
何か閃いたときには、すぐに発信して人と共有することが大切だ。アイデアを自分のものだけにしておくと、いつの間にか雲散霧消してしまうなど勿体無いことになる。誰もが自由に気づきを発信し合える、そんな「一億総表現者時代」を楽しもう!※本稿は、齋藤 孝『「気づき」の快感』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
「気づき」を出し惜しみ
してはいけない
気づきは放置していると雲散霧消するおそれがあります。気づいたらすぐに記録し、発信する習慣を持つことが重要です。ここでは、気づいたことをどう発信していくかについて考えてみたいと思います。
まずは、軽いお話から始めましょうか。
テレビ番組に出演すると、ちょっとした休憩時間に芸能人の方々と雑談をする機会があります。そんなとき、私は学生に向けたメッセージをお願いすることがあります。
「教員を目指す学生たちに、ぜひ一言お願いできますか?」
このようにコメントを求めると、皆さん快くメッセージを寄せてくださいます。
「先生は本当に大変なお仕事だと思います。頑張ってくださいね」
私がいうと当たり前ですが、オダギリジョーさんがわざわざコメントしてくれたとなると、貴重な言葉の贈り物であり、学生たちも喜びます。
ある番組で橋本環奈さんとご一緒したときにも、せっかくなのでメッセージをお願いしてみました。
「教員を目指すのは結構大変で、授業を途中でやめてしまう学生もいます。環奈さんに応援していただけるとみんな頑張ると思うので、ぜひ一言を」
そうお話ししたところ、環奈さんは真剣な表情で考え始めました。すると、私たちの会話を横で聞いていたくりぃむしちゅーの有田哲平さんが次の一言を放ったのです。
「じゃあ、“みんなが教師になるのを待ってるかんな”でいいじゃないですか?」
私たちは思わず噴き出してしまいました。“待ってるかんな”は洒落きいていますし、環奈さんがいわなそうなところにおかしさがあります。私はすかさず環奈さんに「これでいいですね?」と許可をいただきました。学生たちにいいお土産話ができたと思いました。
気づきを発信すればするほど
気づきを得やすくなる
こうして書いてみるとなんということのないエピソードですが、改めて考えると有田さんのすごさが光ります。有田さんは、環奈さんがコメントに苦慮しているのを瞬間的に感じ取ったのでしょう。私としても、軽い気持ちでコメントをお願いしたのですが、環奈さんに負担をかけるのは本意ではありません。