カスタマーサポートが年収1000万円を目指すためには?さくらインターネットの榎本秀行さんにはカスタマーサポートの実務経験がない。「だからこそ気づけた」と語る、カスタマーサポートのキャリアについて語りました。
※カスタマーサポート戦略について語られたイベント『CSNight』セッションよりお届けします。(登壇:BASE、ヌーラボ、トレタ、さくらインターネット)
トレタ 関根さんを経て、ラストを飾るのはさくらインターネットの榎本秀行さん。CSの実務経験と管理経験が全くないという榎本さん。だからこそ違和感を覚える部分や、自分にしかできない発信があるのではいかと話す。
私が感じた違和感というのは、1つ目が管理された仕事をひたすら続けていること。もう1つはCSの年収が、全職の平均より50万円から100万円くらい低いということ。CSという世界は、効率やコストなどコントロールが行き過ぎていて、「縮小均衡」になっていると感じました。だから、コストを削って適切な価値が生まれなくなる。適切な価値が生まれないからコストを下げる。まさに負のスパイラルなんですよね。
さくらインターネットでは代表の田中さんが「エンジニアのまま年収1000万を実現できるようにしたい」と語っていた。たとえばCSの年収が1000万円という世界をつくるとしたら、そのメンバーはどんな仕事をしてどんな価値を生んでいるべきなのだろう。
1つ目は、存在価値ですよね。CSの存在価値でいうと顧客満足がありますが、その先の「お客さま自体の成長」と「自身の感動体験を伝播してもらう」ことが必要だと思います。この感動体験の伝播が他人に向けられると口コミ、自分自身に向けられるとリピートやなどの行動につながるんですね。もちろんお客様の成長がなければ、次の原資が生まれませんが。要するに、お客さまが口やアンケートで「満足」と答えても、お客さまや会社の成長、感動体験の伝播につながっていなければ、本当の満足ではないということです。お客さまの行動変化を促すことをCS一人ひとりが意識することがとても重要だと考えています。
もう1つのCSの価値は、過去と現在、未来といった視点で社内をチェンジするという起点。特に現場で常にお客さまと相対して緊張状態にあるCSだからこそ、未来のお客さまを想像して先回りができるのだと思っています。
最後に、実際にさくらインターネットで実践しているCSについて伺った。
1通話当たりの時間目標を現場のKPIから外しました。私自身への報告も割愛しています。あとは、回答品質の均質化を志向しないということ。メンバーが個人的に知っていることであればポリシー云々に関係なく、お客さまに答えるように指導しています。出し惜しみする必要はありませんからね。もちろんそれに付随して、今日答えられなかったことは明日には答えられるようにしています。
また、おもしろい発表をした人間をみんな集めて選抜の発表会や就業環境の改善も図っているそうだ。
▼さくらインターネット 榎本さんの発表資料はコチラ
今回、4名に様々なCSの在り方を語っていただいたが、話からもわかるように、CSに正解はない。しかし、最も顧客に近いポジションだからこそ、CSが会社をチェンジさせる起点と成り得ることは共通している。イノベーティブなプロダクトを生み出すにしても、組織の未来を築くにしても、CSは今後も重要な役割を担っていくといえるのではないだろうか。
▼CSNightにて語られた各社のカスタマーサポート戦略についてはコチラから
BASE 進浩人|カスタマーサポートの目標管理指標「OKR」とは?
ヌーラボ 漢円教|自分にしかできない仕事をなくそう
トレタ 関根響|問い合わせが来てからでは遅い?先回りのカスタマーサポート
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