Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                
電撃オンライン

『FF11』新ストーリー始動! その全貌を松井P&藤戸D&シナリオ担当・佐藤氏にインタビュー

電撃の旅団
公開日時

 今年でサービス開始から18周年を迎えた、スクウェア・エニックスが運営するMMORPG『FINAL FANTASY XI(ファイナルファンタジー11)』(以下、FFXI)

 今回は、20周年に向けてこの8月のバージョンアップから新たに展開する新ストーリーに注目した、オンラインインタビューの模様をお届けする。

 新規チャットチャンネルやジョブ調整など、プレイヤーが気になるその他の要素も含めて、プロデューサー・松井聡彦氏、ディレクター・藤戸洋司氏、シナリオ担当・佐藤弥詠子氏にお聞きした!(インタビューはオンライン上でのリモート形式で7月後半に実施)

  • ▲『FFXI』プロデューサー・松井聡彦氏。
  • ▲『FFXI』ディレクター・藤戸洋司氏。
  • ▲今回の新ストーリーを手掛ける佐藤弥詠子氏。過去にはウィンダスミッションやプロマシアミッション、そして『ヴァナ・ディールの星唄』のシナリオを手掛ける。

新たなストーリーでは獣人たちのドラマ、そしてクリスタル大戦よりも古い“過去”が描かれる!?


──まずは、いよいよ実装されるクエスト形式の新しいストーリーについて、開発がスタートしたきっかけや実装されるまでの経緯などを改めてお聞かせください。

松井聡彦氏(以下、敬称略):『ヴァナ・ディールの星唄(以下、星唄)』が終わったあと、毎月バージョンアップを行い、なかでも“アンバスケード”は毎月更新するというスタンスで何年かやってきましたが、やがて物語の重要性というものをひしひしと感じるようになっていました。

“静かなる森(今年2月に実装された召喚獣セイレーンの取得クエスト)”が好評だったこともあってそれは確信に変わり、“物語”をヴァナ・ディールの牽引役にしたいと思ったんです。

 ちょうどそのとき、当時はまだ別の部署だった佐藤(佐藤弥詠子氏)が手伝いにきていて、なし崩し的に『FFXI』チームに入ることになり、佐藤がいればしっかりとしたストーリーも作れるだろうということもあって、スタートしたという感じですね。

藤戸洋司氏(以下、敬称略):バージョンアップを重ねてきたなかで、これまではストーリーまわりの実装がかなり弱かったのは事実です。もともと『星唄』のあとのバージョンアップ内容は、ジョブ調整やモンスターの数値調整、あとは“アンバスケード”の更新くらいでやっていこうというのが当初の方針でした。

 そこからさらに、バトルコンテンツを年に1回くらい追加してきたのですが、その背景や設定の掘り下げを求めるプレイヤーの方が増えてきたというのもあります。

“静かなる森”は、そんな方々にとって非常に好評なイベントだったということもあり、“確実にストーリーが求められている”ことが認識できたので、それであればしっかりとやっていきましょう、という方針になりました。

──佐藤さんは、その話をいただいたときはどう思われましたか?

佐藤弥詠子氏(以下、敬称略):めちゃめちゃ嬉しかったです。『星唄』で、長い物語といったシナリオの実装は最後だと思っていたので、「ああ、まだ描けるんだ。」と思いまして。

 以前「まだ何か描いていないストーリーはありますか?」といったことを聞かれたことがあり、「あります。」と答えたのですが、いよいよそれを描けるのだなと。

 ストーリーのファンの方も待っていてくださるようですから、自分としてもすごく楽しみです。

──新しいストーリーは、どのようなテーマで描かれる予定なのでしょうか。

佐藤:テーマとしては、『FFXI』の物語の原点に立ち戻ろうかなと考えました。もちろん『星唄』でも原点に戻りましたが、そこでは“未来”を描いたので、今度は“過去”かなと。

 原点という意味で、獣人にスポットライトを当てた物語を考えました。獣人は、最初からプレイヤーのすぐそばにいる存在なのに、昨今のストーリーではあまり注目されていないな、と個人的に思っていたんですよね。

 新しいストーリーは、そういう視点からはじまっています。

──ということは、ラゾア大陸にあるオーク帝国についてなど、名前は出てくるけれど詳しく描かれていなかった部分なども語られるということでしょうか?

佐藤:そうですね。あまり描かれていないところに、スポットライトを当てたいなあと。

──“静かなる森”は、単に召喚獣との契約クエストというだけではなく、『アドゥリンの魔境』と『星唄』の物語を補完する内容になっていました。新しいストーリーも、これまでのヴァナ・ディールの物語と何らかの関係があるものなのでしょうか?

佐藤:開発スタッフ内でも、心に残ったストーリーや続きが気になるストーリーなどのことを聞き回ってみたのですが、それぞれの拡張ディスクにまたがる形で、いろいろな話が挙がってきました。

 そういった話からチョイスしてストーリーを組み立てたので、いろいろな話の補完であったり、語られなかったことに焦点が当たっています。

藤戸:これまでのストーリーで投げっぱなしになっている部分もあるので、そういうところは極力拾えるように工夫してほしいと、佐藤にお願いしています。

 そういったこれまで語られなかった部分を語りつつ、今のヴァナ・ディールに影響が出ていて、背景が繋がっていき、だんだんと何かがわかっていくような展開にできれば、とても見ごたえのある物語になるだろうなと考え、物語を詰めてもらっているところです。

  • ▲神獣セイレーンとの契約クエスト“静かなる森”は、ひさびさの新召喚魔法実装というだけでなく、ストーリー面でも非常に好評だった。

──何年かかけて長いスパンでストーリーを追加していくとのことですが、かなり大がかりな作業のように思えます。開発メンバーの増員や、開発環境の変化などはあったのでしょうか?

