以下の記事は本当だったと仮定した感想
請負業において工数で見積もりをするのは当然のことだ。今のところ、それしか価値を計る方法はないし、価値を生むかわからない顧客の要望に答えるならば単価x時間などの成果から外れた報酬をもらうのはエクセレントな方法論であろう。
システム構築のプロフェッショナルが、顧客のビジネスの成否から切り離してシステム開発を請け負う理想的な形だと思う。
しかし、作ったシステムが成熟した結果、社会全体の中で「何かを維持をする仕事」の方が大きくなったのだと思う。日本社会が成長しているうちは、システムを維持する仕事に対する経済への寄与が増大していくのだろうから、十分ビジネスとして成長したと思うが、日本社会が成長しなくなると、既存システムはそれ以上の売り上げをもたらさない可能性が高い。
つまり経済規模は大きいが、成長をもたらさない。そういうビジネスは、守りに入る。
問題はそのターンになる長い経験の中で、成功法則と同じぐらいバッドノウハウが貯まってしまっている部分にある。特にシステムについては、過去の不具合、過去の問題、その会社でしか経験していないバッドノウハウが、負の経験になる。
ビジネスが成熟し、新しいコストをかけることが簡単にプラスの効果をもたさらさないようになると、利益を上げる源泉はコスト削減だ。おそらくSIerに対する変化を拒絶する流れというのは、このような圧力がかかっているのではないかと思う。
変化しないこと、コストを削減すること、何も変えないこと、というのが顧客要望として存在しているのだと思う。なぜなら、そのシステムを維持することは大きな経済の山を構成しているからだ。
その山を維持する仕事はすごく重要な仕事なので、上記の記事に書いている変化をしない人たちの存在価値は大きい。おそらく彼らは技術の深いところをあんまり考えないでも仕事ができる。ある意味、社会への柔軟性、適応性が高いが故に、変化をしないことを大切にするのだと思う。
この記事を書いた人のように自分自身がやりたいことがあって、もっと変化したい、新しい技術を積極的に使いたいのではあれば、活躍の舞台はそこではないのかもしれない。個人的に問題視してる社会の問題としては、変化しない山の方が、世間の会社的なヒエラルキーが高いところにあるので、とりあえず高学歴な新卒の就職先に選ばれやすいところが現状の問題だと思っている。維持する仕事があって労働者がいて、たまに血気盛んな若者が辞める程度なら、売り上げは維持できるので、会社は変化しなくても済む。増田に愚痴を書いても山は崩れない。
ビジネスが成功した時に変化が抑止される方向にバイアスがかかるのは、SIerに限らない。あらゆる技術系企業のごくごく一般論だと思う。前に自動車のエンジンコントローラのプログラムが変化を拒絶する構造でカオスだという書き込みをどこかで見たが、変化してはいけないところ = 安定している部分を守るがゆえに、プリフィルター、ポストフィルターみたいに増築、増築でしか変化ができないという話を聞いても仕方のないことだと思う。
SIerという産業が、ネットビジネスよりも、少し前に存在していただけのことで、ネットビジネスの現在進行中の未来の構図でもある。ネットビジネスが社会の中で成熟してくればくるほど、重要な売り上げを構成する山がどんどん増えていくだろう。
そうなった時に、特に既存サービスを支えるエンジニアが、どうやって自分の仕事にワクワクし続けられるか、どうやって成長を続けられるか、というのが技術マネジメントにとって重要な仕事になると思う。幸いにしてクラウド、TDDや継続的デリバリなど、安定と変化の両立を技術で解決する方法論はどんどん出てきているので、同じ徹は踏まないように一歩一歩を大切にしていくことが大切だろう。
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