタンデウイによる2021年の作品。「混沌とした大都会の日常の中のふとした美しい風景を思い起こさせてくれます」(長屋)

『Sol a Soul Colección Instrumental』Bocafloja

ラテンアメリカを代表するMC、ボカフロハの現在までの名曲を選りすぐり、そのインスト版を集めた2024年のアルバム。「都会的なソウルはメキシコシティを代表する音の一つ」(長屋)

『Máuqina de Dinero』Champetos del Jùjú

多国籍なメンバーによるフリージャズ、ラテン、アフロビートを混在させた楽団チャンペト・デル・ジュジュの2023年作。「雑多でカオスなメキシコを象徴するかのようです」(長屋)

『Ruzzicovers』Ruzzi

シンガーソングライター、ルシィによる2022年のカバー集。「メキシコでよく聴かれている大衆的な音楽=バンダやクンビアの名曲からクルアンビンの曲まで幻想的に演奏」(長屋)