松井:開発メンバーについては、佐藤が加わったのが最大にして最高の増員だと思っています。長い間に渡ってというのも、一気にストーリーを作るのではなく、ほかの作業はこれまでどおりに続けながら、ストーリーも追加していくという形で運営を続けていくためのものです。

 そのストーリーについても、単に物語を見るだけではなく、いろいろな場所に行ったりバトルがあったりして、シナリオ班だけの作業ではありませんので、全員一丸となって開発していきます。

藤戸:ちょっと残業とかも発生してて、わりと全速力ですね(笑)。20周年という旗に向けて、いい感じでストーリーを盛り上げていきたいなというのもあるんですが、ストーリーを語るのは簡単じゃなく、カットシーンの作成はコストが高い作業なんです。

 ほかの制作作業もありますし、クエストを毎月毎月すごい量をお出しできる状況にはないので、朝の連続ドラマ的な感じで少しずつ作っていけたらなーと思っています。

──ストーリーは、少なくとも20周年までは続くという認識でいいのでしょうか?

藤戸:はい、大丈夫です。そこで終わるかどうかまだわかりませんが(笑)

──20周年で終わらず、以降も続く可能性が?

藤戸:長すぎると、それはそれでダレるじゃないですか。

松井:ちゃんと着地させてください(笑)。

藤戸:そこは佐藤とも話して、あまりに長くなりすぎないようにとお願いしています。

──プレイヤー側からすると、いつまででも続けてほしいんですけどね(笑)。

藤戸:物語としても、起承転結や区切りが必要ですし、盛り上げるためにも波を作っていかなければいけませんので。そのためにも20周年という旗に向けて、ロードマップを作って動けたらなあと思っています。

──具体的にはどういうスパンで実装していく予定なんでしょうか?

藤戸:だいたい1年に4話ぶんくらい実装できればいいなと思っていて、この8月は“1話-1”のような感じで実装します。“1話-1”と“1話-2”は繋がった話で、前編・後編みたいな感じですね。

 そして秋か冬に2話目を……といったように、1つの季節に1話お届けできればいいなという速度感です。もしかしたら、2つの季節にまたがったりするような話が出てくるかもしれませんが。

──8月に実装予定の最初のクエストはどんなテイストのお話なのでしょうか?

佐藤:すごく普通の、ふざけた感じのクエストというか(笑)。私の趣味に走ったようなクエストが入っています。

藤戸:最初はそんなに深刻な話ではないですよね。

佐藤:最近は暗い話も多いですから、明るい話で笑ってもらえたらいいな、と。ちょっとくだけた感じの話ですね。

──これまでのミッションのように、最初はドーンとくるのかと思いました。

佐藤:自分がこれまでに書いたものはドーンとしたものが多かったですね、『プロマシアの呪縛』とか。でも、今回はのんびりとはじまっております。私も作っていて楽しかったので、みなさんにも楽しんでいただけると嬉しいです。

──ストーリーは連続クエストの形式で展開するのでしょうか? それとも、毎回独立したストーリーが展開するのでしょうか。

佐藤:藤戸も言っていたように長い物語を考えていますが、1人の人物が引っ張っていくような構成のストーリーではなく、各地でさまざまなことが起きていくといった単発のクエスト風の形式になる予定です。

 ただ、物語の後半、ラストに向けてどんどんと盛り上がっていくような段階になると、連続クエストのような形式になると思います。

──新しいストーリーを見るためには、どのような条件をクリアする必要がありますか?

藤戸:これまでの物語の後日談的なものや、まだ語られていない設定などを話すことになるので、いろいろなことを知っておくためにも、最低限『星唄』のクリアはお願いしたいなと、条件に設定させてもらいました。

 最初はその条件なのですが、もしかしたら「もう少し特定のミッションやクエストを見てもらわないと、次の話はわかりにくいな」となったときは、新たな条件を追加するかもしれません。

──バトルもあるとのことですが、どのくらいの難易度を予定していますか?

藤戸:本年度に実装するバトルはそれほど難しくなく、何度もチャレンジしなければいけないような難易度にはしないつもりです。これまでも1人でもクリアできる難易度にミッションを調整してきた経緯がありますし。

 今回はミッションではないですが、なるべく1人でも対応できるように調整していきたいと思っています。新しいストーリーを堪能したいという方が、仲間の募集からはじめなければいけなくなると本末転倒なのかな、と。

──最後のほうは難易度が高い可能性もありますか?

