先日、Amazonプライムで邦画「健太郎さん」を鑑賞しました。35分という短編映画でサクっと観れて不気味を味わえる作品でした。
さらにすごく考察しがいがあるショートフィルムホラー。ということで、ネタバレ感想いきます!
映画「健太郎さん」のネタバレ感想
まずは健太郎さん、彼の正体から。
健太郎さんの正体
まず、話を整理するとこの映画に出てくる健太郎さんは、過去にこの一家の奥さんがひき逃げしてしまった親子の父親だった、というオチでした。
つまり、復讐(だけじゃないと思うが)のために、あの父親は一家のもとにやってきて、そして暮らしていたという。
一家としては(特に両親)は気が気じゃないし、自分たちがしてしまったことが大きいだけに、いつ心が折れてもおかしくない状況。
結果として、冒頭からの健太郎さんを囲んでの食事シーンから分かるように、一家は健太郎さんの、住みたいという申し出を受け入れたという感じですよね。
なんともおかしな生活が始まった感じ。
健太郎さんは見た目も無表情で感情も出さない、会話もない。だからより不気味だし(というかこの映画自体画質が青白くて不気味)冒頭の食べ方もかなり異様。
私、この健太郎さんが本当に人間なのか、家族だけにしか見えていない幽霊なのか、それとも何かのメタファーなのか、最後の最後までどれなんだ・・?と思っていたんです。
でも結局、生身の人間だった。
けど、一部ちょっとだけお化け感ありませんでした?健太郎さん。
一年前の、 “ことの真相” が明かされるシーンの前に、健太郎さんが家の中にいきなり現れて「お忘れですか」と母親に問いかけるシーンあったじゃないですか。
あれ?健太郎さんどうやって家の中に入ったの?と思って。そこだけ冷静になって観てしまった。
(お化けみたいに現れたな・・)とちょっと思いまして笑
あとちょっと思ったのですが、健太郎さんが「お忘れですか」って母親に聞いたのは、”あなたが娘を殺したのですよ” って念押しの意味で聞いたのかなあ。家族が事故自体を忘れることはないから、俺は覚えているからな、的な。
ラストの考察(娘の箸と健太郎さんの笑み)
最後に娘が母親からひどく怒られていましたよね。箸を持つ手がおぼつかず、食べ方が上手ではないことに対して。
そんで母はブチ切れて物を破壊するっていう(あの散らばった玉はビー玉なのかな?)。
娘のそんな食べ方を見て、次第に嫌悪な表情になっていく母親役の女優さんの演技に魅せられました。最初はちょっと悲壮感漂う表情だったのに、だんだんとそれが怒りの表情に変わるってくの、繰り返し観てしまった。(演技うまっっっっと思いまして、画面に釘付けになりました)
そんな娘に対し、健太郎さんは視線をおくり不気味な笑みを見せつけます。
健太郎さんがこの映画ではじめて見せた笑みなんじゃなかろうか。でも画質が青白くて超不気味。
で!このシーンを観て、私は「あ、健太郎さん、この一家の娘ちゃんを手の内に入れようとしている?」と思ったんです。
健太郎さんは復讐のために一家と暮らすことにした。でも娘ちゃんは亡くなって帰ってこない。でもこの一家には亡くした娘ちゃんと同世代の女の子がいる。
この子を精神的に奪おうと決心した・・・のではないでしょうか?
そう考えると、ですよ。
冒頭の健太郎さんのちょっとお下品な食べ方も、娘ちゃんに対してのメッセージなんじゃなかろうか。
わざと汚くて食べて(というか蝕んでいる感じですが)こんな感じで食べるんだよ、あるいは、汚く食べてもいいんだよって娘ちゃんに寄り添うことを表現しているんじゃないかって。
健太郎さんはいくら雑に食べても母親は(健太郎さんに申し訳なさいっぱいで)絶対に叱りませんからね。
だから、健太郎さんのこの食べ方と娘ちゃんの視線が結構意味あるものに、私には映ってしまいました。
で、先ほど触れた「お忘れですか」のシーン。
健太郎さんは、亡くなった娘に別れを告げた、と言っていましたね。
あれは、あの一家の娘ちゃんを、今度は健太郎さんが我が子のようにしようと決心したからでは?と私は思った。
健太郎さんは今まで娘の死を引きずっていたけど、やっと気持ち的にサヨナラできそうと思った。
それが済んだら、今度はこの一家の娘ちゃんを奪おう・・・そういう心の準備もできた・・的な!!!
健太郎さんはこの一家に娘を奪われ恨んでいる。ですので、健太郎さん的にはこの一家の娘ちゃんを奪ったとしても、この先この一家がどうなってもいいですしね。
母親が娘ちゃんの食べ方を怒った後に、娘ちゃんは健太郎さんを見た。すでに気持ち的に健太郎さんに気持ちがちょっと偏っているんじゃなかろうか。心の拠り所的な。
子供は感情や思考がスポンジ状態ですし、親からの愛情はめちゃくちゃ大事な時期。健太郎さんはすごい不気味に映っているけど、たぶん娘ちゃん的には、不気味に感じていない。
なんか、娘ちゃんのこの先が気になるラストでもありましたね。
ということで、考察が面白い映画って感じでした。
ちなみに「健太郎さん」は気まずいシーン(男女の絡みといった意味での)はありませんでした!
「健太郎さん」の感想は以上となります!
映画「健太郎さん」の簡単なあらすじ
- 監督:高木駿輝
- 製作年:2019年
- キャスト:西川浩幸、宇田川さや香、木下仁、白井友子 ほか
【簡単なあらすじ】
とある4人家族の自宅には健太郎さんという男性も暮らしていた。母親は健太郎さんのために食事を作り、一家揃って健太郎さんと共に食卓を囲む日々。不気味な雰囲気漂う健太郎さんとこの一家に、一体なんの関係が・・?ラスト、衝撃的な事実が明かされる。
関連:考察しがいがある映画、ここにもあります
いわゆるオープンエンドってやつなんですが、めっちゃ考察しがいがある映画です↓
関連:ショートフィルムで面白かった作品はこれ
短編映画にハマってまして、下記作品面白かったです(お気に入りは1603です)