「お守り」もビジネスやマーケティングの視点で考えると、優れた商品です。何より、コンパクトでかわいいので、邪魔になりません。自分用にもプレゼント用にもぴったりです。

 お守りの起源は諸説あり、縄文時代からあったともいわれています。現在のお守りに近いものとしては、平安時代に貴族の女性の間で広まった「懸守」があげられます。「懸守」とは筒状の布袋に神仏像や紙のお札などを入れて、外出時に首にかけるものです。大河ドラマ『光る君へ』でも登場しました。

 お守りの中に入っているのは、御神璽というお札で、神社の神職が祈祷することで神の力が込められています(御霊入れ)。お守りは紐で袋の口が閉じられていることが多いですが、この紐には「神の力を逃さないように」という意味が込められています。お守りの中身を開けてはいけないといわれているのは、神の力が逃げてしまうというのが理由です。

 もちろん、神の力もご利益も科学的実証は難しいですが、前述したように信じることで起こる「プラシーボ効果」もあるので、効果がないとはいいきれません。自分で買って持つことで気持ちがポジティブになったり、人からもらったお守りによって頑張れたりするのであれば、そのお守りのご利益は十分にあると考えてもいいでしょう。

 しかし一方で、お守りに依存や執着してしまうことは、「運」を悪くすることにつながりかねません。たとえばせっかくもらった合格祈願のお守りを入学試験当日に忘れたからといって、動揺する必要は何もありません。お守りを持っているか否かで、試験結果が変わることは普通では考えられないからです。しかしそのことに動揺してしまうと、結果が悪い方向に転んでしまうことも起こり得ます。

 また、なかなか手に入らないレアなお守りを、必死になって手に入れようとするのも危険な兆候です。

 これは何もお守りに限ったことではありません。スピリチュアル全般や占星術などでも同様です。自らがポジティブになれるエンターテインメントとして楽しむ分にはいいのですが、それに影響されて行動が変わってしまうようであれば気をつけた方がいいでしょう。