2017年12月18日に、「RISC-V Day 2017 Tokyo(リスクファイブの1日)」が開催され、RISC-V会長のKrste Asanović氏らがRISC-Vについて講演を行った。本記事では、基調講演を一部抜粋して紹介する。
オープンなISA(命令セットアーキテクチャ)として、注目を集めている「RISC-V」。2017年12月18日に、「RISC-V Day 2017 Tokyo(リスクファイブの1日)」(東京大学本郷キャンパス)が開催され、RISC-V Foundation会長のKrste Asanović氏らが、RISC-Vの現在と未来について講演を行った。本記事では、RISC-V Day 2017 Tokyoの基調講演をダイジェスト形式で紹介する。
RISC-Vは、米University of California at Berkeley(UC Berkeley:カリフォルニア大学バークレー校)で、2010年より開発が始まったRISC(Reduced Instruction Set Computer)形式のISA。RISC-Vの主導的立場にあるRISC-V Foundationには、GoogleやNVIDIA、Qualcommといった企業がメンバーとして参画しており、RISC-Vの動向にIT、半導体各社が注視していることが伺える。また、Western Digital(WD:ウエスタンデジタル)は、自社のHDDやSSDにRISC-Vチップを搭載することを決定している(関連記事:関心高まるRISC-V、Armやx86の代替となり得るか)。
RISC-V Day 2017 Tokyoは、RISC-V Foundationの後援で開催された日本初の開発者向けイベント。来場者は目算で約250人にものぼり、国内でも注目を集めつつあることを実感するイベントだった。
本イベントの基調講演では、RISC-V Foundation会長のKrste Asanović氏が登壇。基調講演のテーマを「Instruction Wants to be Free!(命令セットは自由になりたい)」として、RISC-Vを開発した経緯や、他のISAと比較した場合のメリットなどを紹介した。
Asanović氏は、UC Berkeleyの電子工学計算機科学科教授を務める傍ら、RISC-VをベースとしたCPUコアやカスタムSoC(System on Chip)などを手掛ける米国ベンチャー企業「SiFive」のCTO(最高技術責任者)に就任している。
RISC-Vは当初、教育研究用途を目的として、2010年の夏からAsanović氏を含めた4人により開発がスタートした。教育研究用として、既存のISAを活用することは
が問題となり、これらを解決するオープンかつライセンスフリーなISAとしてRISC-Vを開発したという。既存のISAが複雑であることの一例としてAsanović氏は、x86の「AAA」命令とARM v7の「LDMIAEQ」命令を挙げ、「市場を支配するISAは皆、ひどいデザインだ」(Asanović氏)と語り、聴講者の笑いを誘った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.