藤戸:『星唄』も最後は難易度が高かったので、あれくらいにはなるかもしれません。ああいう感じのカーブを描いて難易度が変化していくとは思いますが、ストーリーを見るだけなら1人でも大丈夫なように作っていくつもりです。

──報酬も期待してしまいますが、どのようなものになるのでしょうか? 1クエストごとにもらえるのか、ある程度の区切りごとにもらえるのかなども気になります。

藤戸:どのくらいのものかはまだ言えませんが、何らかの報酬は用意します。クエストを進めていって1つのお話が終わったら何かがもらえるという感じですね。逆に言えば、何かもらえればそこで物語が一区切りなんだと認識していただいてよいかと思います。

──今回の新ストーリーのイメージイラストについて、発注の経緯やコンセプトなどをお聞かせください。

松井:18周年を象徴するようなイメージも含めて、どなたかにイラストをお願いしようかと打ち合わせをしたときに、『FFXI』を遊んでくださってる方の中から探そうという案のほか、断られてもいいのでファンタジー世界を体現するような著名なイラストレーターの方にもお願いしてみようという話がでました。

 そのとき、まず天野喜孝先生(※1)の名前があがり、そこから、ファンタジー小説などの表紙やイラストを手がけている方の名前をあげていったんです。そこで、山田章博先生(※2)の名前が出てきたときに、「山田先生の絵はいいよねぇ」と盛り上がったので、ダメ元でお願いしてみましょうという話になり、話を持っていったら引き受けていただけたので、とてもビックリしました。

【※1】日本のファンタジーアートを代表する一人。タツノコプロダクション時代から数多くのアニメーションのキャラクターデザインを手掛けるほか、『ファイナルファンタジー』シリーズの第1作目からイメージイラストなどを手掛ける。
【※2】日本のファンタジーアートを代表する一人。イラスト・漫画作品のほか、「十二国記」「ロードス島伝説」などの挿絵でも有名。ゲーム作品では『フロントミッション3』などのキャラクターデザインを手掛ける。

  • ILLUSTRATION: AKIHIRO YAMADA

──山田先生に依頼したのは、より“ファンタジー感”を出したかったという意図があるのでしょうか?

松井:山田先生って、「山田先生だなあ」という唯一無二の空気感があり、確固としたものを持たれている方なのですが、一方でヴァナ・ディールの世界になじみそうだなとも思いまして。

 あと「一生の思い出に、山田先生にヴァナ・ディールの世界を描いていただけたらいいな」という、ミーハーな気持ちで決めたところもあります(笑)。

──『FFXI』という1つの作品のイメージイラストを、かつては天野先生に描いていただき、さらに山田先生にも描いてもらうってすごいですよね。

松井:ファンタジーイラストの両巨頭といった感じのお二人ですしね。ほかにも、これまで何人かの著名な方に描いていただいておりますが、改めて振り返るとビッグネームの方が多くてすごいですよね。

 長く続けてきたこともあり、いろいろな人の力を得て、ますますヴァナ・ディールがより輝き、色を帯びて、ステキな世界になっていくなあと、うれしく思います。

──5種族のほか、ゴブリン族やミーブル族などの獣人が描かれているのが気になりますが、これは開発側からのオファーだったのでしょうか?

松井:そうですね。でも、当初は作画カロリーが高いから見直したほうがいいんじゃない?という話もあったんです。人数を減らして、女性キャラをドーンと配置するようなものとか。

佐藤:さきほども言いましたが、今回の物語ではいろいろなものにスポットライトを当てていくので、イラストの発注も盛りだくさんな内容になってしまって……。しかし、さすが山田先生、こんなにステキな絵を描いてくださいました。

松井:山田先生に描いてもらったとき、改めて全種族いたほうがいいなって思い直しました。男女いる種族は片方のみになりますが、自分たちのプレイしている種族がいてくれるっていうのは重要かなと。ほかに描かれているものについては、どこまでしゃべっていいのか僕はわかりませんが(笑)。

──通常とは色の違うイージスなどを装備していたり、ほかにも気になる要素がたくさんありますよね。これにも意味があるのでしょうか?

藤戸:読み取れるところは、読み取ってワクワクしてもらうのがいいんじゃないかなと(笑)。基本的には、新しいストーリー全般の要素をギューッと詰め込んだ感じの絵になっているので、無駄がないというか、要素的にはどれも意味があります。

 なので、イージスに見える盾にも意味がありますし、獣人がいるのも佐藤が話していたとおりです。ちなみに先ほど松井が女性キャラをドーンと……って話をしましたけど、もし今回の話で主人公級のキャラを一人だけドーンと描くなら、それは獣人になるんですよ。ゴブリンがドーンと描かれていても、どうなのかなと(苦笑)。

 それはそれで圧巻な絵になるとは思うんですけど。それよりは、もうちょっと今後の話の要素がわかるような感じのものがいいよねと詰め込んだ結果、こうなりました。

──ものすごい情報量ですよね。

藤戸:いや、ほんとに、よくここまで咀嚼いただけたなあって。正しい解釈で描いてくださっているので、すごくありがたいです。

──この絵の真の意味がわかるのは、2年後くらいになるのでしょうか?

佐藤:2年はかからないんじゃないでしょうか。まだはっきりとは言えないのですが。

藤戸:1年後くらいにはなんとなくわかるかもしれませんね。きっと驚くと思います。

──BGMも新しい曲が追加されますが、導入の経緯やコンセプトなど、お話できる範囲でうかがえると幸いです。

藤戸:BGMは、これまでも拡張シナリオごとに違うものを用意していて、この音楽が鳴ったらこの話なんだなって繋がってたと思います。そこで新しくクエストをはじめるにあたり、さきほどのイラストのように全体像を表現するものとして、目で見るものだけじゃなく耳から聴く曲も欲しいなって思ってたんですよ。

 それで、その話を部門長である吉田(直樹氏)にしたら、「その理屈はわかる。」と同意をいただけたので、発注をかけました。

──BGMを発注したときのイメージは、イラストと同じような感じだったのでしょうか?

