須田悦弘の、都内の美術館では25年ぶりになる個展。朴の木で植物をモチーフに、本物と見紛うほど精巧に作る彫刻作品です。
直島の家プロジェクト「碁会所」で本物そっくりの椿を観ていますが、花はなんとなく木彫の残り香があるのだけれど、雑草の類は本当に木彫には見えないほどです。
このように宝探しのように鑑賞します。
このバラは会期初めは花びらは1枚しか散ってなかったそうです。訪れるごとに変化があったのですね。
もちろんこんなガラスケースの展示もあります。このスルメは初めて作った木彫作品で、これを作ったことで木彫へ進んだそう。
作品自体はとても静謐な空間を生み出すのに、最初の個展「銀座雑草論」が銀座のパーキングメーターに停めた自作のリヤカー(中には銀座の雑草の木彫)で移動しながら、という大胆な発想の人なので、いったいどんな感じの人なんだろうか?と思ったけど、映像で拝見したら、いたってとても静かな素朴な感じの人でした。
2回目の個展「東京インスタレイシヨン」が再現されていました。これも銀座の駐車場で展示されたもの。
混んでいたので、順番待ちの椅子からの眺め。結構大きいのです。
こちらは卒業制作の再現。
出品リストを見直すと、この中にも「雑草」があったようなのだけど、見逃したみたいです、残念。
壁際にも……
大きさがわかるようにコンセントを入れてみました。その細かさが伝わるでしょうか。
松濤美術館は2階の壁がベルベットの布地なので、写真を撮ると、そちらと相まってまるでハマスホイの室内画のようだなあと思いました。作家自身が美術館での展示の仕方を構想して、ここでの展示ならではの新作も作った(公開制作もあったので)美術館自体がインスタレーションになった、とても贅沢な空間でした。
一昨年閉館してしまったヴァンジ彫刻庭園美術館で「須田悦弘 ミテクレマチス」という併設するクレマチスガーデンにちなんだ展覧会が2018年にあって、そのクレマチスが観れるといいな〜と楽しみにしてて。
おもしろい展覧会なので周りでも観に行った人が多かったので「クレマチスあった?」って聞いたら「なかった」って言われてちょっと残念と思っていたのですが……
キャプションが「ミケリテ」だったので気づかなかったみたい。英語訳だと「Clematis Mikelite」なのでクレマチスですね。
上の回廊からは撮影禁止のため(転落など危ないから)下から。実物は回廊からじっくりと楽しみました。
「補作」の作品の展示もありました。補作とは古美術品の欠損部分を木彫で補うことで近年制作されているそうです。
鎌倉時代の春日若宮神鹿像、角・榊・鞍・ 瑞雲が補作です。他にも、元の作品に溶け込んでいる補作の作品が並んでいたのですが、そのガラスケース内にも……
後日、テレ東の「新美の巨人たち」で紹介されていたのだけど(放送が会期最終日の前夜ってのはどうにかならなかったのかしら?)番組中で制作していた雑草もこちらにいました。
番組の最後に足していた作品はどうやら壁の上の方っぽかったけど、どれだったのだろうか?これも見逃してしまったみたいです。出品リストと首っ引きで探してたのですけどね。
最後に、美術館を出てからも……