インバウンドがあ然…日本の美しい景観をブチ壊す「最悪の戦犯」とは?Photo:PIXTA

2024年の訪日外国人(インバウンド)数が3687万人、年間旅行消費額は8.1兆円で過去最高を記録した。日本がインバウンドマネーで潤う一方で、観光客のマナー違反やオーバーツーリズム(観光公害)も指摘される。日本は観光立国になれるのだろうか。『観光亡国論』の著書があり、『情熱大陸』に出演経験もある東洋文化研究者アレックス・カー氏に話を聞いた。(国際ジャーナリスト 大野和基)

インバウンドが指摘「日本は看板で台無し」

――日本の景観の問題点はありますか?

 日本の景観で何より大きな問題は、看板です。景観をぶち壊す看板があふれかえっています。精神的におかしいと思われるぐらい、看板が多過ぎますよ。

 特に私が憂いているのは、神社です。「厄年は何年で、お守りが売っている場所はこちら」といった看板。デザインもひどい。真っ白な金属板に真っ赤な字で描いたものなど、下品で派手な看板が増えている。

 でも、そうではない神社もあります。伊勢神宮はしっかり景観が守られています。日本の神社は伊勢神宮を見倣ったほうがいい。

 インバウンドが増えているからか、数カ国の外国語で、「これをやったらだめ」「写真を撮らないでください」といった忠告が至るところに書かれています。しかし、きりがないし、大人の判断に任せたらいいのではないでしょうか。

 私はよく、外国から来た観光客を案内しながら、「神道とは何か」といった話をします。「鳥居の下をくぐったら、清い神の世界だから、手や口を洗って入るのですよ」と説明するのです。

 けれども、目の前にある汚らしい看板だらけの光景を見た旅行者から、「あれは何ですか」と聞かれることも増えています。お寺や神社の真ん前に看板を置いたら、台無しです。横にずらせないものでしょうか。

 改善された例もあります。香川県の金刀比羅宮(ことひらぐう、愛称こんぴらさん)では以前、看板が鳥居から吊り下がっていました。去年ようやく外れて、純粋な鳥居の姿に戻りました。

 また、奈良の東大寺の柱に貼ってあった、派手な順路矢印の看板も外されて、元の美しさに戻りました。このように看板の醜さに気付いたところもあるようですが、まだまだですね。

――それは日本人が気づきにくい点ですね。他にも、外国人を案内して、気づくことはありますか?例えば、彼らが日本で感動していること。食べ物、商品、サービスで、ありますか?