佐藤:過去に注目してみようという考えのもとに発注しました。過去といっても、かなり遠い過去・長い年月となりますので、壮大な感じで、人と獣人の長く続く歴史のイメージでお願いしました。すごくいい曲が出来あがってきて、新ストーリー内で多く使っています。

──過去というと、まず『アルタナの神兵』を連想したのですが、遠い過去ということは、それとは違った時代なんでしょうか? クリスタル大戦の時代よりもっと古い過去といいますか。

佐藤:そうです、そうです。より壮大な意味での、過去ですね。

藤戸:『アルタナの神兵』は、あくまで20年前のクリスタル大戦にフォーカスした話でした。ですが新しいストーリーでいろいろな話のきっかけや馴れ初めを語る際、20年前のエピソードだけではさすがに語り切れず、全般的にもっと昔というか、戦争云々とかいってる時代をさらに遡ったりする可能性も……。

──ヴァナ・ディールという世界の歴史がわかるようなお話になりそうですね。その言葉でプレイヤーの期待もさらに上がりそうです。

藤戸:ハードルが棒高跳びくらいの高さになってそうです(笑)。

佐藤:書きすぎちゃったので、短くしてねって言われてるんですけどね(笑)。

──書きたいことがたまりにたまって、いっぱい出てきた感じなんですか?

佐藤:テキストを書くだけではなく、クエストとして実装する作業もあるので、書きたいだけ書いてるわけにもいかないんですけれども。ただ、みなさんから期待していただけると、それが私たちの力となって、より一層、みんなでがんばろーっといった気持ちになりますね。

──この新しいストーリーも、今のヴァナ・ディールを遊んでくださってるみなさんの声が原動力になっている感じなんですね。

佐藤:まさにそういった感じです。別の部署から久しぶりに戻ってきたのですが、今でも『FFXI』を楽しんでくださっている皆さまの声はとても新鮮で、本当にありがたく思っています。

新ストレージや新チャットチャンネルの意図、そして8月VUについて

──新ストーリー以外にも、今後の予定についておうかがいできればと思います。まず先日の「もぎたてヴァナ・ディール」によると、新しいストレージについて検討されているとのことでしたが、その内容についてお話しできる範囲でお聞かせください。

藤戸:じつはストレージの話をするとそればっかりになると思うので、本当はまだ言いたくなかったんですよ。しかも、本年度中にできる可能性も極めて低い内容なので、期待だけ煽って「まだなの?」って感じになるのがちょっとイヤだなと。しかし、先々の予定として、ストレージに関してまったく手をつけないのかということもみなさま心配してらっしゃいますし、その可能性に対しての回答という形で答えました。

 実際にストレージの形をどうするかですが、いくつかの案はあがっているものの、それぞれ問題点を抱えていて、いいところも悪いところもあり、どの形式になるかというのは、まだお答えできない状況にあります。

──ほかにもアイテムを整理するための施策などは考えていますか?

藤戸:アイテムを捨てられないようにロックするみたいなものは現状でも声が上がっていますし、なんらかのフォロー策を並行して進めていきたいなと思っています。

──例えば、スケルトンキーやアレキサンドライトをまとめたり……などはどうでしょうか。

藤戸:まとめないとプレイが成立しないようなものがあれば、その都度検討するという状況ですね。なんでもかんでもまとめるのは無理なので、まとめる必要があるのかどうか考えないといけません。例えば、アレキサンドライトの場合は、クエストを受けるまでためておきたいと考える人でしたらまとめてほしいという声になるとは思います。

 ですが、まとめないとプレイが成り立たないというものであれば、もう成り立ってないはずだと思うので、そこを積極的に推し進めていくには、優先度的には低いかなと。また、特定のアイテムだけをまとめるところにフォーカスを当てても、効果はあまり得られないんじゃないかなって思っています。

──次に初心者&復帰者向けの新規チャットチャンネルについてお聞かせください。

藤戸:その話の前にまず、少し前に『FFXI』のインストーラーとコンフィグの改修を行いました。これはなぜ行ったのかというと、『FFXI』を家に例えた場合、玄関のドアを開けるまでがすごい大変だったんです。なので、まずは玄関を整備しました。次に家には入りやすくなったものの、靴を脱ぐところが狭いとか、家の中の人に見向きもされないので寂しくなって離れてしまう、というような“定着”の問題に向き合うことになったんです。

 そこでどうすれば定着を促すことができるのかと考える過程で、もうちょっと横の協力をしやすくして、少しでもコミュニティと繋がりやすくするのはどうだろうと。何かわからないことがあったとき、躊躇なく発言して助けを求めてほしいんですけど、それを怖がる人も多いと思います。ならば、その助けを求めてもかまわない場所を具体的に提示しようということで、新チャットチャンネルを実装しようと考えました。

 ユニティチャットをもっと活用すればいいとか、エール(/yell)をもっと拡張すればいいって話もあると思うんですけど、それぞれに用途があって今の仕様になっているところもあるので、そこへ初心者さんや復帰者さんに入ってもらうのは、なかなかハードルが高いことだと思っています。なので、別の舞台を用意するということになりました。

──わからないことを尋ねる場にするという感じですか?

