ロリコン(ロリータ・コンプレックス)とは大人が少女に性的・恋愛的に惹かれること&そういう大人。
単にかわいらしい女の子が好きなだけの人がロリコンに誤解されることもある。
歴史
ナボコフの小説『ロリータ』に由来し、日本での初出は米国の本の訳書とされる。資料に基づく歴史のまとめとしては、全体の話はこちらを、二次元にからむ話はこちらを参照。ここでは日本の古典に少し触れてみる。
『源氏物語』の主人公・光源氏はロリコンではない(マザコンとも少し違う)。 『恋路ゆかしき大将』の恋路大将は明らかにロリコンである。
「をとめ」は古事記の国生み神話、「少女」は日本書紀の国生み神話、「童女」は古事記のヤマタノオロチ退治直前のクシナダヒメとの出会いの神話が、日本の文献での初出だろう(後ろの2つも読みは "をとめ" となっている)。また景行天皇時代、ヤマトタケルが童女の姿に女装して敵を討ち取ったという記述が古事記・日本書紀にある。
法律
みんなが法を知っているほうが法は守られるだろうから、対人ロリコン傾向の強い人以外(例えば二次元ロリコン)も知っておくべきかもしれない。被害児童や加害者は男女を問わない。
※2023年時点。こちらの記事などを参考にしつつ性犯罪関係の法改正(2023)も反映した。
16歳未満(13歳~15歳なら行為者が5歳以上年上のとき)との性的な行為
無条件に不同意性交等・不同意わいせつ・それらの未遂罪
- 監護している立場(親など) →無条件に監護者性交等・監護者わいせつ・それらの未遂罪
- 身分関係や雇用関係 →児童福祉法違反
- 金銭や物などの取り引き →児童買春罪(仲介・勧誘はより重い罪)
- 法的に真摯でない関係 →淫行罪(※リンク先に補足:2022年から女性も結婚は18歳以上)
16歳未満(13歳~15歳なら行為者が5歳以上年上のとき)に対して、以下のいずれかをした場合
- 脅す、だます、誘惑する、拒まれても何度も繰り返す、金銭や物などの取り引きのいずれかによって、わいせつ目的で会うのを要求
- 1の結果としてわいせつ目的で会う(1や3より重い罪)
- 性交等や性的部位を露出した姿などの写真や動画を撮影して送るのを要求
16歳未満(13歳~15歳なら行為者が5歳以上年上のとき)に対して、医療行為などの正当な理由なく、性的部位・それを覆う下着・わいせつな行為や性交等を撮影
その他
他に児童ポルノ所持・提供・製造罪などがある。地域によっては義務のないことの要求・つきまとう等も禁止で、例えば声掛け撮影も犯罪になりうる。
大人が児童に性的視線を向けると、恐怖したり、傷ついたり、その人への信頼を失ったりするかもしれない(後で気づいてそうなることも)。児童や近親に興味なくても、生物的反応で同性の女親さえ性的に意識してしまうことはあり、そうしたふるまいや状況を避けるのは、性的感覚ある者すべてのマナーだろう。
倫理
法規制や自制が要る理由
低年齢での性的行為は(低年齢同士でも大人とでも)危険行為のため有害である。理由は次の①②。要するに「低年齢ほど高確率で問題が生じ、しかも、低年齢ほど影響が重い」ということである。
①避妊・性感染症・心身の防衛と成長・社会関係・将来設計などでの性的判断力は低年齢ほど低い
② ①で問題が起こると低年齢ほど影響が大きい(例:妊娠・出産後の親子の経済的不利)
例を挙げると、性感染症であるHPV感染は一部が数年~数十年かけて進行して子宮頸がんとなり、20~40代の女性を中心に、日本では毎年約1万人発症して約3000人死亡している。HPVワクチンで50~70%防げるし、接種率40%でも集団免疫効果があるが、接種は性交渉経験前が最も効果的である。
低年齢と大人の場合は次の理由③~⑥が加わるため、行為を実行したり試みた大人は処罰される。
③判断力が認められる大人の側に責任が集中する
④行為を実行したり試みるのは低年齢側の①②の危険に対して理解や倫理性を欠く大人である
