眩惑的な映像で異界にいざなうなんとも曰く言い難い映画であった。ジャンルとしてはドキュメンタリーに近いのだろうけれども、よもつひらさかの向こう側とこちら側を行ったり来たりしている感が強く、水中洞窟のた…
>>続きを読む前に観たパトリシオ・グスマン『真珠のボタン』以上に平衡感覚が失われた。全てが曖昧で混沌としている映像や語り口。もちろん自分が単に理解出来ていないということもある。それ以上に現実をありのままに映してい…
>>続きを読むセノーテに生きる人々や風景,動植物,
往年の歳月を象徴する洞窟の岩肌,水底に沈む骨,差し込む光。
淡々と映し出される映像に古代マヤ文明から引用される詩が重なる。
あまりに美しいセノーテの幻想と、現…
現地の人々の顔を真正面から映し出し、闘牛で殺される牛の断末魔が耳を劈く。音は二重化しそののズレが映像を際立たせる。穴から降り注ぐ緑の木漏れ日と灯火の赤が補色となり印象的。魚の鱗は佐藤晃一のデザインみ…
>>続きを読む不幸を乗り越えるための知性を仮に呪術というならば、小田香は『あの優しさへ』で望んだ「すべてを粉砕する知性から遠く離れた場所」に、この映画でようやく到達できたのではないかと思える。自らの身体を過酷な体…
>>続きを読む胎内の記憶
残酷な人間、その遺伝子を持つ我々
生者としてのわれわれ
死の淵で見える美しい世界
泡と水中の埃、光のよう
撮影者の息を吸う音
私たちをみつめる顔
生々しい肉、それを食べる我々
軽快な…
(C)Oda kaori