P2P形式のファイル共有ソフト。開発者は元東京大学大学院情報理工学系研究科助手の金子勇。
2002年5月6日にベータリリースされた。不特定多数のPCユーザー間で音楽や映像のファイルを共有できる。共有されるファイルは、サーバーを介さずに無数のパソコンを介して転送されるため、送信元の匿名性があるのが特徴。
WinMXやFreenetなどを参考にして新規に作られたファイル共有ソフトで、2ちゃんねるのダウンロード板上で開発が行われていた。作者はその最初(本当は2番目)のレス番号から「47氏」と呼ばれる。高速性と匿名性の両立を目指して開発された。匿名BBSを実現するP2Pサーバントとしても動作する。WinnyアンテナとWinnyアンテナ@WinMXアンテナがある。
違法性を巡って、開発者である金子が2004年に著作権侵害行為ほう助の容疑で逮捕された。ファイル交換ソフトの開発者が逮捕されるのは世界的にも稀で、動向に注目が集まっていたが、2011年に無罪が確定した。
Winny公開後の動き(違法性を巡って、無罪が確定するまで)
- 2003/11/27 初の逮捕者が2名。「47氏」も家宅捜索を受ける。公式サイトは閉鎖。
- 2004/05/10 Winnyの開発者である「47氏」も逮捕される。同年5月31日、「47氏」は京都地方検察庁によって起訴される。
- 2004/06/01 保釈請求が1日、京都地裁に認められた。京都地検はこれに準抗告したが棄却された。保釈金500万円を納め、47氏は同日夜に保釈されている。なお保釈金は、有志からの寄付(義援金)が使われた模様。
- 2004/09/01 第1回公判が京都地裁で開かれる。
- 2006/12/13 京都地裁が著作権法違反幇助(ほうじょ)の罪で罰金150万円(求刑・懲役1年)の有罪判決を言い渡す。弁護側・検察側の双方が控訴。
- 2009/1/19 控訴審第1回公判(大阪高等裁判所)で弁護側は改めて無罪を主張。
- 2009/10/8 大阪高裁判決にて逆転無罪。「Winnyは価値中立的」と小倉正三裁判長がほう助罪を否定。
- 2011/12/19 最高裁にて「多数の者が著作権侵害に利用する可能性が高いと認識していたとはいえない」として検察側上告を棄却。ほう助罪成立を認めず、無罪が確定した。
その他のトピック
- 「Winny」という名前は、「WinMX」の次を目指すという意味を込めて、「MX」のアルファベットを1文字ずつ進めた「WinNY」に由来
- 情報漏洩とセットで報道されることが多い。官房長官が「最も確実な対策はパソコンでウィニーを使わないこと」と発言したことでも有名
- 現在は他人が修正パッチを当てたバージョンである「Winnyp」が流通している模様