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麻薬とは、脳に作用して多幸感や幻覚などをもたらす薬である。連用により習慣的な耽溺症状をもたらすものもある。転じて、止められないものや使うと気持ちよくなるものの喩え。
コーヒーや茶などに含まれるカフェイン、お酒に含まれるアルコール、タバコに含まれるニコチンなども麻薬に似た作用を持つが、その作用機序、用量、依存性の強さなどから一般に麻薬とは別物として扱われる。しかしながら、いずれも多量摂取や慢性的な摂取により健康に害を来たすおそれはある。
概要
古典的な麻薬は脳内物質と似た構造をとっており、たとえば覚せい剤なら快感物質ドパミンに、幻覚剤なら癒し物質セロトニンに類似している。それぞれ、ドパミンの再取り込み阻害やセロトニン受容体結合などにより、快楽や幻覚をもたらす。お金を儲けようが美味いものを食べようがセックスしようが脳内で放出される物質の種類は変わらないため、薬を使うだけでお手軽にその感覚が味わえるという寸法である。
しかしこれを犯すと、脳は脳内物質は十分だと判断してその分泌を止めてしまう。人間の行動はこの脳内物質を目的に行われていると言っても過言ではない。薬が切れれば必然的に不快になり、使用者はさらなる快感を求めて麻薬を使用し……という悪循環に溺れて破滅していくのである。ダメ。ゼッタイ。
「麻薬」の定義はいくつかある。狭義には、ケシ由来のオピオイド(オピオイド受容体を刺激する薬物;モルヒネやヘロインなど)を意味する。麻薬及び向精神薬取締法においては個々の物質名を列挙し定義されている(具体的な薬物名は当該記事を参照)。ほかの定義はググれ。
基原や作用、依存性などで一概に定義することが難しいため複数の法律で網をかけているわけだが、これらの法律に当てはまらない麻薬も存在する。いわゆる危険ドラッグである。危険ドラッグといっても条例などで規制できるため、使用が罪にならないわけではない。もちろん体にも多大な影響が及ぶし、人体に使用する目的で販売すれば薬機法(旧薬事法)違反となる。2014年施行の改正薬事法では指定薬物を大幅に拡大し、所持や使用も対象となった。ダメ。ゼッタイ。
世界的に麻薬の使用、製造、販売は禁止されており、単純所持を取り締まっているところも多い。マフィアやテロリスト、暴力団などの資金源を断ったり、国民の公衆衛生や治安を維持するのが主な目的である。
鎮痛作用などの優れた効果を持つ麻薬は多く存在しており、依存性を切り離す研究は世界中で進められている。
医薬品として用いられている麻薬もあり、開腹、開胸手術後の鎮痛、癌性疼痛の緩和などに使われる。取り扱いには「麻薬施用者」「麻薬管理者」「麻薬小売業者」などの免許が必要となり、保管は麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く)と区別して、鍵をかけた堅固な設備(≒金庫)に貯蔵しなければならない。麻薬管理者、麻薬小売業者は譲渡や廃棄、施用の記録を品名、数量、年月日を含め麻薬帳簿に記載し、保存する義務があるなど、厳しい規制がかけられている。