藤戸:いわば接着面ですね。新チャットチャンネルは、今プレイしてる人と初心者さんや復帰者さんを繋げる場所として準備するつもりです。これにはまだ続きがあって、LSコンシェルジュの改修とセットの話なんですよ。今のLSコンシェルジュは、NPCに話しかけるという1ステップが必要なうえに、そのNPCがどこにいるのかわかりにくい。

 なので、メニューに組み込む形にして、新チャットチャンネルで接着を果たしたあと、LSコンシェルジュに誘ってもらい、横で繋がってもらうという段階を踏めると、定着しやすくなるのかなと。これはシステマチックに考えていて、実際の人の気持ちまではすべてフォローできていないかもしれないですが、仕組みとしてそこまで作っておいたほうが今後のためかなと思っています。

 今はなかなかピンとこないかもしれませんし、使ってもらえるのかなという不安もあるんですけど、現状として初心者さんや復帰者さんの何割かが定着していないのであれば、何かしないとどうしようもないというところもあり、ここはコストを割いてやりましょうと決めています。

 なお、今回の新チャットチャンネルはエールよりも広く全エリアで聞こえるように仕組みを大きく作ってます。そうすると今度はスパムメッセージなどが心配になりますが、そこをいかに排除できるか仕組みを考えつつ、実装に向けて動いています。

──直近の8月バージョンアップについてもお聞かせください。“アンバスケード-エキスパート(1章)”はひさびさの新作となりますが、こちらの詳細は?

松井:1章も年に2回くらいは新作を入れたいねって話しています。今回はマムージャ族の魔道士で、新たな獣人装備の報酬も用意しています。

──ソロでも勝てるのでしょうか?

松井:1章については、“とてもやさしい”はソロでも勝てるように作っていますが、ソロで勝てることは重要視していません。基本的には、パーティを組んだとき、それぞれの役割の人がそれぞれの役割をはたせば、攻略できるギミックにしています。

──最近、1章の“とてもやさしい”よりもノーマル(2章)のほうが難しく感じることもあるのですが……?

松井:2章のほうは僕が倒せてるので大丈夫とは思ってるんですけど、ギミックによっては力押しがきかないからかもしれません。ギミックを解除すれば楽になるというのをやってほしくてピーキーな性能をつけてる部分はあるので、ギミックがわかると意外と簡単に攻略できると思っています。

 自分でやるときは、アイテムレベル119のAFに、アクセサリをあまりつけない状態で、“やさしい”が約20分かかるくらいのバランスをとってます。そのくらいなら、現役プレイヤーの方はそんなに苦労せずに倒せるバランスになってると思っていますが、ギミックによっては難しいときがあるかもしれません。

 あくまで“ギミックを解除した状態で倒せる”かつ“ギミックを解除しないと苦労する”を両立させる感覚で作っています。

──2章は、今後も新しいものを作っていくのでしょうか?

松井:2章はバージョンアップごとの変化の目玉として、今後も入れていきたいと思っています。1章は、あのレベルを組み上げるための検証コストがすごく高いので、毎月のバージョンアップごとに更新するのは厳しいのです。

  • ▲主にソロ向けのアンバスケード2章。7月のバージョンアップでも新作としてスパイダー族のボスが登場した。

──“アンバスケード”の報酬面での追加や調整の予定はありますか?

松井:“アンバスケード”ってバトルのトレーニング場のような意味合いもあって、ミスをしても痛いコストを払わなくても済むし、ほかの人に迷惑をかけることもあまりなく、練習できる場だとも思っています。ただ、そこの居心地がよすぎてほかのコンテンツに行かないとか、そこですべての報酬がまかなえてしまうのも違うだろうと思っていまして……。

 今はこれ以上の報酬の追加は考えていなくて「“アンバスケード”に慣れたら違うコンテンツをやってみてください」というスタンスのままで行きたいと思っています。

──報酬は武器の最終段階の実装でひと段落という感じですかね。

松井:そうですね。しばらくは、“オデシー”ですとか、ほかのコンテンツを盛り上げていくことの重要度のほうが高いかなと思います。

──“モグボナンザ”を新しい形で行うようですが、導入までの経緯や賞品についてお聞かせください。

藤戸:これは、コミュニティプランナーのほうから回答をもらってきました。“モグボナンザ”もずっとくり返されてきて、賞品も比較的見慣れた感じになってきたので、毛色の違った感じにしたいっていうのがありました。あと、やはりカバンの圧迫が非常につらいということで、それを解消しつつ、たまにはスペシャルなものをってことで、あの仕様(※3)になりました。賞品はまだ秘密です。

【※3】2020年11月と2021年2月に開催予定の“ノマドモグボナンザ”は、購入金額=1個20万ギル、購入個数=1キャラにつき1口まで、購入時に3ケタの番号を選択、といった仕様になる予定。

──来年2月の開催以降はどうなるのでしょうか?

藤戸:もし今回、この新しい仕組みが楽しい、これなら次もぜひという反響が大きければ、今後こちらをメインにしてもいいんじゃないかなと思っています。実際にどうなるかは反響次第ですね。

──7月のバージョンアップでナイトのジョブ調整がありましたが反響はいかがですか?

松井:この調整でナイトの不満が解消されたとは思っていなくて、あいかわらず魔導剣士ができることをナイトができないという不満は大きいかと思います。ただ、ナイトと魔導剣士を“同じ軸線上でどっちが強い”という形で戦わせたくなくて、ナイトはナイト、魔導剣士は魔導剣士でそれぞれ違う行動をしていただきたいし、得意な敵は違ってほしいし、それぞれのパーティ構成も違ってほしいと思っているので、調整はまだ続けていきたいと思っています。

 魔導剣士は属性を扱うジョブなので、黒魔道士などと相性がいい部分はこれまでどおりに。ナイトは前衛のアタッカーが組みたいと言ってくれるような方向に調整したいね、と話し合っているところです。

──ナイトの敵対心関係には手が入らないのでしょうか?

