ノンフィクション作家。1956年東京都生まれ。
上智大学中退。78年から2年間フィリピン・マニラに留学。都立大学講師などを経てノンフィクション作家に。96年に『コリアン世界の旅』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。その後もアジアと科学一般を題材にしたノンフィクションで健筆をふるう。
2024年8月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 先輩記者、岩橋豊さんの訃報を聞いたとき、「えーっ」と声を上げてしまったのは 、数日前から彼のことを思い出していたからだ。普段は思い出さないのにそのときは立て続けだった。 私は今年4月6日、南アフリカから東京に戻った。昨年11月からニュースをほとんど見ていなかったため、何があったのかと振り返っていたら、脚本家、山田太一さんの死を知った。木下恵介監督をテーマに話を聞いたことがあり、記事が出たあと、丁寧な手紙をいただいたことがあった。「あー、亡くなったかあ」と残念に思い、彼の随筆を読んだり、テレビドラマ「岸辺のアルバム」などを見返していた。 そんな中…
一条真也です。125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」の最新号が出ました。同紙に連載中の「ハートフル・ブックス」の第186回分が掲載されています。今回の取り上げる本は、『丹波哲郎 見事な生涯』野村進著(講談社)です。 「ハートフル・ブックス」第186回 「霊界の宣伝マン」と呼ばれた俳優・丹波哲郎氏の評伝です。著者は、1956年東京生まれ。ノンフィクションライター。拓殖大学国際学部教授。在日コリアンの世界を描いた『コリアン世界の旅』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をW受賞しました。 丹波哲郎氏は1922年(大正11年)、都内の資産家の家に生まれ、中央大学に進学。同世代の多…
一条真也です。『丹波哲郎 見事な生涯』野村進著(講談社)を紹介いたします。「霊界の宣伝マン」と呼ばれた俳優・丹波哲郎の評伝ですが、素晴らしい名著です。著者は、1956年東京生まれ。ノンフィクションライター。拓殖大学国際学部教授。在日コリアンの世界を描いた『コリアン世界の旅』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。『アジア 新しい物語』でアジア・太平洋賞受賞。ほかに日本の老舗企業を取材した『千年、働いてきました』や、重度認知症の世界をルポした『解放老人』、『救急精神病棟』、『出雲世界紀行――生きているアジア、神々の祝祭』など著書多数。 本書の帯 本書のカバー表紙には若…
読書 1 中高校生時代 読書と中高生時代の話を始める予定だったが、それは後回しにして、きょうの話をする。 たった今、フィリピンの勉強会から帰宅したところだ。講師は、フィリピン留学経験もあるジャーナリスト大野拓司さん。とりとめのない話だが、フィリピンの可笑しさ・ユニークさはよくわかった。程度の差はあれ、フィリピンには英語ができる人が日本よりはるかに多くいるのだが、それは幸せかという疑問がある。なまじ英語ができるから、海外出稼ぎ者が多く、一族がその出稼ぎ者に頼り、国家も彼ら彼女らからの仕送りを当てにしている。仕送りが豊富にあれば、政府は殖産興業を考えなくてもいい。役人や政治家が何もしなくても、外国…
何かを調べて、書くことが仕事である場合、 この方の考え方、技術を学んでおいたほうが良いでしょう。 Chat GPTの時代には、真贋を見極められる力がより重要になりますが、 それを培うためには、著書の考え方、取り組み方が有効でしょう。 調べる技術・書く技術 (講談社現代新書) 作者:野村進 講談社 Amazon
あれは、昭和60年頃のこと 就職して数年経った時期 仕事を終え、先輩・同僚が夜の街に繰り出す中、 僕はその誘いを断り、翌日の予算折衝資料を徹夜して仕上げたことがあった 結果、折衝はスムーズで、まずまずの成果があげられた 当日同席した当時の上司(課長補佐)から 「緻密な資料作りとスムーズな折衝で相手を満足させられた、〇〇君(僕のこと)は凄いよ」 と褒められた 人から、特に好意や敬意を抱く人から褒められるとこの上なく嬉しい だから、やる気も出る それまでは、どちらかというと、ネガティブな仕事ぶりだった僕が、 少しだけポジティブに変われた瞬間だった 仕事への前向きな姿勢を褒めてもらった記憶 40年以…
