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Photo: Pinholeimaging / Getty Images

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タイムズ(英国)

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Text by Claire Cohen

時間管理の指南書をいろいろ読んで試してみたが、結局上手く行かなかったという経験はあるだろうか。そういう人はどうすればいいのか? 世界的ベストセラー『限りある時間の使い方』の著者オリバー・バークマンに、英紙「タイムズ」が聞く。

もしあなたが私みたいに、客を家に招く前に慌てて掃除をはじめるタイプの人であれば、オリバー・バークマンからメッセージがある。

「自分に問いかけてみてください。いったいどうしたわけで、訪問客に見せ物を披露しようとしているのかと──。演じるのが大好きな人もいて、それはそれでいいんです。でも、あなたの実際の暮らしぶりに人を招き入れるとき立ち現れる、リアルなつながりというものがあると思います。

友人宅が散らかっているとしても、私は気を悪くしないどころか、光栄にさえ思います。私がその実生活を見るのをよしとしてくれているわけですから。自分の欠点を隠すよりも認めるほうが、はるかに力強いのです」

これは、バークマンが「非完璧主義」と呼ぶことのほんの一例だ。バークマンは、英国人の作家で、ベストセラーとなった時間管理の指南書『限りある時間の使い方』の著者だ。

非完璧主義とは、死にゆく定めにある人間として、われわれが自分の時間を使ってできることは限られているので、できないことは認め、本当に大事なことに集中すべきという考え方だ。

バークマンの新著『人間のための瞑想録』(未邦訳)の出だしとして、それがやや敗北主義的な立場に聞こえるなら、考え直されたい。

英国北東部ノースヨークにある自宅からZoomで取材に応えるバークマンは言う。

「この非常に特殊な敗北こそが、じっさいにはとても力を与えてくれます。不可能なことをしようとするのを諦めるものだからです。

たしかにそれは、すべてに打ち勝ちはしないことを受け入れる敗北ですが、あなたを現実に引き戻し、実際に物事をしはじめるようにしてくれます。さもなければすべてのことをいまではないと後回しにし続け、そして死ぬのです」


新著のエッセンスを語るオリバー・バークマン


「自己啓発」では上手く行かない?


いやはや。だが助かるのは、バークマンの新著が細かく章立てされていることだ。それで読みやすくなっていて、死ぬまで先送りしないで済む。

この本の背後にある発想は、1日1章を28日間続けると4週間で習慣をリセットできるというものだ。その間、「実際に物事をやることについて」「自分のやるべきことに集中する」「すべてに頓着はできない」などのレッスンを消化していく。

これらすべての根拠となっている理論は、自分の生活でやることを減らしていくべきだというものではない。創作的なプロジェクトであれ、家族と過ごす時間を増やすのであれ、棚上げしがちな重要なことを優先させるという話なのだ。バークマンは言う。

「人生を一変させるのではなく、日常茶飯事のこなし方を変えうる、段階的な変化をめぐる話です」
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