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市場規模は3000億円!ユーザーを魅了し続ける「クレーンゲーム専門店」のユニークな戦略

2025.03.09

少子化などの影響もあり国内のアミューズメント施設の売り上げは年を追うごとに減少し、ゲームセンターの店舗数も徐々に減りつつある。しかし事実上のコロナ禍明けからインバウンドの流入がはじまった昨今、人々が再びゲームセンターへと足を運ぶ動きも見えてきている。

その求心力の筆頭を担っているのがクレーンゲームであることが各種のデータからもわかっており、市場規模は現在3000億円超ともいわれ、一大ブームが巻き起こっている。

現場ではクレーンゲームがどのように人々を惹きつけているのだろうか。ゲームセンター「エブリデイとれトレ屋」を運営する株式会社東洋のクレーンゲーム事業部エリアマネージャーで“クレーンゲームの達人”こと五十嵐直也さんに話を聞いた。

クレーンゲーム協会の運営にも携わる、“クレーンゲームの達人”五十嵐直也さん

トレンドを牽引するのは“普段使い”ができるゲームセンターの可能性

ゲームとしては昔からあるクレーンゲームだが、現在ゲームセンターの“救世主”の地位を占めるまでに人気を集めている背景に何があるのだろうか。

「クレーンゲームの人気は右肩上がりです。やはりこのコロナが終わった時、外出できなかったストレス発散の糸口としてゲームセンターが注目されたのだと思います」(五十嵐さん)

五十嵐さんによればゲームセンターでのストレス発散に加えて、遊んだ後に何か手元に残るモノを求めるニーズもあるという。たとえば海外からの観光客であればクレーンゲームでゲットした景品は日本旅行の良いお土産になることは間違いない。

かつては大きなぬいぐるみなどの大型景品に人気が集まった時期もあったが、今はマスコットなどの小さい景品の台が選ばれる傾向があるという。

「小さいマスコットの台は人気がありますね。特に女性から人気です」(五十嵐さん)

エブリデイとれトレ屋桶川店(埼玉県桶川市西2丁目9−36 マメトラショッピングパーク 2階)

意外なところではモバイルバッテリーが景品の台の支持率が高い。取材に訪れた「エブリデイとれトレ屋桶川店」ではお菓子やレトルトカレー、さらには野菜やフルーツが景品になった異色のクレーンゲームも人気があるということだ。獲得したお菓子やカレーなどは店内で食べることもできる。

「お菓子やカレーは、グループとか家族でいらした方々に人気です。この(同店舗)下がスーパーなんですが、遊んだ後に下で買おうとしていた野菜をクレーンゲームで手に入れている方もいらっしゃいます。ゲームでストレスを解消しつつ、生活に必要なものも手に入る、というのが今のクレーンゲームです」(五十嵐さん)

同店ではゲームで100円プレイする毎に1ポイントのチケットが発行され、集めたチケットでお菓子、ドリンク、日用品、おもちゃなどと交換できる。

「お店(ゲームセンター)は遊ぶだけじゃなくて、生活の一部にもなってゆくゆくはコンビニみたいになるのかもしれませんね」と五十嵐さんは語る。まさに“普段使い”ができるゲームセンターへの道が示されているのかもしれない。

景品が取れた・取れないにかかわらず、100円遊ぶごとに別途チケットがもらえる

チケットはお菓子などと交換でき、景品がうまくとれなくても「お金を損した感覚」を感じずに済む

“くれ達検定”こと「クレーンゲーム達人検定」を実施

注目を集めているクレーンゲームだが、まったくの初心者であったり、子どもの頃以来であまり得意ではなかった記憶があったりすれば、プレイをするのに二の足を踏むかもしれない。実地に則したレクチャーが受けられる機会があれば参加してみたいと思う向きも少なくないのだろう。

「エブリデイとれトレ屋」では一般社団法人日本クレーンゲーム協会が主催する「クレーンゲーム達人検定」を実施しており、受験を通じてエキスパートから指導を受けることができる。3級から1級まである検定だが、特に3級についてはむしろレクチャーがメインである色彩が濃いようだ。ちなみに五十嵐さんは1級取得者である。

「教わる機会を提供することで上達したお客様にファンになってもらいリピーターを増やしたいという観点からこの検定が生まれました。一般の方々に向けてクレーンゲームが好きになるきっかけになってほしいですね」(五十嵐さん)

ちなみに3級では講師によって12の基本技のレクチャーが行われ、受験者は基本的なテクニックを実際に台を操作しながら習得できる。その後に実技テストが行われ、12の基本技のうち8つ以上のクリア判定で3級合格となる。

受験者は20~30代が多いということだが、小学生もいたり、最近は50代の男性やもっと上のシニア層も目立つようになっていたりするという。さらに興味深いのはすでに合格している級を何度も受けている受験者がいることだ。

「2級に受かっている人で、ちょっとマニアックな方がまた同じ2級に応募してきています。たぶん4回くらい受けているんじゃないでしょうか。なぜかっていうと、その理由は点数なんです。語学のTOEICのケースみたいに、自分の点数を更新したいというマインドが働くみたいですね」(五十嵐さん)

2級の受験料は1万円だが、合格でも不合格でも2回目以降は5000円になることも複数回受験を後押ししているといえそうだ。

ちなみに同社の社員になるためには3級取得が必須である。アルバイトやパート社員においても取得が推奨されており、現状でスタッフの90%は3級以上を取得しているという。

まだまだ続くクレーンゲームの流行。最近では景品がより生活に役立つものになっていたり、クレーンゲーム検定が実施されたりと、趣味への入り口が広がっているようだ。

取材・文/仲田しんじ

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