人から学ぶ 新書版の本を読むと、いつもとても勉強になります。今回のこの本は、学んだ上に、ものすごく書きたくなります。 今、何らかの理由で書きあぐねている方にはお勧めです。 特にブログを書いている僕たちにとって、参考になるのが、終わりの方の「第八章 体験を書く」。 ブログを書いていると、全体的に日記風になって、日々の経験を題材にすることが多いのですが、この章を読むと、もっと別の書き方ができないものか、考え始めてしまいます。 この本を読んで学んだのは以下の点です。 見慣れたテーマが化学反応を起こすーチャップリンのステッキ 本の“目利き”になるー本にはお金を惜しむな 第三の目をもつー取材現場にて 見…
角田房子による本間雅晴陸軍中将の伝記[1]を読んだ。 本間雅晴は、アジア太平洋戦争において、第14軍司令官としてフィリピン攻略戦を指揮した人物である。攻略完了後、1942年8月には任を解かれて帰国し、その後軍務につくことはなかったが、戦後「バターン死の行進」の責任を問われて戦犯裁判にかけられ、処刑されている。 この本(2015年刊の文庫版)、角田による本文はともかく、解説がどうもいけない。 解説は野村進というノンフィクションライターによるものなのだが、学生時代(1970年代末~80年代)にフィリピンに留学した際の経験として、こんなことを書いている。 また、同じく下宿前の路地裏で、私が近所の赤ん…
一条真也です。125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」の最新号が出ました。同紙に連載中の「ハートフル・ブックス」の第187回分が掲載されています。今回は、『俺は100歳まで生きると決めた』野村進著(新潮新書)です。 「ハートフル・ブックス」第187回 9月20日、父が亡くなりました。行年90歳、満88歳の生涯でした。けっして短い人生ではありませんが、「人生100年時代」と呼ばれる今、もっと生きてほしかったです。そんな中、「100歳まで生きると決めた」という本書のタイトルが目を引きました。著者は、1937年(昭和12年)生まれ。歌手、俳優、作曲家。慶應義塾大学法学部卒業。「君といつまでも」など…
子どもの頃にテレビで見た大霊界おじさんに対するイメージが、昔の映画を観るようになってから一変しています。 この時代の人の死生観とガッツには、他の世代と違う複雑さがありますね。 数年前に伝記を読んで感銘を受けたワコールの創始者・塚本幸一さんと2歳違いで、塚本さんは大正9年、丹波さんは大正11年生まれ。 同世代の仲間が戦争へ行き自分は生き残ったという意識と、自分は何をすべきかという葛藤が常にベースにあって、聖と俗の併せ持ちかたもすさまじい。 タイトルの「見事な生涯」は丹波さんの葬儀で弔辞を述べた西田敏行さんの言葉で、本を開くと二人の交流の話からはじまります。 岩下志麻さんの話がおもしろい この本を…
一条真也です。俳優の西田敏行さんが76歳で亡くなられました。俳優として数々の名作に出演しただけでなく、歌手としてNHK紅白歌合戦出場、さらに紅白をはじめ数多くのバラエティー番組で司会をこなすなど、マルチな才能を存分に発揮しました。日本の芸能史に名を残した方でした。 ヤフーニュースより 西田さんは1947年(昭和22年)11月4日、福島県出身。明治大入学と同時に日本演技アカデミー夜間部に入学。67年、TBS「渥美清の泣いてたまるか」でデビュー。1968年に青年座俳優養成所に入り、1970年に卒業して座員となりました。1977年にはテレビ朝日「特捜最前線」、1978年には日本テレビ「西遊記」にレギ…