⑤腕力・判断力・経済力・社会的力などで力差がある
⑥生活全体が大人の保護下にある低年齢同士に比べ、片方が大人だと行為発生や状況悪化を防ぎにくい
大人側が監護者(親など)つまり低年齢側の生活全体を支える立場の場合、さらに次の理由⑦が加わるため、監護者性交等罪・監護者わいせつ罪・それらの未遂罪としてより厳しく処罰される。
⑦低年齢側が大人側に全面的に依存しているため③~⑥が非常に強まる
本来①の判断力を性的同意能力とすべきかもしれないが、判定システムが未整備なため年齢で区切られる。ただし、年齢と独立に同意能力が無いとして性的行為が性犯罪になることは実際あり、例えば6~7歳程度の知能しか有しない25歳の女性の判例がある。薬物とか精神疾患等で心神喪失となれば同様の扱いになる。つまり、認知症を含め心神喪失扱いになるレベルの精神疾患の相手が「同意した」としても、同意能力が認められないので強制的な行為として性犯罪となってしまうことはある。
このように児童を性的に保護する法規制は、低年齢という状態における利害と保護と育成を考えて制度が形成されてきたものだと言える。低年齢のときは、力も耐性も弱く、その後の人生が長い上に発達途上のため影響が大きいので、本人のためにも社会の将来のためにも保護が必要なのである。
性的な行為は法的に強く制約されるが、恋愛や婚約は法規制が無い。成長するまで性的な行為は自制する大人との関係は①②④に当てはまらないので、大人同士の関係より危険とはいえ、各人の価値観や個別の状況判断に委ねる余地が残されていると言える。
以上のことは、一部の性的傾向を持つ人々へ社会的制約を一方的に求めるだけの姿勢を正当化しない。未成年とくに低年齢の保護は大前提とした上で、小児性愛を含む対人ロリコンも、不正なことをしない限りは社会的に充実しつつ性的に満足できたほうがよい。直接間接の害の少ない性的充足を供給する研究・開発は、妨げず尊重していくべきではないだろうか。
創作表現の是非と規制
創作物の児童(設定上またはそう見えるキャラ)の性的描写の是非は、2つに分けて考えるべきである。
A. 創作の性的描写の是非(作者だけから職場のポスターまで、共有範囲ごとにどこまで許されるか)
B. Aに「低年齢ほど強く保護すべき(必要性)&保護されている(実態)」を加えるとどうなるか
Aはロリキャラかどうかとは無関係で、創作物全体や二次元全体の問題として議論するべきことである。いろいろな状況にもよるだろうし、簡単には結論が出せない。性犯罪に当たる行為を楽しむような描写はロリキャラを描いた作品に限らず多数あり、中には未成年との普通の性的行為より悪質だったり法的にも重罪となるような性的行為の描写(例えば拷問的なものや重傷を負わせるなど)もある。したがってロリキャラの性的描写より倫理的問題が大きいこともある。仮に、悪質な性犯罪・性暴力を性的に楽しませる描写をすべて~ある程度許容するなら、ロリキャラの性的描写もすべて~ある程度許容する理由になる。
Bは前段の「法規制や自制が要る理由」で述べたことで、ロリキャラだけ問題になる要素だが、児童への強い保護の必要性&実態は規制肯定論・否定論どちらの根拠にもなりうる。例えば、強く保護する実態があるのだから一貫性を持ち効果を高めるためそれに沿うべきという規制肯定論にもなれば、厳しく制約しているのだからバランスを取って創作表現は自由にすべきという規制否定論にもなる。Aだけでも難しい議論になる上に、Bが加わるともっと錯綜した議論になる。ここではとても結論を出すことはできない。
法律の動向はこちらを参照。2022年時点では大人キャラと同じで刑法175条に反しない限り合法だが、今後の法改正で規制される可能性はある。国際的には意見が割れている(例えば同じ北欧でもノルウェーでは違法、デンマークとフィンランドでは合法)。