松井:敵対心を取る方法を入れたくないわけではないんですが、アタッカーが最高火力を出したらターゲットを取ってしまうという部分はある程度残したくて、そういう意味では魔導剣士が突出して強くなりすぎているとは思っています。コントロールが不要なくらいガッチリ敵対心が取れるとなると、その他のジョブの敵対心をコントロールする能力が“死に能力”になってしまいます。それを考えると、単純にナイトも魔導剣士と同じくらい敵対心を取れるようにするという調整は、今すぐはできないなあと。

 あと、こういった調整の結果ってあとになってじわじわ出てくるものもあるんですよね。ひょっとしたらプレイヤーの皆さんの試行錯誤の結果、数カ月後に調整の結果がとても強いことが判明したとしたら、そのあとにする調整って全部オーバースペックになってしまうんです。プレイヤーの方々からすると「のんきなこと言ってんなよ!」って思ってしまうかもしれませんが、一度やりすぎて弱体化したオーラという例もあり、我々としてもあの二の舞はどうしてもしたくないという思いがあるので、少し慎重に様子を見ながら調整させてください。

──8月のバージョンアップの獣使いの調整について教えてください。

松井:獣使いは「マスターが離れて遠くからペットをぶつけていれば勝てる」という時期があったこともあり、そのスタイルで戦いたいという声があるのは理解しています。しかし、それが猛威を奮うようになると、その戦術を封じるモンスターたちが出てくるだけで、結果的に獣使いの方々の幸せにはつながらないのかなと。ペットジョブはペットジョブごとで戦い方の違いがあってほしくて、獣使いに関しては、マスターとペットのトータルで火力が出せるように調整すべく、いろいろとやっています。

 8月はペットとマスターであるプレイヤーに強力なモクシャが追加されます。今までは主従で攻撃すると敵に余計なTPを与えるなどのデメリットが目立ちましたが、同じ敵を攻撃する場合のデメリットを減らし、メリットを増やす方向で調整していくと思います。装備品も、今まではペットだけ、もしくはマスターだけにしか命中がつかない装備品があったところを、これからはなるべくマスターもペットも両方パラメータがアップするようにして、装備品の選択も楽にしていこうかなと考えています。

春~初夏のアップデートの反響や、さまざまなコンテストの反響は?

──6~7月のバージョンアップの反響などについてもお聞かせください。まず、6月のイベントで登場した“マンドラ★”がとても楽しかったです。あれはどういう経緯で実装されたのでしょうか?

藤戸:毎年アニバーサリーのタイミングでイベントを作っていて、担当もずっと一緒なんですが、その担当が毎回毎回手の込んだ企画をあげてくるんですよね。今回もだいぶ悩んでたみたいなんですけど、前年にあった“スイカマンドラ”あたりから着想を得たのか、“マンカラ”っていうゲームに行き着いたらしく、あれを『FFXI』ナイズしてみようってことで、“マンドラ★”が作られたみたいです。

  • ▲ボードゲームの一種「マンカラ」をベースにした「マンドラ★」。6月のアニバーサリーイベントのなかで登場し、多くのプレイヤーを夢中にさせた。

──反響はどうでしたか?

藤戸:世界的にも有名なゲームですし、そこにおもしろさがないわけはないと思うんですよね。「説明を聞くだけだとわかりにくいけど、実際に触ってみるとすぐ理解できて、どんどん入っていけた」というコメントは、Twitterなどでも見かけました。

 またマンドラゴラだらけなんで、画面的にも非常にかわいらしいというか、一部のマンドラゴラファンには大好評でしたね。ポイントを稼ぐのにすごい時間がかかるというような声は聞こえてきたものの、ゲームそのものについての否定的な意見はあまり見かけませんでした。

──常設化や復刻の予定はありませんか?

松井:今はないですね。報酬と紐づいてなければ、いつでもやりたいときにやれるんですけど、それはそれでなんかもったいない気もするんですよね。報酬が付いて作業感が出てしまうのもイヤなので、頻度とかの調整もしないといけませんし。すごく好評だったというのは作った本人にも伝わっているので、もっといい形でまたお披露目できたらいいなと。ほかの季節イベントとかちあわないようにしないといけないので、いつでも好きなタイミングでというわけにはいきませんしね。

──6月のバージョンアップでは、エミネンスとユニティのポイント交換に制限が入りましたが、意外とすぐに上限に達してしまうこともあります。例えば、キャラクターの作成から45日以上で制限解除したり、直接ギルにできないアイテムは制限からはずすといった緩和の可能性はありますか?

松井:話題には出ています。通常のプレイをしてくださってる人、いわゆる“業者”ではない人なら、上限をあげるのはアリかもねって話はしていました。ただ、レム物語などはどちらかといえば、上位BFで取ってほしいんですよ。少し足りないときにエミネンスで交換するっていう位置づけのつもりなんです。

 ただ、制限について「ここまで緩和してほしい」という具体的で根拠のある数値があれば検討しますし、他にも、ディードの報酬として、エミネンス交換上限アップのようなものを追加するとかはアリかなと。今まで制限がなかった要素ではあるので、ちゃんと遊んでいる人向けのものであればいいかなとは思っています。

──いわゆる“業者”対策としての効果はどのくらいあったのでしょうか?

