投資に興味をもつと非常によく耳にするのが全世界(オルカン)、S&P500ではないでしょうか。
それもそのはずです。なぜなら投資について調べていると全世界(オルカン)か、S&P500が良いという情報が溢れていて、またすでに投資をしている人でも全世界(オルカン)、S&P500に投資をしている人が多いからです。
その中でも下記のような不安を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「インデックスの投資信託の積立で全世界(オルカン)、S&P500がよさそうというのはわかったが、どちらがよいかわからない」
「全世界(オルカン)、S&P500のメリットとデメリットが詳しく知りたい」
「全世界(オルカン)、S&P500を分散して積み立てた方がいいの?」
「S&P500、オルカンの2つで自分によりあった方を選びたい」
つみたてNISAの制度が開始してから、約5年がたち、投資信託への認知度もあがりましたが、あくまでも元本保証がない『投資』なので、慎重な方も多いと思います。そして新NISAがはじまり、今年から投資を始めようかなという方もいるかもしれません。
そのような方たちに結論から申し上げると、私たち投資家のおすすめはS&P500です。理由は下記の2つがあるからです。
・外貨資産と円建て資産のバランスをとること
・投資の神様と言われるウォーレン・バフェットさんの妻への遺言
上記の理由について詳しくは1章で説明しますが、1番大事なことは自分自身でよく考えて選択することです。この記事では読者の皆さんが自分で考え選択できるように、全世界(オルカン)とS&P500のメリットやデメリット、6つの比較軸について解説しています。
そして、全世界(オルカン)かS&P500どっちがよいか考えるためのポイントを下記にまとめました。
オルカン・S&P500のどっちを選ぶかは米国の比重をどう考えるか次第
オルカン・S&P500のうち、一番リターンが高いのはS&P500の一括投資
オルカン・S&P500のうち、一番リスクが低いのはオルカンの積み立て投資
これらの趣旨は後の各項目で詳しく説明しています。
本記事は、日本一のお金の学校(※2021年日本トレンドリサーチ調べ)「グローバルファイナンシャルスクール(GFS)」市川校長監修のもと、GFS社内外の投資信託のプロの達の意見も考察し、「積み立てのためのインデックスファンドの投資信託はS&P500、オルカン、どっちがいいか」について、解説します。
なお、投資信託の選び方に関する知識を学びたい方には、グローバルファイナンシャルスクール(GFS)が提供する無料オンライン講座がおすすめです。
あなたの資産形成の目的に沿ったベストな投資信託を選べるような力を身につけることができます。
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
オルカン・S&P500はどっちがいい?プロのおすすめはS&P500
オルカン・S&P500どっちがいい?ということですが、冒頭でも申し上げた通り、あくまで私たち投資家の意見ですが、私たちはS&P500派です。
理由は
・外貨資産と円建て資産のバランス
・投資の神様と言われるウォーレン・バフェットさんの妻への遺言
があるからです。
日本人である場合、現預金や日本株など多くの金融資産が円建てに偏る場合が多いと考えられます。
そのため、円建て資産に対して、ドル建て資産をある程度保有し、バランスを取る意味で為替ヘッジなしのS&P500で良いのではという考えです。
現状、外貨として、世界の基軸通貨はドルです。また、筆者は投資歴19年程ですが、その間、リーマンショック直後に、「倒産すべき企業は倒産させ、新陳代謝をはかり、ドル安政策や金融緩和で比較的短期間で米国株が回復していく姿」を体感していました。このことから上記の「長期継続」の要因となるアメリカ経済の底力を感じているのも要因の1つです。
それから投資の神様と言われるウォーレン・バフェットさんは、自分が死んだあと遺産の90%をS&P500に投資をするようにと語られました。出展:バークシャー・ハサウェイ社の年次報告書(2013年)「ウォーレン・バフェットから株主への手紙(Warren Buffett’s Letters to Berkshire Shareholders)」
このメッセージからも信頼度が高いと感じています。
なお、「オルカン・S&P500のどっちが長期で継続できそうか」の判断材料として、メリット・デメリット、オルカンとS&P500の違いなどを後述しています。
しかしながら、人それぞれ、リスク許容度、投資家としての性格やインデックス投資との相性、人生全体でのお金との向き合い方など異なると考えられます。
よって、あくまで筆者個人の見解である点を付記させていただきます。
次章ではオルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても継続することが重要である理由を説明していきます。
