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旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

須田悦弘 渋谷区立松濤美術館 2025.1

会期末なので金曜日の夜間開館に行ったら金曜日は渋谷区民無料デイでした、混んでた

須田悦弘の、都内の美術館では25年ぶりになる個展。朴の木で植物をモチーフに、本物と見紛うほど精巧に作る彫刻作品です。

直島の家プロジェクト「碁会所」で本物そっくりの椿を観ていますが、花はなんとなく木彫の残り香があるのだけれど、雑草の類は本当に木彫には見えないほどです。

「枝」 どこにあるかというと……

ロッカーです

このように宝探しのように鑑賞します。

ヒナゲシ

「チューリップ」

「バラ」

このバラは会期初めは花びらは1枚しか散ってなかったそうです。訪れるごとに変化があったのですね。

「象」

「スルメ」

もちろんこんなガラスケースの展示もあります。このスルメは初めて作った木彫作品で、これを作ったことで木彫へ進んだそう。

作品自体はとても静謐な空間を生み出すのに、最初の個展「銀座雑草論」が銀座のパーキングメーターに停めた自作のリヤカー(中には銀座の雑草の木彫)で移動しながら、という大胆な発想の人なので、いったいどんな感じの人なんだろうか?と思ったけど、映像で拝見したら、いたってとても静かな素朴な感じの人でした。

紹介パネルの下にシルエット須田さんがいました

2回目の個展「東京インスタレイシヨン」が再現されていました。これも銀座の駐車場で展示されたもの。

展示ケース

混んでいたので、順番待ちの椅子からの眺め。結構大きいのです。

中の作品

こちらは卒業制作の再現。

「朴の木」

この中での展示です

出品リストを見直すと、この中にも「雑草」があったようなのだけど、見逃したみたいです、残念。

「東京インスタレイシヨン」の資料の展示ケース 下に……

「雑草」

壁際にも……

「雑草」

大きさがわかるようにコンセントを入れてみました。その細かさが伝わるでしょうか。

朝顔

スズメウリ

木蓮

「コブシ」

ドクダミ

松濤美術館は2階の壁がベルベットの布地なので、写真を撮ると、そちらと相まってまるでハマスホイの室内画のようだなあと思いました。作家自身が美術館での展示の仕方を構想して、ここでの展示ならではの新作も作った(公開制作もあったので)美術館自体がインスタレーションになった、とても贅沢な空間でした。

「紫木蓮」と「木蓮

「ぶどう」

 

一昨年閉館してしまったヴァンジ彫刻庭園美術館で「須田悦弘 ミテクレマチス」という併設するクレマチスガーデンにちなんだ展覧会が2018年にあって、そのクレマチスが観れるといいな〜と楽しみにしてて。

おもしろい展覧会なので周りでも観に行った人が多かったので「クレマチスあった?」って聞いたら「なかった」って言われてちょっと残念と思っていたのですが……

あれはもしかして……

あった!

 

キャプションが「ミケリテ」だったので気づかなかったみたい。英語訳だと「Clematis Mikelite」なのでクレマチスですね。

上の回廊からは撮影禁止のため(転落など危ないから)下から。実物は回廊からじっくりと楽しみました。

「補作」の作品の展示もありました。補作とは古美術品の欠損部分を木彫で補うことで近年制作されているそうです。

「春日若宮神鹿像 五髷文殊菩薩掛仏」

鎌倉時代の春日若宮神鹿像、角・榊・鞍・ 瑞雲が補作です。他にも、元の作品に溶け込んでいる補作の作品が並んでいたのですが、そのガラスケース内にも……

「雑草」

後日、テレ東の「新美の巨人たち」で紹介されていたのだけど(放送が会期最終日の前夜ってのはどうにかならなかったのかしら?)番組中で制作していた雑草もこちらにいました。

「雑草」

番組の最後に足していた作品はどうやら壁の上の方っぽかったけど、どれだったのだろうか?これも見逃してしまったみたいです。出品リストと首っ引きで探してたのですけどね。
最後に、美術館を出てからも……

飾り窓に「クロユリ

掲示窓にも……

「雑草」

 

