高度なITサービスで金融からものづくりまで幅広いビジネスのDXパートナーを務め、好業績を上げ続けるJSOL。NTT DATAとSMBCのグループ企業という安定基盤の上で進化してきた同社が今、一層強化しているのは、成長の鍵である人財尊重という戦略だ。
永井健志 代表取締役社長
「成長企業」「安定企業」「テクノロジー企業」そして「人財尊重企業」。
この四つの“顔”をバランス良く備えたエクセレントカンパニーは少ないが、ITサービスのJSOLは、そう呼べる企業の一つだ。業績は伸び続け、固い経営基盤と長い歴史を持ち、高い技術力でビジネスを変革し続け、待遇が良く、社員は成長できるが働き過ぎに陥らない。そんな会社が実在するのだ。
安定故の成長と
成長故の安定を両立
まず、成長企業としてのJSOLを見てみよう。375億円→411億円→447億円→529億円。これは同社の2020年度から23年度までの売上高の推移だ。大幅な増収を3期連続で実現させている。
同じ4年の間に営業利益もまた、27億円→47億円→54億円→69億円と、大幅増を記録している。3年連続で10%を超える高い利益率を維持している点も見逃せない。こうした業績は給与水準の引き上げにもつながっているのだが、この好調はJSOL自身の予測も超えており、同社は23年度、中期経営計画をわざわざ“上方修正”したほどだ。同社の永井健志社長は語る。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)のニーズが非常に高いことが業界全体にとって追い風になっていますが、それに加えて当社の場合、JSOLならではの特色が業績の基盤になっていると考えています」
その「特色」の一つは、安定企業という第二の“顔”だ。JSOLのスタートは06年で業種はITサービス、かつ、売り上げ・収益の過去最高記録を更新し続けている企業……となると、若いベンチャーのようにも見えるが、実はそうではない。同社はNTT DATAとSMBCというITおよび金融分野のトップグループの一翼を担い、元をたどると旧住友銀行をルーツとする半世紀を超えた老舗でもある。
JSOLの源流は1969年に旧住銀から分離して誕生した「日本情報サービス」であり、89年に同行のシンクタンク部門と合流した「日本総合研究所」だ。さらに旧住銀と旧さくら銀行の合併、持株会社への移行などを経て06年、「日本総研ソリューションズ」が誕生。09年にNTTデータが資本参加すると同時に、現在のJSOLに社名変更した。
もっとも、半世紀を超える同社の歴史、そして日本を代表する企業の一つともいえる両親会社の“看板”のみが、JSOLの安定の理由ではない。同社では、案件をグループ企業経由ではなく直接受注する比率(プライム案件比率)が95.2%と非常に高い。また、ソリューションを提供する先は、金融に加えて製造や製薬、食品・消費財、流通、放送・出版、官公庁、社会インフラなど幅広く、クライアントは1300社近くにも及ぶ(下図参照)。
「JSOLは一貫して、変わることによって成長してきた企業です。お客さまのニーズの変化やテクノロジーの進化に応じて自らを変化させ、ビジネスの幅を金融以外、グループ外にも広げてきました。変化を続けてビジネスを拡大させてきたことで、業種やグループを超えた、新たな安定基盤を生み出したといえます。もちろん、変化に取り組めた背景には、大手グループという、元々の安定基盤があったことも確かです」(永井社長)