投資の知識が中途半端なうちは、何を買うのが自分にとってベストかわからない、という状態に陥ってしまいがちです。
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オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要
ここでは、オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても、長期間続けられることが重要である点について、説明します。
まず前提として「オルカン・S&P500のどっちがいい?」については、積立、一括投資ともに長期間継続できそうな方を選ぶように考えましょう。
オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要な理由は2つあります。
オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要な理由は2つ
- インフレ
- 平均保有期間
それぞれ説明していきます。
オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要な理由:インフレ
まず、お金そのものの本質として、時間とともに長期的に価値が下がるという点があります。
つまり、長い期間で見ると物価は上昇(インフレ)しているという意味です。
「失われた30年」という物価下落(デフレ)を経験している日本でさえ、企業物価指数※1を見ると、令和4年の物価は昭和40年の約2.3倍になっています。※1企業物価指数とは企業間で取引される財の価格変動を測定するもの。
企業間で取引される際の財の価格 | 消費者が購入する際の財およびサービスの価格 | |||
企業物価指数 | 消費者物価指数<令和2(2020)年平均=100> | |||
国内企業物価指数<令和2(2020)年平均=100> | 戦前基準指数<昭和9(1934)~11(1936)年平均=1> | 総合 | 持家の帰属家賃を除く総合 | |
年平均 | 年平均 | 年平均 | 年平均 | |
昭和39年までのデータは省略 | ||||
昭和40年(1965) | 49.0 | 359.4 | —— | 23.9 |
36年(1961) | 48.5 | |||
昭和37年〜平成31年までのデータは省略 | ||||
令和元年(2019) | 101.2 | 698.7 | 100.0 | 100.0 |
4年(2022) | 114.9 | 860.4 | 102.3 | 102.7 |
出展:日本銀行
このインフレに強いのが株といわれています。
一例として、世界の株式時価総額ランキングで一位ではない日本株でも、日経平均は2024年3月4日の株価で約40,109円となり75年でおよそ230倍になっています。
インフレに強いと言われている金でも約70年でおよそ11倍なので、いかに株がインフレに強いかがわかります。
そのインフレに強い株に分散投資するものが投資信託です。
つまり、S&P500やオルカンのように株式市場全体に連動するインデックスの投資信託に長期的に投資をすれば、インフレにより現金が目減りするリスクを減らせる可能性があがるといえるでしょう。
逆に言うと、長期的に投資でお金が増やせないと、インフレの影響でお金が実質的に目減りする可能性が高くなると考えられます。
この点からも、オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても長期継続できる方を選ぶようにするとよいでしょう。
オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要な理由:平均保有期間
筆者は以前、対面証券、ネット証券の役職者や役員に提案営業をする仕事をしておりましたが、当時ある大手ネット証券の役員の方いわく、
「投資信託の積立を2年継続できるのは半分より少ない」とおっしゃっておりました。
下記画像は少し古い記事になりますが、2021年4月の日経新聞に掲載されていた投資市場の平均保有期間の推移です。
それによると全ファンドの平均の保有期間は2.5年のようです。つみたてNISA対象投資信託に至っては短期化しており、2年とちょっとで解約というのが平均のようです。
出展:日本経済新聞
株式市場の本質として、短期的には乱高下することがよくありますが、冒頭の「日経平均でも約75年で230倍」のように長い目でみると過去の歴史上、株は上昇してきました。
積み立てであれ、一括投資であれ、短期的な大幅下落などで売ってしまうと、こうした上昇の恩恵を十分に受けにくくなります。
したがって、「オルカン・S&P500のどっちがいい?」については、積立、一括投資ともに「長期継続」できそうな方を選ぶと良いでしょう。
投資信託につきましては、こちらの記事もチェックしてみてください。