藤戸:一番ギルを供給していたのは、エミネンスで交換した装備品の売却だったんですよ。以前はエミネンスを稼いだら稼いだぶんだけギルに変換されていたのですが、交換の上限を設けたことで、それを利用していた“業者”は基本的には手を引きました。これは具体的な数値で見えているので、かなり効果が上がっていると考えてもいいと思います。

──効果があったことは確実なんですね。

藤戸:バージョンアップ以降、すごくわかりやすく変わりました。プレイヤーのみなさんにも大きく影響があった内容ではあるので、大変申し訳ない変更ではあったんですけど、それ以上の効果は十分にあったことはお伝えします。

──STF(スペシャルタスクフォース)の活動についてはどうでしょうか?

藤戸:STFが今何をやっていて、どういう傾向にありますというお知らせを、季節に1回か半年に1回くらい、フォーラムにコメントとして寄せるようにお願いはしてるんですけど、なにぶん専門的な部隊で、やってることが秘密のベールに包まれているというか、言えないことが非常に多いんです。

 言ったが最後、“業者”に次の段階に行ってしまわれる可能性もあって、調査や摘発に支障をきたすケースも多々あるんですよ。なので、あまり具体的なことは言えないんですけど、こんなことになっていました、というあとからのレポートについては、なるべくコメントしてもらっている状況です。

──話は変わりますが、シールドデザインコンテストに続いて、サブリガデザインコンテストの予定はありませんか? やりませんか?

松井:サブリガは難しいですよね。難しいと言いつつ、今度モルボルサブリガ(※4)が追加されるんですけど。

【※4】8月7日から開催されるイベント「グリーンフェスティバル」で、露天の商品として登場するアイテム。

──突然の発表にびっくりしました。

藤戸:サブリガは服の下に隠れたり、タルタルが履くとちっちゃくなったり、目立ちにくい状況もあるんですよね。デザインといっても、色のパターンが変わるくらいにしかならないのをみなさんから募るっていうのもどうなんだろうな……というところは思いとしてはあります。

 募集するなら、盾のようにちゃんと目立つものに仕上げたほうが、デザインした人も「オレの作ったこのデザインどうよ?」と話をしやすいのかなって。

──可能性自体はなくもない……でしょうか?

藤戸:『FFXI』のテクスチャは特殊な使い方をしてるものも多くて、例えば、胴装備のデザインって(一部を除き)半分をデザインしているんですよ。それを、システム的にもう半分にミラーリングしてデータを作っているので、装備をキャンバス的なものに見立ててなんでも絵を描いてデザインできるわけじゃないんです。

 サブリガもたぶん半分なんですけど、新しいものが作れるかどうかやってみたらできたので、デザインコンテストもやろうと思えばできます(笑)。

──コンテスト繋がりで、フェイスデザインコンテストの反響はどうでしたか?

藤戸:一次選考の段階でもけっこうな量があったんですけど、実装する仕様には満たさないものも多かったので、そういったものは省き、最終的に3体に絞り込んだ感じです。わりと実用的なものからちょっと変なものまでいろいろあって見てておもしろかったですね。

松井:コーネリアのように、実装したら使ってほしくはあるけれどバランスブレイカーすぎても困るので、おもしろくなりそうで使ってくれそうなもののなかから3つの案を選びました。自分のジョブだとか、好きな編成にあわせて、プッシュしてもらえればなと(※現在はすでに投票が終了済み)。

──今後も同様の企画はありそうですか?

松井:フェイスの枠はもう少ないので、ずっと残るものは吟味しないと難しいのですが、今回みたいな期間限定のものであれば、これが終わったあとにまたやるのは大丈夫です。ただ、どんなネタでいくかというのとセットなので、そこが悩ましいですね。今度は藤戸あたりを連れて歩くとかでしょうか(笑)。

──5月前後からプレイヤー人口が増えた印象がありますが、ここ数カ月のプレイ人口の推移はどうでしょうか?

松井:会員数はすごく増えました。さすがに最近はちょっと緩やかにはなっていますが。

藤戸:みんな仕事してるんだと思いますよ(笑)。新型コロナウィルスの影響で外出禁止になったときに、ガーっと人が増えたんですよ。そこから少し落ち着いてきて、ゆっくりですけど人口も戻っていってるので、みんな元の生活に戻りつつあって、また時間がなくなってきたのかなって。

──増えた人の多くは新規の方ですか? 復帰者の方ですか?

藤戸:その属性までは把握してないですね。ただ、かつてプレイしていた人が新規でやり直すケースも見受けられ、『FFXI』懐かしいな、ちょっと戻ってみようかな、という人が多かったのかなと感じています。それに引きずられて、友達や家族がやってるので、一緒にやろうって人が新規で入ってくるというケースも見受けられました。

──人口といえば、Asuraワールドがすごいですね。

藤戸:なんであんなに盛り上がってるんだろうというくらい、全盛期の頃と同じくらいの同時接続数なので、北米の盛り上がりはホントにスゴイですね。言葉の壁もあるためか、みんな知ってる人がいるところに集まりたいという心理が働いているんだろうと思います。それに対して運営側からのフォローも具体的な形でできたらと思い、「FFXIダイジェスト(※5)」をはじめたわけです。

【※5】YouTubeの『FFXI』公式チャンネルで公開されている動画シリーズ。松井氏や藤戸氏が出演し、主に海外のプレイヤーに向けてバージョンアップ情報の解説などがなされている。

──「FFXIダイジェスト」については、やはり海外の方向けに情報を発信しようというのがきっかけだったんですか?

藤戸:そうです。日本は“もぎヴァナ”があるんですが、海外では情報を公式に拾う機会がすごく少なくて、それはちょっと申し訳ないと思い、スタートしました。

──実際に海外の方の反響のほうはいかがでしょうか?