なお、創作物は悪影響も与えうる。例えば自殺描写の悪影響(ウェルテル効果)は認められており、ガイドラインによる自主規制等が求められていくだろう(報道はフィクションの4倍危険という研究もあり、厚労省は報道関係者に頻繁に要請している。ちなみにガイドラインで述べられている自殺に関する迷信と事実は誰もが知っておくべきだろう)。また「たちの悪いデマや誤解の流布が創作物だけ起きない」わけがないし、創作物が伝え広めた思想が惨劇や悲惨をもたらすことも起こりうるし、何かの問題の軽視を助長したり、危険な性癖の形成に影響しうるかもしれない(ヒトの性的刷り込みはまだまだ未解明)。
考えるべき論点は「創作物には有害性がほんのわずかでもあるのか」ではなく、「その創作物がもたらす害と益のどちらが重いと見込まれるか」「その規制がもたらす害と益のどちらが重いと見込まれるか」「人によってどんな重み付けの仕方(価値観)があってそれをいかに工夫して調停するか」だろう。例えば表現の禁止や成人指定をしなくとも、わかるように注意書きすることで性被害の軽視を防ぐといった方法もある。
小児性愛症(Pedophilic Disorder)の基準
※素人判断は禁物。参考程度に。また小児「性愛傾向」と小児「性愛症」と小児「性犯罪傾向」は必ずしも一致しない。
- 思春期前の子どもが対象の持続的、集中的、かつ強烈な性的興奮パターン(持続的な性的思考、空想、衝動、または行動(behaviour)として現れる)が特徴。
- さらに、個人がこれらの考え、空想、または衝動に基づいて行為した(have acted)か、それらにより著しく苦しんでいる必要がある。
- 思春期前後の子どもたちの間での、年齢の近い仲間との性的行動には当てはまらない。
DSM-5(2013年改定)の診断基準(こちら(最終査読/改訂年月2019年7月)より引用)
- 思春期前の小児(通常13歳以下)を対象とする性的興奮をもたらす反復的な強い空想,衝動,または行動が6カ月以上にわたり認められる。
- 本人が衝動を行動化しているか,その衝動および空想によって著しい苦痛または機能障害が生じている。そのような衝動または行動に関わる苦痛の経験は診断の要件とされていない。
- 本人が16歳以上で,かつ空想または行動の対象である小児より5歳以上年長である(ただし,12~13歳の小児と持続的関係をもっている年長の青年は除く)。
以上の条件に当てはまると専門家が診断した場合は病気となる(子供の性別は問わない。男児が小児性愛の対象になるのは珍しくない)。治療法は認知行動療法(+補助としての薬物療法)で、性的な傾向を変えるのではなく、それによる問題を起こさずにすむようにしていく(性的な傾向が問題を起こさなくなると小児性愛症の診断基準から外れる)。
ただ、恋愛と性愛が違う性に向いて苦しんでおり性的傾向を変える研究を望む人もいるし、性的傾向は時間経過で変化するという調査もあり、再犯防止を目指して性的刺激への反応性を変化させる研究などは進めていくべきだろう(研究が進むと、新しい性的好みを開発したい人にも役立つかもしれない)。
悩みがあれば
「病気なのか知りたい」など精神的な悩みがあれば、素人判断より公共の無料相談を利用すべきかもしれない。全都道府県に精神保健福祉センターがあり、0570-064-556(こころの健康相談統一ダイヤル)は、かけた地域の窓口につながるようになっている。
心に関わることは(性の悩み含め)なんでも相談できる。国の法律で自治体に設置され専門家を雇って運営しているものなので、有効に活用しよう。
例えば東京都は心の不安や悩みの相談窓口やどこに相談したらよいか分からない時の相談窓口もある。電話で相談した後、希望があれば面接相談も無料で受け付けている。相談内容はこのようにいろいろ。
ロリコンと言われる人物(風評や誤解も含む)
架空の人物(二次設定を含む)
実在人物(風評や誤解も含む)
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