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福福吉吉

レッド・ファミリーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

レッド・ファミリー(2013年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
ペク・スンヘ率いる北朝鮮の工作員たちは家族を装いながら韓国に滞在して暗殺などの任務をこなしていた。ペクたちの住む家の隣には喧嘩ばかりしている普通の韓国人家族が住んでおり、ペクは彼らの姿に呆れていたが、彼らが常に一緒に暮らしている姿に北朝鮮に残してきた本当の家族への思いが募っていく。

◆感想◆
家族を装って韓国に滞在している北朝鮮工作員たちが隣家の家族と交流していく間に自分たちの現状に疑問を持ち始めるとともに、偽の家族だった工作員たちの中で本当の家族のような絆が生まれていくストーリーとなっており、ストーリーの最初と最後で主人公たち北朝鮮工作員の心情ががらりと変わっていて、彼らの思いに感情移入してしまいました。

主人公の北朝鮮工作員たちは隊長で妻役のペク・スンヘ、夫役のキム・ジェホン、祖父役のチョ・ミョンシク、娘役のオ・ミンジで構成されており、ペクの絶対的な指揮のもと、感情を排してスパイ活動に従事していました。ペクがかなり高圧的なキャラクターになっていて、他の3人はそれに従わざるを得ない状態でした。

その一方の隣家は夫婦が常に喧嘩ばかりで祖母と息子のチャンスがそれを仲裁するという険悪な関係の家族であり、特に妻が自己中心的な性格をしていて腹立たしい人物となっていました。しかし、隣家の息子のチャンスがミンジに好意を持ち、また、隣家の祖母もミョンシクに好意的な態度を示したことで工作員家族と隣の家の家族が交流するようになっていきます。

次第に隣の家がうらやましく感じるようになるペクたち工作員たちの感情の変化が本作の見どころだと思います。ペクたち工作員に対して他の工作員から韓国に感化していることを知られて彼らは追い詰められていくのですが、これがとても切なかった。ペクたちが人としての感情を取り戻していくことが仇になる展開は観ていて胸を締め付けられる思いになりました。

ラストはとても悲しかったです。国民より国が優先される世界の怖さや情の無さを感じました。

心に響くものがあって、とても面白かったです。

鑑賞日:2025年1月6日
鑑賞方法:U-NEXT
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