毎週日曜日は、この一週間に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 (9/2~9/8 全85冊) *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上を表示) ◆サンデー毎日「遠回りの読書」: 9/15 号 2 冊つげ義春が語る 旅と隠遁 つげ義春 筑摩書房 2,530 ②日本鉄道廃線史 消えた鉄路の跡を行く 小牟田哲彦 中公新書 1,155 ◆女性自身「今週のあなたを開く本」: 9/17 号 4 冊ツミデミック 一穂ミチ 光文社 1,870 ⑥ガー…
教育虐待 ―子供を壊す「教育熱心」な親たち 1巻 (バンチコミックス)作者:石井光太,鈴木マサカズ,ワダユウキ新潮社Amazonこの漫画を読んだ。原作は石井光太というルポライターの人のノンフィクションらしいのだが・・・読んでいて、いろんな描写が引っかかりすぎて「この人の書く本は絶対に信用してはいけない」と思った。というわけで、自分がひっかかった点をメモしておく。 たとえばこの部分 「一日14時間勉強!」結局はつぶれてしまった小学生女子の話(8/10) pic.twitter.com/uBSqQ5Mles— 鈴木マサカズ (@suzukimasakazu) 2024年8月16日 ちょっと何を言っ…
(8/2)ひとまず100点選書。第一弾の選書なので推薦本には頼らず。蔵書とアマゾンのブックリスト、これまでの読書経験と知識を駆使して、読みたい本を直感で選んだ。 今のところ順番はランダムだ。3500の選書リストが完成するまでには適切な分類法を見つけようと思う。その際、選書やリスト作成におけるルールも付記する(表紙画像は載せない、アマゾンや出版社ページへのリンクは貼らない等)。 (8/3)200点選書。 (8/4)300点選書。 (8/5)400点選書。そろそろ分類しないとね。日本十進分類法を参考にする予定。 (8/9)500点選書。 (8/10)600点選書。 (8/11)700点選書。 (8…
毎週日曜日は、この一週間(6/10~6/16)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上を表示) ◆サンデー毎日(今週号はお休み) ◆女性自身「今週のあなたを開く本」: 6/25 号 4 冊マリリン・トールド・ミー 山内マリコ 河出書房新社 1,870 死の貝 日本住血吸虫症との闘い 小林照幸 新潮文庫 737 娘が巣立つ朝 伊吹有喜 文藝春秋 1,980 ③ 勇気論 内田樹 光文社 1,870 …
老舗企業大国ニッポン 野村進 ☆☆☆★ 新潮文庫日本の老舗企業の特徴や、他国には百年以上続く会社が少ない理由など。知られざる、世界シェア独占状態のパーツを作る企業などを紹介。「たった1グラムの純銀でさえ、太さ0.05ミリの線にすると、なんと三千メートルにまで延ばすことができる。 この特徴を活かした極細線は、コンピューターの集積回路の接合部に使われてきた,」「銀は腐食するんですよ。ところが、金と銀の割合を、70対30にしたら錆びない。69対31にすると、錆びてゆく。」
ティラノサウルスを発見した男 バーナム・ブラウン ローウェル・ディンガス/マーク・A・ノレル国書刊行会 ティラノサウルスを発見した男 バーナム・ブラウン作者:ローウェル・ディンガス,マーク・A・ノレル国書刊行会Amazon 伝説の恐竜ハンター、バーナム・ブラウン。愛称はミスター・ボーンズ。新種を次々と発見する天才的嗅覚。恐竜発掘が「探検」だった時代を追体験できるロマン溢れる初の本格的評伝。 詳細を読む 読書メーターブクログ 承認をひらく:新・人権宣言 暉峻 淑子岩波書店 承認をひらく──新・人権宣言作者:暉峻 淑子岩波書店Amazon 承認は、存在を認められたい人間の根源的な欲求と社会制度の乖…
毎週日曜日は、この一週間(5/13~5/19)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上を表示) ◆サンデー毎日 (今週号はお休み) ◆女性自身「今週のあなたを開く本」: 5/28 号 4 冊対決 月村了衛 光文社 1,980 ②ダムマニア 宮島咲 オーム社 2,420美しく枯れる。 玉袋 筋太郎 KADOKAWA 1,760 ③ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか? 進化の仕組みを基礎から学ぶ…