投資信託で損したくないなら勉強は必須!初心者が失敗しない鉄壁の勉強法
次の章ではオルカン・S&P500のどっちが自分に最適であるか選ぶための基準として、両者のメリット・デメリットについてお伝えします。
オルカン・S&P500のメリット・デメリット
ここではオルカン・S&P500のメリット、デメリットについて、説明いたします。
S&P500とオルカンで自分に最適な方を選ぶためにまずはそれぞれのメリットデメリットを知っておきましょう。
下記はS&P500とオルカンのメリットデメリットをまとめたものです。
オルカン | S&P500 | |
メリット | ・将来、新興国が高成長していった際にも恩恵を受けやすい ・低コスト ・分配金を再投資してくれる | ・銘柄入れ替えが不要 ・優秀な人材が集まる国 ・人口増加 |
デメリット | ・構成比率6割がアメリカ | ・リスクが大きい ・国力の長期的な衰退リスク |
それぞれ説明していきます。
S&P500のメリット・デメリット
S&P500のメリットは下記です。
S&P500のメリット
- 銘柄入れ替えが不要
- 優秀な人材が集まる国
- 人口増加
S&P500のメリット:銘柄入れ替え不要
S&P500のメリットは自分で銘柄の入れ替えをする必要がない点です。
S&P500に組み入れられる銘柄は浮動株比率※1、時価総額や利益など厳しい基準に基づき、年4回入れ替えがあります。
※1浮動株比率とは市場で実際に売買される可能性の高い「浮動株」が発行済み株式総数に占める割合のこと
名称 | S&P500 |
算出開始日 | 1957年3月4日 |
構成銘柄数 | 500銘柄 |
算出方法 | 時価総額加重型 |
銘柄入れ替え時期 | 四半期に一回 |
その結果、この20年程で考えても、GFAM(グーグル=アルファベット、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)など株価が約10〜数十倍になった銘柄が含まれております。
S&P500構成銘柄上位10位(2024年4月30日時点) | |
銘柄名 | |
1 | マイクロソフト |
2 | アップル |
3 | エヌビディア |
4 | アマゾン・ドット・コム |
5 | メタ・プラットフォームズ |
6 | アルファベット(クラスA) |
7 | アルファベット(クラスC) |
8 | バークシャー・ハサウェイ |
9 | イーライリリー |
10 | ブロードコム |
出展:JTG証券
また、この10年程でも、テスラ、エヌビディアなど株価が数十倍になっている銘柄がS&P500をけん引しております。
市場平均以上の運用利回りを目指す運用をアクティブ運用といいますが、S&P500以上の運用パフォーマンスを出せるアクティブ運用のファンドはごくわずかであると考えられます。その理由としてはS&P500の年4回の銘柄入れ替えにあります。
S&P500のメリット:優秀な人材が集まる国
アメリカは優秀な移民を自国の社会にとりこみ、アメリカンドリームを示して、起業させ、経済成長の原動力にかえています。
その証拠にGAFAMの全ての経営陣にはインド系やアジア系の方や多様なバックボーンの方が含まれています。
多様なバックボーンをかかえた優秀な移民たちが起業をし、事業を長期的に高成長をさせることで、米国経済も成長しました。
このような土台により、新たな産業や企業が立ち上がり、経済の新陳代謝がうまれ、まわりまわって、S&P500など株価指数の長期的な上昇につながっています。
S&P500のメリット:人口増加
生産性やひとりあたりGDPの観点もありますが、基本的には人口が多くなれば、それだけ自国での消費も増加します。
消費の大きな規模は各企業や経済をうるおします。
アメリカでは総人口と生産年齢人口が増加し続けており、1980年前後には人口約2.28億人でしたが、過去40年程で、約3.3億人まで増えております。
増加傾向は今も継続中です。
画像出展:日本と世界の統計データ
データ元出展:United States of America: historical demographical data of the whole country
これがS&P500の組み入れられた企業も含めて、アメリカの企業の売上や利益に大きな影響を与えています。
なお、ご参考までに日本は2011年以降、12年連続で人口が減少しています。
出展:総務省統計局
他にも下記の記事にて、S&P500について解説しています。
良ければご覧ください。
米国株には構造的に長期上昇しやすい要因がある
上記のS&P500のメリットに対して、デメリットは下記です。
S&P500のデメリット
- リスクが大きい
- 国力の長期的な衰退リスク
S&P500のデメリット:リスクが大きい
S&P500は暴落時の下落幅が大きい傾向があります。
主な下落は下記です。
2000年前後のITバブル崩壊時:高値から40%以上
