ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第23回は「東大受験の戦い方」について考える。

共通テスト終了後は「集中力が切れる人」が増える

 東京大学現役合格を目指す天野晃一郎と早瀬菜緒の2人は、改めて受験の戦略を確認する。東大入試におけるセンター試験(現共通テスト)と二次試験の割合を気にする2人に、東大合格請負人の桜木は「四の五の言わずに黙って東大を受けろ!」と喝を入れる。

 今年も共通テストの季節がやってきた。厚手のコートを着て大学を訪れる受験生のTV映像が、今年はようやく他人事になった。とはいえ、翌朝の朝刊にのる問題はついつい見てしまう。

 東京大学では、共通テスト1000点満点が110点に圧縮され、2次試験の440点と合わせた計550点で合否が判定される。年度や科類にもよるが、共通テストの得点率でいうところの概ね85%~95%程度が合格者のボリュームゾーンだ。

 共通テストが終わってから2次試験までは、年にもよるが5~6週間ほど間が空く。至極当然のことだが、受験生にとってはこの期間の最後の追い込みが合格への鍵となる。

 とはいえ、現実は少々不条理だ。

 合格者の全員がこの間に猛勉強をしたというわけではない。「集中力が切れてYouTubeを見てばかりいたが合格した」という学生は、決して例外ではない。

 しかし、よくよく話を聞いてみるとその実態は違ってくるように思える。私が話を聞いた学生たちはほとんど、直前の模試でA判定やそれに近いB判定をとっていたという。つまり、ある程度サボっても合格するほどの学力をすでに手にしていたのである。

 それでも、直前の模試がB判定で少し気が緩んだ生徒と、直前の模試でC判定をとり猛勉強をしている生徒の実力は、2次試験当日はそこまで差はない。

判定に一喜一憂せず、メンタルを保つべし

漫画ドラゴン桜2 3巻P159『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 共通テストが終わると、大手予備校は生徒の自己採点データを集め、得点ごとの合格判定を出す。去年の共通テストでは、B判定とC判定の差は約20点だった。

 得点圧縮率から考えると、共通テストの20点は2次試験の約2点に相当する。2次試験の詳細な配点は明らかにされていないものの、漢字書き取り、英語の選択肢問題、世界史の1問1答それぞれ1題で逆転できる差である。

 東大入試では、B判定やC判定の生徒が合否を分けるラインにいる。やや乱暴な議論ではあるが、共通テストにおけるB判定とC判定の差は、2次試験においては所詮2、3点だ。決して楽観的になったり悲観的になったりする数字ではない。

 2次試験直前の勉強法については各自の状況に合わせるのが1番であるし、もちろん必勝法など存在しない。

 ただどうしてもYouTubeを見たければ、1つ良い方法がある。

 英語ニュースなどのコンテンツか、文系ならば暗記物の替え歌をみるのだ。私はあやふやになっていたイスラーム王朝の流れを“チキチキバンバン”の替え歌で覚えた。

 昨年、予備校大手3社における私の共通テスト本番の合格判定は、B判定、C判定、C判定だった。その直後の東大型模試でとったA判定は、私にとって最初で最後のA判定だった。

 今振り返ると、夏までE判定だった私のメンタルを最後まで支えていたのは、極度の楽観思考と頑固なプライドだったと思う。

 本番まであと1カ月以上ある。浮かれるにはまだ早い。諦めるにも、まだ早い。

 ゲームしながらの奴もいる。死に物狂いの奴もいる。

 ここからの1カ月が、人生で最も勉強したと胸をはって言える1カ月になるよう、たった1年前の挑戦者として陰ながら応援している。

漫画ドラゴン桜2 3巻P160『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 3巻P161『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク