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風来のリヨナ

メアリー&マックスの風来のリヨナのレビュー・感想・評価

メアリー&マックス(2009年製作の映画)
5.0
コンデンスミルクを飲めたらいいね

オーストラリア在住の友達いない8歳少女メアリー。貧しめの暮らしで孤独を持て余している彼女は、ある日、思い付きで、ランダムに取得したニューヨークの人に”友達になって”と手紙を書いてみることに…。

これを受けたのは、同じく孤独、不眠症…他様々な精神面の厄介事を持つ44歳マックス氏。お互い似た者同士ということもあり、辿々しい心の交流が始まるが…みたいな。



レンタル落ちは宝まみれ…ということで100円で確保していたストップモーションなクレイアニメーションです。ご存じの方は存じている大評判の本作。そして今度…同監督のカタツムリ…?の奴があるらしい。なんですかそれは。

不器用というか自閉傾向が大変高く、人の表情を理解出来ない、でも数字は得意、いい加減な世間ほとんどに混乱してしまう、などの生き辛さに苛まれる中年男性マックス氏と、同じように不器用めのメアリー間で交わされた20年以上に渡る文通がベースとなるガチ人間ドラマなお話…。これは…これは…あ〜〜…良い。

基本コミカルでありつつも監督の実体験がベースということで、酒浸り万引き中毒の母(酒は”紅茶の味見”、万引きは”借りる”と言い含めてる)やら、過食を始めとするマックス氏の不安障害やら、なりたくない母にだんだん近付くメアリーやら…エグいレベルで生々しさが感じられるところが多々。もうキツいキツい。

ファンタジーな部分もかなりあるのにずっと地に足がついてる感覚があって、これ”現実”なんだなって感じが凄いんですよね。だからこそ、このラストが本当に苦しくもあり、本当に救いにも思える。

強烈極まるビジュアルも勿論。木のようなオーストラリアの色調に対して、モノトーンのニューヨークだったり…マックスの日常にメアリーから差し込まれる”色”だったり…そういう表現的な部分もとんでもなく良いので、この見てくれの割にめちゃめちゃ重たい話ですが、どうにか観てみてほしい…。超おすすめ。完全に傑作。

個人的に気に入ったのは、寒中水泳で乳首を立てるのが趣味の祖父、日本軍に足をピラニアに食わされた人、パントマイムを止めずに死ぬ人、ラストシーンの全てです。
風来のリヨナ

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