モネ 睡蓮のとき 国立西洋美術館 2025.1

日本のお祭り、モネ展

モネ展は子供のとき、初めて行った展覧会で(1982年国立西洋美術館にて)印象に残っていて。その後も何度も観る機会があって、「ちょっともういいかも?」って他に興味が移った期間がありつつ、直島の地中美術館の睡蓮を観て、「ああ、やっぱりいいなあ」とまた観るようになった画家。

今回は晩年の作品も多くて、白内障になってからの強い色合い、激しい筆致の作品に、画家の意地や抗いを感じて、心動かされました。

第3章の部屋は撮影可でした。オランジュリー美術館を模した空間。

なんか、見覚えのある睡蓮が多くて、やっぱりとても懐かしい気分に。こう言うと笑われちゃうのだけど、幼馴染に再会したような感覚になります。もしくは、子供の頃の自分自身に会ったような、とも言えるかも。

雲がピンクで気に入っていたら「もっと細かい描き込みのある睡蓮のがいいじゃないの?」と親に言われた記憶が蘇る。

2月11日まで。その後、京都市京セラ美術館 2025年3月7日[金]-6月8日[日]、豊田市美術館 2025621日[土]-915日[月・祝]へ巡回。お祭りは続くよ。

以下はおまけ、お祭りの記録。

10月の平日に都美術館の方の「田中一村展」を観に行ったとき、通り道の西洋美術館がすごい行列で。入場も行列で、別で物販の行列もできていて、「始まったばかりの平日なのに、やっぱりすごいな、モネ展は。行くなら金曜の夜間か、もしくは諦めるかかな、そこまでして観なくても」などと思いつつ日は過ぎて、やっぱり金曜の夜間か?でもそうすると常設展の方が急足になるしな〜などと迷っていたら、(なんだかんだ観たいらしい私)12月下旬から土日日時指定、2月全日程日時指定、となったので、では1月の土日指定で、とさっさとチケット取って、朝一番で行ってきました。

9時半入場のチケットで、915分に美術館に着いたのだけどすでに入場待ちの列が科博の入り口まで続いていた!すごいな~、モネ展はお祭りだ、わっしょいわっしょいと自分を励まして並びました。925分くらいから門が開いて、チケット予約済みの人とこれから買う人で列が分かれて、チケット予約済みは順番に入場、という感じでした。私は940分に入れました。入口と1章の部屋はもう混んでいたので、先に3章、4章に移動。こちらはまだ空いていて、ゆっくりと観ることができました。ロッカーを使わなくてもいいよう、軽装にしたのも正解でした。その後1章の部屋に戻ってまた順番に鑑賞。お買物はしなくてもいいかな~と思ってたのだけど、藤の絵がよくて、ポストカードが欲しくなって、ポストカードのみ数枚購入して、常設展をのんびり観て、帰りました。私が帰る頃は、まだ午前中だったけど、すでに物販も入場列が外にできていたので、いろいろな判断が功を奏してスムースに過ごせてよかったです。

常設展のモネ 今の季節にぴったり

 

西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館 2025.1

素敵な美術館 冬なので少し寂しい感じ(主に芝が)

都内に縮小移転が決まってしまったDIC川村記念美術館

この素敵な建物や庭園を楽しめなくなるのは本当に寂しい。美術館としての形態じゃなくてもこの地に残って有効活用してほしいな〜などと思います。
休館前の最後の企画展。昨年内に行く予定が体調崩してキャンセルしたりしてかなわず、今年の展覧会初めとなりました。

ドイツを拠点に活動している西川勝人の日本初の回顧展だそうです。

彫刻、絵画、写真、と表現方法はさまざまですが、どれも、静けさを感じる作品で、「静寂の響き」というタイトルがぴったりです。あと、作品の展示の仕方は、バウハウスに関心があってドイツに渡ったこと、建築にも携わっていること、が背景にあるというのがよくわかるな〜と感じました。この美術館にぴったりのアーティストだなと思いました。

静けさ、光、時間、をじっくり味わえました。特に203室の展示は天井からの自然光のみの照明で、部屋の明るさが変わっていく様子を作品と一緒に楽しめて贅沢な時間でした。

撮影不可でしたが、庭園の池に一つ作品がありました。

新作の屋外彫刻《佐倉の月》

手前の噴水の隣、だけど、え?どこって感じなので……

ここです(赤枠で囲ったところ)

