機械、特にコンピューターの急激な発展とともに、人間の独壇場と思われてい た業務が日々機械に取って代わられ、しかもその範囲は知的労働にも広がってい る。すると世は失業者にあふれ、格差はますます広がるのだろうか。それどころ か、人間は機械に駆逐されてしまうのだろうか。そんなSFじみた可能性が現実 となりつつあるのだ。  本書は、この問題を詳細に分析する。前半は、現在見られるさまざまな機械の 発展だ。工場のロボットや自動運転、チェスでのコンピューターの勝利、自動化 された倉庫、ビッグデータによる行動予測といったさまざまな成果が紹介される。  中盤は、それが労働市場(特に米国)に与えた影響だ。単純な組み立て作業や 事務職が大きく賃金を下げ、機械を使って能力を補える柔軟性を持つ知的労働者 の需要が高まっているらしい。これは最近の格差の原因でもある。人間としての 優位性(柔軟性、高度な判断や計画、創造性)が今後さらに重要となる。だから、 教育と各種の労働市場柔軟化の施策を。これが終盤での提言となる。  主張は明解。前半の事例は有名なものが多いが、労働者への影響と政策対応は 日本にも当てはまる切実なものだ。むろん産業革命での余剰労働がやがて吸収さ れたように、いずれ他の仕事はできる、と本書は述べる。  だが、その調整期間をどう乗り越えるべきか。そして読者は、自分の仕事がい ずれ(いや明日にでも!)機械に置きかえられないために働き方をどう変えるべ きかについて、ぜひとも本書を読んでわが身のこととして考えてほしい。  なお本書の原型となった前著「機械との競争」と論点は同じなので、多忙な方 はこの短い前著での代用も可。一方で、近年の格差は技術よりも税制や相続など の要因が大きいという主張もある。本書の論点は重要ながら、それだけに捕らわ れてないこと。そうした視野の広さこそが、まさに人間の強み、なのだから。 (山形浩生・評論家)  (日経BP社・2376円) **************************************** 山形浩生さま  はじめまして。突然で恐縮ですが、書評のご依頼 がありメールを送らせて頂きました。  エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー著、村井章子訳 「ザ・セカンド・マシン・エイジ」(日経BP社、2376円、8月15日発行) という本です。  MITの経営学者コンビが、デジタル革命による知的労働の変化を論じた本で す。山形さんに評してもらうと、面白いのではないかと思いました。  〆切、字数などは以下の通りです。 【〆切】  9月10日 【字数】  800字程度  (最終的に、11字×71~75行の形にこちらで編集致します。) 【原稿料】  41143円(税込)  ご検討頂ければ幸いです。お受けいただける場合は、本をお送りしますので、 送り先をお教えいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い致します。