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韓国経済利下げが「失敗」するワケ

〔PHOTO〕gettyimages

韓国はこのほど追加利下げに踏み切り、政策金利を初の1%台に引き下げることを決定した。韓国はこれまでも利下げを実施してきたが、経済の「デフレ化」が進むばかりで、景気も一向に浮揚しない。なぜ韓国は利下げでも浮上できないのか。

まず、韓国経済をおさらいすると、その特徴は輸出依存度が高いことにある。輸出額のGDP比は直近時点で45%程度で、世界平均の25%、日本の15%程度とくらべて高い。

輸出依存型の国が通貨量を増やす金融緩和をすれば、「為替安↑輸出増」となり経済成長できるもの。しかし、韓国では思い切った金融緩和をしにくい事情があり、これが足かせとなっている。

日本は対外資産が対外債務よりかなり大きくGDP比でみて6割程度の純債権国であるが、韓国は5%程度の純債権国にすぎない。さらに、韓国の対外債務は短期のものが多く、韓国ウォンが安くなると外資は韓国から引き揚げやすいともいわれている。そのため、大幅なウォン安になるような大胆な金融緩和が行いにくいのが実情だ。

こうした事情は、韓国国内のインフレ率の動向をみるとよくわかる。韓国の金融政策はインフレ目標をとっている。中央銀行である韓国銀行のホームページには、'13年から'15年までのインフレ目標は消費者物価指数上昇率を対前年同月比でみて2・5~3・5%にすると書かれている。

ところが、'12年6月以降、この水準には至っていない。'15年2月のインフレ率は0・5%であり、このままでは目標期間で一度も目標達成しないことになりそうだ。

要するに、国内のデフレ気味の経済さえも浮上できないレベルの金融緩和しかやっていないという状況といえる。こうした中で、言い訳程度の金融緩和で利下げをしているが、そもそも為替が安くならないように、つまり効果が出ない範囲でしか利下げをしないので、当然のことながら利下げも「経済効果なし」というわけだ。

本来であれば、ゼロ金利政策にした後で、日米欧のように量的緩和しないと韓国経済の浮上はあり得ない。米の量的緩和はようやく出口であるが、日欧はいまだに真っ最中だ。このため、韓国が少しくらい利下げしても、対ユーロでも対円でも韓国ウォン安にならない。その結果、輸出がさっぱり伸びずに、韓国経済はイマイチとなる。

数年前まで韓国経済がうまく回っていたのは、アベノミクス以前、日本の中央銀行がデフレ志向で金融緩和しなかったからだ。日本と韓国は輸出構造が似ていて、家電、自動車が輸出の主力商品。商品の内容、性能も似ているので、最終的には価格競争力がものをいう。日本が金融緩和せずに円高傾向だったので、韓国ウォンは相対的に円にくらべて安く、その分韓国の価格競争力に寄与したのだろう。その結果、数年前までは韓国が国際市場において有利だったのだ。

それが最近は円安なので、日本の自動車・家電業界は復活し、韓国の自動車・家電は不振に陥っている。これは国内のデフレ化を防ぐために金融政策をどれほどやったかの差であり、為替競争とはいえない。金融政策をうまくやるかどうかで、天国と地獄の差がでてしまうということだ。

『週刊現代』2015年4月11日号より


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