知人に勧められて縞模様のパジャマの少年(英題:The Boy in the Striped Pyjamas)を鑑賞しました。
後味悪いよ、誰も救われない作品だよって聞かされていたので、いわゆるダンサーインザダーク系かなって思って観た私。
結論から言うとダンサーインザダークほどではないけれど、ただただ残酷・後味悪い映画でした。
歴史と、運が味方してくれなかった・・・とでも言いましょうか。
実話という情報は出ていませんが、あの収容所の存在や行い自体は実際にあった史実なので、観賞後は少し放心状態となりました。
※ネタバレありの感想です。
※胸糞な作品に興味がある方は後味が胸糞な映画まとめページもあわせてご覧ください。
縞模様のパジャマの少年の概要・簡単なあらすじ
- 監督:マーク・ハーマン
- 製作年:2008年
- キャスト:エイサ・バターフィールド、ヴェラ・ファーミガ、ジャック・スキャンロン、アンバー・ビーティー ほか
【こんなお話しです】
第二次世界大戦下のドイツ。父の役職により長閑な田舎に引っ越した少年ブルーノ。暇を持て余していたブルーノは、”行ってはいけない” と母から強く言われていたフェンスの元へ行ってしまう。そこで、同い年くらいの少年シュムールと出会う。彼は、暇模様のパジャマを着ていた。母親に内緒で何度もシュムールに会いに行ったブルーム。そして、あることがきっかけでブルーノはフェンスの中へ行き・・。
縞模様のパジャマの少年を観た私の感想(ネタバレ考察)
無邪気な行動が残酷で鬱
この作品はブルーノという子供目線でストーリーが進んでいくので、ブルーノの行動や思考が顕著にセリフに表れています。
子供ですし当然ありとあらゆることに疑問を抱き好奇心のまま行動する。
フェンスの中が収容所なんて知らないし、シュムールがなんでパジャマ着ているのかもわからない。
暇な日常に自分と同い年くらいの少年シュムールと出会ったら、そりゃ会いに行きたくなるのは当然ですよね。
知らないことは、知りたくなる。
最後はブルーノ的には冒険みたいな気分だったのかなあ。
大人だったら暗黙の了解、”仕方ない”的な思考、同調圧力などすぐに判断することができるけど、子供にはそんなのない。だって無邪気だもんね。
ブルーノのその無邪気さと、大人である自分との思考のギャップさ、そして歴史的背景を知っている大人がこの作品を観ると胸が締め付けられなと。
ブルーノは子供だから・・と思いつつもその無邪気な発言が我々大人の心をえぐるなとまず思いました。
母親の存在だけがモチベになった
大人は全員あちら側な思考の持ち主なのかな・・と思ってしまいそうでしたが、母親は人としての心をしっかりと持った女性でした。
だからこそ夫がしていることを知った時は、取り乱し体調を崩したわけで。それが正常な反応です。
それと、ブルーノが怪我をしてパヴェルが手当てした時、包帯を見た母親がどんなセリフを放つのか一瞬ヒヤっとしましたが「ありがとう」って言ってました。
この母親の行動でどれだけ心が救われたか・・・(私的には、この母親の存在のおかげで最後まで観続けるモチベにつながったと言っても過言ではない)
でもそんな母親も最後はブルーノを失ってしまうわけで、あともう少し早く引っ越していれば・・・って感じ。
母親に対してもちょっと感情移入してしまった・・結末が本当に気の毒で。
衝撃のラストシーン。シャワー室にパヴェルいた?
最後のシャワー室、私の認識ではパヴェルの顔が映っていたように思うのですが・・・気づきました?(いまだに確証はないのですが・・)
一人の老人の顔をパっと映したんです。
映画でしかもあんな重要なシーン、一人の老人をパっと映すのって、意味があるように思えてならない。
私はあれはパヴェルだったんじゃないかな?と思うのですが・・一瞬だったんで、気づかなかった方はぜひもう一度観てみてください。
あれがパヴェルだとするなら、同じシャワー室にいたことになります。そう仮定すると、パヴェルは死亡したを意味しますよね。
なんとも映画らしい展開ではありますが、パヴェル(であろう老人)の表情も悲しい様子でそこでも心がえぐられました。
あれは縞模様のパジャマの少年の復讐?わざと?についての私の考察
ラストのシーンで「あれはわざと?」「もしかしてシュムールは復讐したかったとか?」とふと疑問に思った人、私だけじゃないはず。
結論から言うと、復讐とするなら、何をもって復讐とするのか?で結論が変わってきます。
もしあれがシュムール(パジャマの少年)の復讐とするならば、塀の中の生活があまりに残酷でブルームにも味あわせてやりたい!みちずれにしたい!という気持ちからの復讐という説も分からなくはない。
でもあのシャワー室についてはシュムールが知っているはずもない・・・・(と私は思っている)、シュムールの父親がやっているのを彼は知っていたとも思えないので、復讐とは考えにくいというか。
シュムールはシャワー室の存在を知っており、自分もいつかあの煙の中に・・と察していたのだろうか?
シュムールがそこまで計算していたのかな。
もしそうだとしたら多少なりとも表情を映すなり観ているこちらに気づかせる演出があってもいいと思うんですよ。なかったですもん(私が見逃しただけかもですが)
シュムールは単純にフェンスの中に入れて、単純に遊びたかっただけ、見せたかっただけなんじゃないかなあ。
ということで私は「あれはわざとではないのでは」って結論に至っています。
久々の、後味が悪くて誰も救われない映画でした。鬱エンド。鬱映画確定です・・・。
ちなみに超余談ですが、この映画のタイトルの「縞模様」って一瞬「え?何の模様?」って思いませんでした?私一瞬「縞模様ってなんだっけ」って思ったんですよね。
縦縞模様のパジャマの少年って覚えている人もいそう。
縞模様のパジャマの少年の感想でした!
後味もそうですし、無邪気なブルーノの発言や行動がここまで大人にとって残酷に映るなんて・・・映画レビューの評価が高いのも納得でした。
そして実際に起こった悲しい歴史に因んだ内容ということも重なって、心がぐっちゃぐちゃになりましたね。
明るい話ではないけれど、史実として残酷な施設があったのは事実だし、わたし的には観るべき作品と思いました。