庭園、素敵なんですけど、やっぱり冬は寂しいですね、そういえば冬に来たのは初めてかも。

睡蓮の池も店じまい中

白鳥さんたちは休館後どうなっちゃうのかな

私の好きな場所、藤棚下のベンチから見る美術館

コレクション展には昨年亡くなったフランク・ステラの特集と一周忌の桑山忠明の特集もありました。

最後に104室に展示されてた大好きなサイ・トゥオンブリーの作品をゆっくり鑑賞。

休館が発表されてからすごく混んでいると聞いていましたが本当でした。あんなに人の多いロスコ・ルームは初めてでした。また茶室もレストランも予約で早々に埋まってました。

そして何より驚いたのが無料送迎バス。いつも京成佐倉から乗るのですが、途中で寄るはずのJR佐倉駅に寄らないので「?」と思っていたら、現地について謎が解けました。京成、JRそれぞれの駅から送迎してた!素晴らしい対応力だわ、と思いました。

西川勝人展は1月26日まで。

2月から始まる最後の企画展は

「DIC川村記念美術館 1990–2025 作品、建築、自然」

庭園と館内全ての展示室を用いて、約180点のコレクション作品を展示。

こちらも混みそうですが、目と心に焼き付けに行かなくちゃ。

そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠 東京都庭園美術館 2024.12

2024年の展覧会納めはこちらになりました。

青木野枝は瀬戸芸の豊島で好きになって、府中市美術館の個展や、瀬戸芸2022の小豆島の寒霞渓の作品を訪ねたりしています。

鉄という強い素材で繊細な表現をするところに魅力を感じているのだと思う。あと、錆などの経年変化が時間の流れを感じさせるのも好き。特に、屋外の展示作品では顕著に現れる。

三嶋りつ惠はこちらで、二条城のお堀に浮かぶヴェネチアンガラスの作品を鑑賞しました。まとまって観るのは初めて。

アジア文化都市2017京都 アジア回廊 現代美術展

https://chiegon.hatenadiary.jp/entry/2017/10/26/193623

鉄とガラスという素材。引き立て合ってて相性の良い組み合わせ。

どちらの作品も、庭園美術館によく合ってて、素敵な空間がますます素敵になっていました。

青木野枝

三嶋りつ惠

光の入り方とかで変化が出るのもいいですね。3階のサンルームでも展示がありました。

庭園美術館3階に上がるのは初めてのような気がする。

3階サンルームの展示

どちらも、制作のエスキースなどの展示室もありました。制作風景を含むインタビュー画像もあっておもしろかった。あと、旅行や普段の生活風景を切り取った写真をスライドで流している展示も。アーティストの心の中、頭の中をのぞく感じがして好きです。

青木野枝

青木野枝 @新館

新館へ移動したら、この作品!贅沢な空間を楽しみました。
2025年2月16日まで。

2024年振り返りと2024年展覧会トップ3

宇野亞喜良展の感想で書いた、マジョリ画の画像を発掘しました


あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は前半はがんばって感想をまとめていますが、夏からの繁忙期でちょっと息切れしてしまいました。下書きを溜めるばかりになってしまった。

X(旧Twitter)で毎年あるハッシュタグ、『0000年の展覧会トップ3』のために振り返ってみました。

2024年に行った展覧会:

1月
絵本と近代美術のあれこれ 板橋区立美術館
テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館
サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展 千葉市美術館
本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館
2月
白井美穂 森の空き地 府中市美術館
和紙がおりなす日本の美 三鷹市美術ギャラリー
印象派 モネからアメリカへ 東京都美術館
マティス 自由なフォルム 国立新美術館
フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築 パナソニック留美術館
3月
もじ イメージ グラフィック展 21_21 DESIGN SIGHT
瀬戸内のメルヘン 緑川洋一 FUJIFILM SQUARE
オラファー・エリアソン展 相互に繋がりあう瞬間が協和する周期 麻布台ヒルズギャラリー
4月
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 東京ステーションギャラリー
シュルレアリスムと日本 板橋区立美術館
宮川保子 源氏物語54帖 鳩居堂画廊
6月
宇野亞喜良展 東京オペラシティアートギャラリー
国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘 太田記念美術館
石川九楊大全 遠くまで行くんだ 上野の森美術館
(☆は7月にも後期を鑑賞)

7月
展覧会ではないけれど、名古屋に行く機会があったので
明治村フランク・ロイド・ライトの帝国ホテルを観ました!

