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セル 【cell】

概要

セル(cell)とは、細胞、気泡、マス目、小区画、個室、小部屋、独房、小集団、班などの意味を持つ英単語。何らかの大きな構造が均質の小さな単位の組み合わせでできているときに、その単位を生物の細胞になぞらえてこのように呼ぶ。

表計算ソフトのセル

表計算ソフト文書作成ソフトWebページなどで、表(テーブル)を構成する一つ一つのマス目のことをセルという。通常は表計算ソフトのマス目をセルと呼ぶ。

表計算ソフトは碁盤の目のように内部が分割されたスプレッドシート(spread sheet)と呼ばれる表を用いてデータの整理や計算を行うが、表の内部のひとつひとつの小さな区画のことをセルという。セルには数値や文字列、日付、計算式、関数などを記述でき、演算を行う場合は他のセルの内容を呼び出して用いることができる。

セルの位置は行番号と列番号の組み合わせで識別される。Microsoft Excelなど多くのソフトでは列番号にアルファベット(A,B,C,…)、行番号に自然数(1,2,3,…)が割り当てられ、これらを組み合わせて「A1」「C10」のように位置を指定する。列数が26行を超える場合は「Z,AA,AB,…,AZ,BA,…,ZZ,AAA,…」のように桁数が増えていく。

相対参照と絶対参照

セルのイメージ画像

あるセルから別のセルを参照する際、セル間の相対的な位置関係を指定することを「相対参照」、特定のセルの絶対的な位置を指定することを「絶対参照」という。多くのソフトでは「A1」のような記法は相対参照とみなされ、「$A$1」のような記法が絶対参照を表す。

例えば、B1セルに「=A1*2」という式を書くと内部的には「左隣のセルの2倍」という意味になり、これを一段下のセルにコピーすると自動的に「=A2*2」に書き換わる。一方、「=$A$1*2」と記述すると常にA1セルを指し示す絶対参照となり、「A1セルの2倍」という意味になる。一段下にコピーしても「=$A$1*2」のままである。

移動体通信のセル

セルのイメージ画像

携帯電話・移動体データ通信で、一つの無線基地局がカバーする通信可能な範囲をセルという。数百mから数km程度のセルを隙間なく配置して通話エリアを形成したものを「セルラーネットワーク」(cellular network)と呼び、そのような無線通信方式をセルラー方式という。

地上に基地局を配置する現代の移動体通信網のほとんどがこの方式を用いており、英語で携帯電話のことを “mobile phone” 以外に “cellular phone” あるいは略して “cell phone” と呼ぶほど定着している。

範囲による分類

一つのセルの範囲は通信規格などによって異なり、一般的な携帯電話基地局では最大数キロメートルの「マクロセル」(macrocell)を用いるが、PHSのように数百メートル程度の「マイクロセル」(microcell)を多数設置する方式もある。

また、近年では電波の届きにくい場所や建物内に数メートルから数十メートルをカバーする「ナノセル」(nanocell)あるいは「ピコセル」(picocell)を補完的に設置したり、家庭などで光ファイバーなどの固定回線に接続して使う「フェムトセル」(femtocell)が使われることもある。

(2023.2.3更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。