2008年前後のリーマンショック時:高値から50%以上
出展:『株式投資2年生の教科書』(Gakken)より抜粋
世界的な金融危機や大恐慌など株式市場では将来何が起きるかはだれもわかりません。
それはS&P500も例外ではありません。
インデックスの投資信託の場合、数十年単位での投資が前提となるため、こうした下落時などにろうばいして売ってしまうと、パフォーマンスが落ちる可能性が高くなると考えられます。
S&P500のデメリット:国力の長期的な衰退リスク
ここでは、覇権国の入れ替わり、オイルダラー(ペトロダラー)システムについて説明しています。
覇権国の入れ替わり
アメリカが世界の中心的な立ち位置であり、現在、経済、軍事、文化などあらゆる点で、他国に比較して、圧倒的な国力を示し、覇権を握っているという事実があります。
しかし、長期的に国力が衰退する可能性は0ではありません。
国力が衰退すると自国経済に影響を与え、最終的に自国の株価指数にも大きな影響をもたらします。
過去、覇権国になった国はおおよそ100年で覇権の状態がおわりました。
大航海時代の15−16世紀ポルトガル、スペイン、17世紀はオランダ、18世紀はフランス、19世紀は産業革命をいち早くすすめたイギリスが、それぞれ約100年、自国通貨を世界の基軸通貨としてきた事実があります。
その後、第一次世界大戦のパリ講和会議にて米国が主導権を握り、それ以降、現在のようなアメリカの立ち位置につながっています。
もしも、世界の中でのアメリカの立ち位置が弱くなった場合、国力が衰退し、S&P500など株価指数にも影響する可能性があります。
オイルダラー(ペトロダラー)システム
次にこの米国が覇権国、ドルが世界の基軸通貨である大きな要因の1つが原油のドル決済です。
これはオイルダラー(ペトロダラー)システムといわれ、1970年代以降、世界では原油の決済はドルで行われています。
過去約50年、このシステムがドル需要の原因となり、世界からドルが買われ、アメリカへ資金流入し、米国株の長期上昇にもつながってきているのが現実であると考えます。
しかし、2023年1月、サウジアラビアが「ドル以外の通貨を原油の決済に用いる議論に対しては基本的にオープンな姿勢である」点、報道されました。
もしも、今後、原油の決済通貨が米ドルでなくなると基本的にドル安になり、長期的にはS&P500も上昇しにくくなる可能性があります。
オルカンのメリット・デメリット
ここではオルカンのメリットデメリットについて説明いたします。
メリットは下記です。
オルカンのメリット
- 将来、新興国が高成長していった際にも恩恵を受けやすい
- 低コスト
オルカンのメリット:将来、新興国が高成長していった際にも恩恵を受けやすい
42カ国の株式に分散投資をしている関係上、将来、新興国が高成長していった際にも恩恵を受けやすい構造があります。
CNNやCNBC、WSJ等米有力メディアに多数登場し、グローバルファイナンシャルスクール講師でもあるペンシルバニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授は「株式投資の未来」という著作の中で、「2070年以降にはGDPの7割前後をアジアの新興国や主に南半球の新興国であるグローバルサウスと言われる国々が占める」と予想しております。
GDPがそのまま株式市場の時価総額ではありませんが影響力は小さくありません。
もしも、上記のような未来になった場合、新興国株式の上昇が予想されます。
反面、米国の比率が約6割と高いので、長期的な将来、米国株式が過去30年のように高いパフォーマンスを発揮した場合もその恩恵を一定程度受けることが可能です。
オルカンのメリット:低コスト
S&P500に比較して、信託報酬のコストが安いです。
信託報酬は下記のとおりです。
eMAXISSlim全世界株式(オール・カントリー) :0.05775%
eMAXISSlim米国株式(S&P500):0.09372%
信託報酬は無料の投資信託はありませんし、長期で保有する場合のコストになるので、できるだけ安いほうがよいでしょう。
メリットに対して、デメリットは下記です。
オルカンのデメリット
- 構成比率6割がアメリカ
オルカンのデメリット:構成比率6割前後がアメリカ
現状、オルカンの構成比率の6割前後がアメリカです。
つまり、米国株が下落する際は、オルカンもその影響を受けやすくなるため、リスク分散があまりきかないという点がデメリットとしてあげられます。
オルカン・S&P500のメリット・デメリットもわかりました。どちらにするかあなたは決まりましたか。
次の章ではオルカンとS&P500の非確実について説明していますので、選択の基準としてこちらも読んでいただき考えてみてください。
オルカン・S&P500のどっちがよい?6つの比較軸
ここではS&P500とオルカンの主な比較軸を説明します。
比較軸 | オルカン | S&P500 |
過去のリターン | 約1.74倍 | 約1.96倍 |
