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弁護士が見た、地下アイドル業界の闇…どこの事務所もブラックすぎる

ファンに夢を与える仕事のはずが…

ヒドすぎる、地下アイドルの労働の実態

2018年5月、四国で活躍していた16歳のご当地アイドルの方が、事務所を辞める際に請求された損害賠償金が理由で自死した、という問題が大きく取り上げられ話題を呼びました。それをきっかけに、地下アイドルのブラックな労働環境が指摘されるようになります。

私は労働問題を専門に扱う弁護士ですが、地下アイドルの働き方を少しでも改善したいと思い、7月に『地下アイドルの法律相談』という本を出版しました。

 

この本の各章冒頭では、扱うモデルケースを漫画で紹介しています。そこに登場する事例は、私が実際に関わった事件や、地下アイドルに取材して聞いた体験談をアレンジしたものです。しかし実際には、本の中で扱ったもの以上に問題がある事例も数多く存在します。

以下では私が担当した実際の事例を紹介しながら、地下アイドルが置かれた労働環境の問題点や、ブラックになってしまう構造を分析していきましょう。

「恋愛禁止」を破ったら損害賠償

私のところに、事務所を移籍しようとしているアイドルAが相談に来ました。当初の依頼内容は、新しい事務所との間で締結するマネジメント契約書に関するチェックです。

その契約書の中には、他の多くの事務所でも設けられているアイドル側に不利な条項が多数盛り込まれていました。

たとえば、「恋愛禁止」を破った場合の損害賠償の規定、ライブ会場までの交通費やレッスン代等の経費をアイドルが負担するとの規定、契約に違反した場合、事務所がそれまでアイドルを育成するために要した費用を全額請求できるという規定、退所後2年間は他の事務所に所属したり芸能活動を禁止する規定(活動禁止規定)、そして活動を再開したくとも現在の芸名やSNSアカウントを使用できないといった規定です。

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