藤戸:喜んでいただいているようですね。「FFXIダイジェスト」は生配信ではなく録画なんですが、生の声が届いてるというか、自分たちに対して直に語りかけてくれている感覚になっていただいているようで、好評な模様です。

──開発側からの声が聞けるっていうのは、ユーザーにとってはうれしいですからね。

松井:北米の会員数増を受け、しっかりコストかけてアプローチしましょうというところから「FFXIダイジェスト」ははじまりました。ですので、日本向けに作ったものにただ英語の字幕を付けたものではなく、北米ユーザーからの質問に答えたりと、直接北米ユーザーに向けて作っています。

 そういった部分を敏感に感じ取っていただけているようで、「ならもっと直接話しかけよう」みたいにポストがすごく届くようになり、よい流れになっていると思います。

──反響という意味では『FFXI』プレイヤーの動画配信が活発なことの影響についてはどう思われますか?

松井:すごく大きいと思いますね。動画の配信で楽しそうに遊んでいただき、視聴者に「遊んでみたい」と感じていただくのは、我々にとってもすごくありがたい宣伝になっています。北米でも動画配信の影響で「新規で遊んでみました」という人がいるとの話を聞いています。

──今更ではありますが『FFXI』って配信向きだな、と感じます。UIがわかりやすいし、起きていることがログに全部出ていますし。

藤戸:逐一、ログに出してますからね。今のゲームって、全部記号的な表現がされていて、それがなんなのか初見ではわかりにくいこともあります。あと、最近は戦闘速度が早いって言われることはあるものの、基本はゆったりしたゲームなので、何をしてるかわからない、ということが少ないのかなと。

 そのあたりが配信向きというのは、あくまでたまたまだと思いますが、それが一役買って多くの人が「やってみたい」と思ってくださるのなら、ぜひ皆さんでガンガン動画を配信していただけたらと思います。

──ほかには、リアルでのグッズの反響はどうですか?

松井:18周年記念Tシャツで一連のグッズ計画はひと段落となりました。18周年記念Tシャツについてはカワイイ反面、ちょっと価格がお高くなってしまったので、次に作る機会があるなら、もうちょっとお求めやすい価格にしたいなと考えています。

 もちろんTシャツ以外にも作れたらと思いますが、今はイベント等で人を集めてグッズを売るということがやりにくい状況にあるので、今までのやり方の延長ではなくて、何か別のことを考えないといけないのかな……という気がしています。

──リアルイベントがしばらく開催しにくいことを考えると、そこで販売していたグッズの製作にも関わってきますからね。

松井:そうですね。リアルイベントってグッズ販売とセットになっていた部分もあるので、そういう機会がなくなってしまったのは大きいです。一方でグッズ担当の部署からは「企画をたててくれれば作りますよ」と言われているので、みなさんの反応を見ながら、どういうグッズが欲しいのかを考えて、過多にならない程度には作っていきたいなとは思ってます。

20周年に向けて加速していく『FFXI』とその物語――やがては伏せられた真実も明らかに!!

──それでは最後に、新たなストーリーを含めた今後の展開全般に関して、プレイヤーに期待してほしいことなどを一言ずついただけると幸いです。

松井:藤戸と佐藤には「このゲームにはやっぱり物語が必要だ、作ってくれたまえ。」って無茶振りをしたんにも関わらず、チームで一丸となってすごくいい雰囲気で作っています。私の30年の経験からすると、いい雰囲気で作ってるものは必ずいいものになるので、ご期待ください。お楽しみに。

藤戸:新ストーリーを基軸にというか、自分はわりと今後の計画全体をどういうふうに着地させようかという部分に心を砕いている状態です。冒頭でも言いましたが20周年というひとつの通過点があり、それに向けてどういう風に仕事をして、みなさんに駆け上がっていただくようにするかということに腐心しています。

 その過程でつまずきがちなところや、もう少しなんとかしてほしいというところもいっぱい出てくると思うので、そういった転がってる石みたいなものを横にどける作業に徹したいなと思っております。

佐藤:新ストーリーをお楽しみにー!

松井:もっとなんか言おうよ(笑)。

佐藤:では……ここまで言おうかどうか迷ってたものがあるんですよ。新ストーリーでは、拡張ディスクのいろいろなところをつまみ食いしながら、伏せられていた真実をお届けする予定なのですが、いずれヴァナ・ディールの世界設定に詳しい人でも予想がつかない“意外なもの”が出てくると思います。

──おお!?

佐藤:私たちもびっくりするような真実で、「え、これ言っていいの?」といったものがあります。なので、そこは特に、お楽しみに。

──それは8月のストーリーで見られるものなんですか?

佐藤:いえ、20周年に近いあたりで明かされるはずです。それまで、新ストーリーを楽しんでいただきたく……そして、じっくりお待ちいただければと思います!

(C)2002-2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
LOGO ILLUSTRATION: (C)2002 YOSHITAKA AMANO
ILLUSTRATION: AKIHIRO YAMADA

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

ファイナルファンタジーXI

  • メーカー:スクウェア・エニックス
  • 対応端末:Windows
  • ジャンル:MMORPG
  • 配信日:2002年5月16日
  • 価格:(※)+30日間\1,180(+税))
※『アドゥリンの魔境』Windows版(パッケージ版=オープン価格 ダウンロード版=\998/税込)、『ファイナルファンタジーXI ヴァナ・ディール コレクション4』Windows版(パッケージ版=\6,091/税込 ダウンロード版=\5,602/税込)は、e-STORE限定販売

関連する記事一覧はこちら