対象国 | 47カ国 | アメリカ |
過去のリターン
リターンはリスクと表裏ですが、S&P500、オルカンで、リターンで少し差があります。
下記は目論見書記載の2018年7月3日(設定日)~2023年4月28日でのデータです。
オルカン:約1.74倍
オルカン:約1.01兆円
出展:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)目論見書
出展:オルカン 目論見書eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)目論見書
この数字を見てみると、S&P500のほうがオルカンより高めなので、S&P500のほうが良さそうだと感じます。
対象国
S&P500はアメリカの株式が対象となることから、アメリカのみが対象国です。
オルカンについては、前章でアメリカの比率が6割前後といいましたが、国の数としては47か国に分散されております。
構成比率
先述のようにオルカンについては構成比率の約6割がアメリカです。
構成比率の全体の約80%を上位10カ国でしめております。
引用:eMAXISSlim 全世界株式(オール・カントリー)
アメリカ以外の主な割合を占める国は
・日本約5.5%
・中国約3.2%
・イギリス約3.7%
・フランス約2.9%
となっています。
シャープレシオ
シャープレシオとはリスクを取って運用した場合、安全資産(リスクがゼロである資産)から得られる収益(リターン)をどの程度上回ったのか、比較できるようにした指標です。
簡単にいいかえますと、取ったリスクに対して、どれだけ効率的にリターンをあげられるかを示すものです。
出展:日経eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
見ていただくとわかる通り、このシャープレシオについては実はS&P500とオルカン・インデックスでそれほど差はありません。
相関係数
S&P500とオルカンは相関係数が極めて高いことで有名です。
相関係数とは二つの変数の関係性の強さを示す数値で、+1に近いほど、連動性が高く、−1に近いほど、連動性が低いことを示します。
S&P500とオルカンは大体どの時期でも相関係数が+0.96以上※1を示しており、ほとんど同じような値動きをします。
※1比較可能な2018/10/31~2023/08/04の基準価額の相関係数
本来、分散投資の分散とは異なる値動きになるものを複数以上保有することで、リスクを打ち消し合う趣旨がありますが、S&P500とオルカンはどちらとも同じような値動きになるため、分散して買ったとしても、リスク分散にはならないことを意味します。
上記から、S&P500とオルカンを分散して積立や一括投資をすることはあまり意味がないと考えられますが、それでもS&P500とオルカンを分散して積立や一括投資をしたい場合は「米国株の比率」を考えるとよいでしょう。
人口ボーナス期
一般に、⼈⼝ボーナス期には、豊富な労働力により高い経済成長が見込めます。
それにより、株価は上昇基調が続く傾向があります。
人口ボーナスとは、働き手である生産年齢人口(15歳以上65歳未満)がその他の人口の2倍以上ある期間のことをいいます。
オルカンを構成している新興国の中には人口ボーナス期の国もあります。
働き盛りの現役世代が高齢者や学生よりも多い場合、現役世代に仕事さえあれば、収入増→消費→経済が潤うという好循環が見受けられます。
人口ボーナス期の日本での株価パフォーマンスは下記です。
日経平均
1949年5月16日176円21銭
1989年年末大納会3万8915円87銭
人口ボーナス期に入っている国で人口規模が大きい国はインドと言われています。
インドもオルカンの構成国の1つです。
上記をみていただくとわかるように日本は生産年齢人口が減っていっています。アメリカでは2010年代に人口ボーナス期は終了し、人種や所得階層間での分断が問題視されていますが、依然として、総人口と生産年齢人口が増加し続けています。
以上の6つの比較軸は、他の商品選びの際にも参考になると思いますので、ぜひ活用してみてください。
また、投資の知識を勉強することで、銘柄選びの判断軸が持てるようになったという方は私たちの運営する投資スクールGFSの生徒さんにも多くいらっしゃいます。
生徒さんの体験談を紹介しますので、ぜひこちらもお読みいただけると幸いです。
講義で「どのような視点で銘柄を選び、どのタイミングで投資をすれば勝率が上げられるか」を理解できるようになり、今はそれを地道に実践しています。
その結果、約230万投資し、170万ほどの利益がでました。
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自己流投資で失敗し、GFSで学び始めて100万円以上の利益をだした50代男性
オルカン・S&P500で『一括投資』と『積み立て投資』ならどちらがいい?
