特に、車両等が夜中にライト(前照灯)をつけずに走る危険な状況を指すことが多い。
概要
道路交通法で、車両(自動車・バイク・自転車など)は夜間に灯火をつけることが定められている。ここでの夜間は「日没から日の出」となるが、それ以外の特定の状況(例:トンネルの中、濃霧)でも灯火をつける義務がある。
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
無灯火走行の違反点数・反則金は以下の通り。
自転車では反則金は設定されていないため、法令上は5万円以下の罰金となっている(運用上はよほど悪質でない限り課されることはない)。
灯火が壊れていたことが原因の場合は、無灯火ではなく整備不良となる。
夜中に無灯火で走ると、見える範囲が非常に狭くなるため事故のリスクが増す。
上記に加え、「ライトがついていないため、相手が自分の存在に気付きにくくなる」という大きな危険がある。つまり、「他の車両・歩行者からも自分はいないものとして扱われ、相手が自分めがけて突っ込んでくる」リスクが増える。
まだ日没していない、または日の出からすぐの状況であっても、薄暗ければライトをつけることが推奨されている(いわゆるトワイライト・オン)。警察に捕まるかどうかではなく、安全かどうかで判断しよう。
昼間点灯
「自分の存在を知らせる」という役割は昼間でも同じであるため、近年では昼間点灯が推奨されている。
かつては二輪車が中心だったが、2020年代前後から昼間走行灯(デイタイムランニングランプ/DRL)の装備が普及しはじめ、四輪車などでも昼間点灯が普及し始めている。
昼間点灯が義務づけられている車両の場合、昼間の無灯火も問題になる。その規則は車種により異なり、法律によるものでない場合は会社など法人の規則によるため一概に違反とは言えない。
自動二輪車
二輪車は四輪車に比べて小さく見えにくいため、平成初期から「昼間もライトオン」運動が展開されていた。1998年の道路運送車両法改正により、バイクは構造的に常時点灯することが義務化され、ライトのON/OFFスイッチが撤廃された。2000-2010年代に製造されたバイクは構造的に無灯火走行ができない。
2020年より、昼間はDRLを点灯させてヘッドランプは消灯することも可能になったが、そのような場合でも(自動消灯が強制でない限りは)点灯させておいたほうがよい。
構造的にスイッチを切れない車種を無灯火で走行させた場合、無灯火走行にはならないが「ヘッドランプが壊れていた」状態で走行させたことになり、状況によっては整備不良となることもある。
四輪車
2020年代から、一般車でも前述のDRLが普及し始めている。
それ以前から、パトカーや救急車などの緊急車両、トラックなどの営業車は自主的に昼間点灯を行っている。宅配トラックが昼間でもライトオンしていることがあるが、消し忘れではなくあえてそうしているのである。
自転車
自動二輪車よりもさらに見えにくいため、より昼間点灯が推奨されるべきである。
しかし、ダイナモ式の場合、電力の供給源は自分の足なのでペダルが重くなるという欠点がある。特に、安いママチャリに多いリムダイナモ式(タイヤの側面で発電機を回すタイプ)は段違いに重くなる。ハブダイナモ式(発電機がホイールの中心にあるタイプ)の場合重くなりにくいが、普及当初からオートライトが一般的だったため明るいと消灯してしまい、逆に昼間点灯という習慣が定着しにくい。
バッテリー式の場合は電池がもったいないという問題がある。充電式ならばコンセントやモバイルバッテリーに差すのが手間である。
そのような事情もあって夜間の無灯火すら依然として問題となっており、まして昼間点灯など一般層にはなかなか普及していないのが実状である。
その他、暗色ではなく明るい色の服装や、反射材等の装着も強く推奨されている。
鉄道
二輪車と同じく、平成初期からJR各社と大半の私鉄で常時点灯となっている。新幹線は開業当初から常時点灯だった。
ただし、モノレールなどの特殊な車両や一部の貨物列車など、細かい部分でそうとは限らない場合がある。
その他
真逆のパターンでライトは点灯しているが光量が強すぎる、ハイビームで対向車を眩惑してしまうといった問題が起きる場合もある。
意図的に消灯するもの
戦場などは夜間・暗闇において光は際立ってよく目立ち相手に存在や位置を察知されてしまうため、スイッチ操作によって作戦行動中や演習中は意図的に無灯火にする手段は広く用いられる。(厳密には前照灯以外も全て点灯不能にできる)