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“吻”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほっ36.6%
27.3%
ほつ17.4%
くち6.2%
3.1%
くちばし1.9%
くちさき1.2%
くちびる1.2%
くちづ0.6%
0.6%
つい0.6%
つぶや0.6%
0.6%
はし0.6%
0.6%
ほツ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
抱いて通ったのか、もつれて飛んだのか、まるでうつつで、ぐたりと肩にっかかったまま、そうでしょう……引息をほっと深く、木戸口で
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は、百合が仲間はづれになつてゐないのを見てツとした。稍離れた処を見るとユキ子が森の肩に腕をのせて木柵に凭つてゐた。
競馬の日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
大約おほよそ三四町も駈通して、もう大丈夫だらうと思ツて、自分は立停たちどまツてほつと一息した。あとを振向いて見ても誰も來る模樣が無い。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
マラリア、デング熱の病原蚊、睡眠病の蠅、毒蚋、ナイフのようなくちの大馬蠅の Tufwaoチュファ ああ、その大集雲!
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
聴水は可笑おかしさをこらえて、「あわただし何事ぞや。おもての色も常ならぬに……物にや追はれ給ひたる」ト、といかくれば。黒衣は初めて太息といき
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
いまわしき蟲共は、表面平穏を装いながら、その実死体の内部に於て、幾億の極微なるくちばしを揃え、ムチムチと、五臓を蝕み尽しているのであった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
唯一の武器とするくちさきを使おうとするとあまりに窮屈な自分の家はからだを曲げる事を許さない。最後の苦悩にもがくだけの余裕さえもない。
簔虫と蜘蛛 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また蝶は昆虫類の中の鱗翅類に属しそのくちびるは左右の小顎が延びてできたものであると承知しても、菜の花に遊ぶ蝶を見て愉快に思う情はそのために毫も変らぬ。
彼らは形を抱きその厚みにくちづけをした。そうして如何にゆるやかなゆがみが、心にくつろぎを贈るかを知っていた。彼らは一つの器物にも様々な夢を抱いた。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
何ぞてしひりいないるを取り自ら己が身を打つて懺悔礼拝ざんげらいはいせざる。何ぞさんた、くるすをひて、ひとへにおらつしよを唱へざる。波羅葦増雲近づけり。祈りを上げよ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
文三はホッと吐息をついて、顧みて我家わがいえの中庭を瞰下みおろせば、所狭ところせきまで植駢うえならべた艸花くさばな立樹たちきなぞが、わびし気にく虫の音を包んで、黯黒くらやみうちからヌッと半身を捉出ぬきだして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
して來た樣な物だとつぶやき/\本町へ歸る途中とちうも長三郎思ひなやみし娘がこと言はぬもつらし言も又恥しゝとは懷中ふところそだちの大家の息子むすこ世間せけん見ず胸に餘て立歸るもあまりはやしと思ふより如何したことと兩親が問ば先刻せんこく音羽まで參りましたが腹痛ふくつうにて何分なにぶん心地こゝちあしければ王子へ行ずに立歸りしと答へて欝々うつ/\部屋に入り夜具やぐ引擔ひきかつぎ打臥うちふししが目先に殘るは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一言のもとにねつけておしまいになり、可愛いい松吉の顔を見て下さらないばかりか、最後には脅迫だとて、花の父を警官の手にお渡しになりました。
美人鷹匠 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
博士がひとりで二万両の金のありかを探して自分の物にしようとしたので、弟の理学士がいかりのあまり、飼い馴らしていた南洋鸚哥いんこはしに毒を塗って、兄をつかせて殺したのである。
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そして又幾針もせぬうちにつと手を休めて、膝もとに寝んでゐる多次郎の蒲団を掛け直したりした。広い田園に夜が落ちると、ひつそりした沈黙の、音のない騒がしさがきこえるのであつた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
れいしたいて悠々いう/\小取廻ことりまはし通抜とほりぬける旅僧たびそうは、たれそでかなかつたから、さいはひ其後そのあといてまちはいつて、ほツといふいきいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)