2024年に加速した組織の「トレンド」
(1)完全リモートから「オフィス回帰」へ
2024年の会社組織において、主にどんなことがよく起こっていたかを振り返っておきたい。
第一は、従業員をオフィスに戻したということである。
最近もLINEヤフーが2025年4月以降、出社日を設ける方針だと報じられたが、この「オフィス回帰」という現象は、新型コロナウイルスのパンデミックによって広がったリモートワークの常態化からのシフトを意味しており、多くの組織にとって、新たな課題と機会をもたらしている。
オフィス回帰の主な目的は、イノベーションの創出だ。
リモートワークでは定型業務の効率化が進んだものの、新しいアイデアが生まれにくいという問題が浮かび上がった。オフィスでの対面作業は、偶発的な会話から創造的な「気づき」を促し、そこから新しいプロジェクトや改善策が生まれる場合が多い。
さらに、企業はオフィス回帰によって組織の一体感や方向性の統一も目指している。
リモートワークが長期化する中で、従業員間のコミュニケーションが希薄になりがちで、結果としてチームの連携やモチベーションの維持が難しくなっている。共有の作業空間であるオフィスでは、同じ時間を共に過ごすことで自然とチームワークが育まれ、組織全体の目標に対するコミットメントが強まる。
これらの目的を踏まえ、企業は完全な出勤からハイブリッドモデル(週に2~3日の出社)まで、さまざまな形態でオフィス回帰を推進している。しかし、この流れは従業員からの抵抗にあうこともあり、特にプライベートと仕事のバランスを重視する層からは反発もみられる。そのため、企業は従業員のニーズを理解し、上手に移行期間を設け、また丁寧な説明をすることが求められている。
(2)一般業務に生成AIが浸透
セキュリティー上のリスクも
第二は、生成AIの本格的な利用の推進である。
これは、単なる技術革新を超え、企業活動の根幹に影響を及ぼすほどの変化の第一歩だ。生成AIは議事録や提案文書の作成、アイデア創出、画像生成など、幅広い分野での利用が可能であり、業務の創造性の向上や効率化に大きく貢献することができる。