8月
デ・キリコ展 東京都美術館
生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界 東京都庭園美術館
高田賢三 夢をかける 東京オペラシティアートギャラリー
アスターゲイツ展:アフロ民藝 森美術館
9月
カルダー:そよぐ、感じる、日本 麻布台ヒルズギャラリー
昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界 泉屋博古館東京
空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン 東京ステーションギャラリー
10月
没後50年記念 福田平八郎×琳派 山種美術館
田中一村展 奄美の光 魂の絵画 東京都美術館
11月
月百姿×百段階段 ホテル雅叙園東京百段階段(今は目黒雅叙園って言わないのね)
日本現代美術私観 高橋龍太郎コレクション 東京都現代美術館
ソール・ライター 虎ノ門ギャラリー
挂甲の武人 国宝指定50周年記念特別展「はにわ」 東京国立博物館

12月
フィリップ・パレーノ:この場所、あの空 ポーラ美術館
ルイーズ・ブルジョア展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ 森美術館
Hello Kitty展 わたしが変わるとキティも変わる 東京国立博物館
そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠 東京都庭園美術館

 

さて、2024年展覧会トップ3はこのようになりました。順序不同です。

「昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界 泉屋博古館東京」

chiegon.hatenadiary.jp

順不同と言いながらこれが圧倒的1位でした。とにかくよかった。

残りの2つは悩みましたがこちら。

「没後50年記念 福田平八郎×琳派 山種美術館

「彩秋」

展覧会をイメージした和菓子

和菓子は5種類くらいあって悩みました。
琳派も好きなのでうれしい展覧会だったのですが、やっぱり福田平八郎がすごく好みだったので、なんで春に大阪に行かなかったのだろうと大後悔をしました。その時は、仕事と自分の作品作りで忙しく、あとGWと重なってるし、と混雑が不安で。無理しても行くべき時は行くべきだな〜と反省。

田中一村展 奄美の光 魂の絵画 東京都美術館

奄美出身の知人からよく話は聞いたり、ポストカードやクリアファイルをもらったりしていて馴染みがあったけど、こんなに多くの作品を一度に観たのは初めてで、とてもよかった。グッズ買い込んだら千葉市美のグッズばっかりでちょっと笑った。

以上、2024年振り返りでした。
ちなみにハッシュタグ「今年行きたい展覧会2025年」でつぶやいたのはこちらです。
かっこいい油絵 司馬江漢と亜欧堂田善 府中市美術館
アンゼルム・キーファー 二条城
岡﨑乾二郎 東京都現代美術館
スウェーデン国立美術館 素描コレクション 国立西洋美術館
『黒き猫』修理完成記念 永青文庫

他にもいっぱい行きたいのがあって楽しみです!

あと、今年は瀬戸芸の年!何回行けるかな?と、パスポートは購入済みです!

 

フィリップ・パレーノ この場所、あの空 ポーラ美術館 2024.12

美術館入口

6月開幕で、夏は忙しいけど、秋になったら、一泊くらいでのんびり行けるだろう……なんて思っていたら、最終日に弾丸日帰り駆け込みになってしまった。
でも行けて本当によかったな〜としみじみ思う展覧会でした。

展覧会入口

現代フランス美術を代表するアーティスト、という情報しか知らなかったのですが、この作品を画像で見て、「この空間に行きたい!」と思ったのでした。

「私の部屋は金魚鉢」

外が明るいので写真を撮ると魚さんたちがどうも暗くなってしまうのですが。その空間にいるときは気づかなかったけど、写真で見ると外の空の青が映り込んでいていいですね。

外に出たい?

ぷわぷわと漂う

天井についちゃったり、部屋から出そうになって、係の人にさりげなく連れ戻されていたり、なんか、魚の心境?を勝手に想像してしまった。

ふきだし(ブロンズ)

こちらは、丸いバルーンによく見ると、ちょろっとしっぽのようなものが。ふきだしです。漫画とかの。SNSで飛び交う発言。もとはある労働組合のデモンストレーションで参加者のメッセージが書かれる予定だったそうです。

天井にびっしり

あとは、映像の作品とインスタレーション作品の組み合わせが2点。どちらも、その組み合わせで、自分がその映像の中の一部のように思わせてくれる空間でした。

ヘリオトロープ

マリリン

オレンジの光がスクリーンにあたって、鑑賞者たちの影が映る、時間になると窓にシャッターが降りて暗闇となり映像作品「マリリン」が始まります。映像とともに奏でられるピアノは無人演奏だったのだろうか、聞いてみればよかった。

マリリンのドローイング

ホタルのドローイング

作品制作では詳細にドローイングをするそう。ライティングがおもしろくて、ライトの点灯で見える絵が代わる。

「どの時も、2024」のスクリーン

もう一つの映像作品「どの時も、2024」はコウイカや細胞、粒子などの映像。どんどん拡大されて、まるで宇宙にいるみたいな不思議な気持ちになる映像。映像の時間までは、インスタレーションの作品が見れます。

マーキー

これもまるで生物みたいです。
ポーラ美術館の空間は、現代アートによく合うなあ、などと思いながら楽しく鑑賞しました。

その後はコレクション展をのぞいて、ハマスホイに感動したりなど。

そして1FのHIRAKU Projectを忘れずに。

HIRAKU Projectは、ポーラ美術館振興財団の助成を受けた作家の活動を紹介する展覧会シリーズ。今回は鈴木のぞみ「The Mirror,the Window,and the Telescope」

「窓の記憶:関井邸2階東の小部屋」

アトリエの古い家に昔の窓があって、かつてその窓から見えた景色を写真で焼き付けた作品。他も、ガラス、鏡、などにいろいろな風景が焼き付けられています。

どれもノスタルジックな気持ちになってしまう。素敵な作品でした。

そして、遊歩道にあるロニ・ホーンに会って……

鳥葬

これは2年前。

だいぶ様子が変わりました。この時は冬だったのか。映り込む秋の空がきれいだけど、せつないような。

紅葉もきれいでした

今度こそゆっくり来るぞ、と思いつつ、後にしました。

そして箱根は相変わらず混んでいました。

特別展 昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界 泉屋博古館東京 2024.9

美術系のメルマガで見かけた「板谷梅樹」という名前、ん?板谷?もしかして、と思って展覧会のサイトを見に行ったら、やっぱり板谷波山の息子だった。

「花」のモザイクの可愛さに、いいな〜と思って会期も短いし久しぶりに早めに足を運びました。

泉屋博古館は京都にあって、東京は分館、と思っていたら、改修工事を経て泉屋博古館東京になったのね。

モザイク画の展覧会というのは初めてかもしれない。父である陶芸家板谷波山の砕いた陶片に心惹かれたのがきっかけだそうです。

ただ、波山のほわんとした色彩とは正反対のとても色鮮やかな作品でした。

 

撮影可だった、この大きな作品

三井用水取入所風景

モザイクの見事なグラデーションや組み合わせに圧倒されました。

昭和モダーン、というタイトルと花や鳥の可愛らしさに、そういうの好きかも、って軽い気持ちだったのですが、なんて美しい芸術なんだろう、と目が覚める思いでした、本当に、来てよかった、と感動してしまった。

色構成の緻密さが、見事で。具象は、人物の肌の色の組み合わせとか花の茎の表現とか、ずっと眺めていたくなります。どれも素晴らしかったけれど、やっぱり「花」(2作品ありました)が心に残っています。

花 実物は本当に色鮮やかでした

飾皿や箱の模様の組み合わせもまさに、モダンで。こんなのを身近に置けた生活が羨ましい。戦時中、生活のために作っていた小さな工芸品、ペンダントや帯留めなどはなんとなく、七宝焼を思わせたり。

出光興産の定年退職記念に贈る飾皿の制作も手がけていたそうで、展示されていました。こんな素敵なものをもらえたらうれしいでしょう、大切にとっておかれたのだろうな。

一昨年、板谷波山生誕150周年展をきっかけに、「板谷姓の梅樹という人のモザイクがある」と問い合わせがあり、この初めての展覧会に結びついたそうだけど、まだ、眠っている作品が現れたらうれしいな、などと思いました。

とにかく、素敵な作品との出会いでした。

929日まで。