「オルカンとS&P500のどちらが良いかはここまでの情報で選べた!
けど、今度は一括投資か積立か迷ってる」
そんな人のために、オルカン・S&P500で一括投資と積み立て投資の何がいいかを説明していきます。
・積立は一括投資よりもリスクは小さくなる反面、リターンも小さくなる
一括投資の場合、買いのタイミング次第では大きな損になる可能性
一括投資の場合、タイミング次第では、数年以上、もしくはもっと長い期間、マイナスになる場合がある点は要注意です。
過去約20年前後だけでも、下記画像の赤枠のITバブル崩壊前の高値付近で一括投資をした人がプラスに転じるまでおよそ8年、緑色の枠のリーマンショック前の高値付近で一括投資をした人はがプラスに転じるまで6年を要しています。
ですので、もしも下落のときに一括投資をした場合、プラスに転じるまで自分の精神が耐えられるかどうかも重要になってきます。
積立は一括投資よりもリスクは小さくなる反面、リターンも小さくなる
積立は一括投資よりもリスクは小さくなる反面、リターンも小さくなります。
観点を変えて言いますと、リスクが小さくなるため、含み損の際でも精神的には一括投資よりもいくぶん余裕が生まれると考えられます。
2003年にバブル後最高値の約4分の1の価格まで暴落した日経平均の例ですが、弊社投資スクールの講師、雨宮京子講師の動画内での試算では「1989年末史上最高値38,915円から毎月1万円積み立てた場合、2016 年末時点で投資元本の324 万円と比べ約 156 万円の利益が出た」そうです。
もしも、史上最高値38,915円で一括投資をした場合、日経平均の2016年12月終値は1万9114円のため、マイナス50%前後の含み損になっていたことになります。
積立の方がリターンが低いですが、上記データから一括投資よりもいくぶん余裕が生まれます。
このように積み立てにより、時間を分散することで、過去の事例では暴落の影響を軽減できております。
ここではオルカン・S&P500で一括投資と積み立て投資について、ニッセイ基礎研究所のデータを元に、説明します。
期間:2000年1月~2023年11月まで
投資額:年間投資額12万円を「1月に一括投資した場合」と「毎月1万円つみたて投資した場合」の23年11月末時点の資産額
投資対象:TOPIX、S&P500、MSCI-ACWI(オルカン)の配当込み指数
引用:ニッセイ基礎研究所
上記の画像を見ると次のような順でリターンが高いという結果が出ています。
1位S&P500一括投資
2位S&P積立投資
3位オルカン一括投資
4位オルカン積立投資
データ上、S&P500を1月に一括で投資をするやり方が最も高いリターンを出すという結果です。
注意点としましては先述のようにS&P500の株高の頂点で一括投資をし、その後すぐに暴落した場合、含み損でいる期間が長くなり得る可能性が考えられます。
いかがでしたでしょうか。結論として、何度も申し上げますが、オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても、一括投資、積立いずれも長期で「継続」が重要です。
理由は先述のように、短期では上げ下げがあっても、長期的には株は上昇してきていると考えられるからです。
しかしながら、再度申し上げますが、大手ネット証券の役員の方は「投資信託の積立を2年継続できるのは半分を大きく下回る」とおっしゃっていましたね。
また、株価が順調に上昇しているときは何も問題はないですが、マイナスになっている期間も当然ながらあります。
過去約20年前後だけでもITバブル崩壊前の高値付近で一括投資をした人がプラスに転じるまでおよそ8年、リーマンショック前の高値付近で一括投資をした人はがプラスに転じるまで6年を要しているため、相当な期間、含み損になることもありえます。
これらの点からも、10年から数十年、長期で継続するのは簡単ではありません。
よって、「オルカン・S&P500のどっちを選ぶかよりも、どれだけ長く続けられるか」が長期的な株の上昇の恩恵を受ける上で重要です。
さらに一歩踏み込んで投資を学びたい方には、「GFS監修 投資の達人講座」がおすすめです。
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まとめ
・外貨資産と円建て資産のバランスをとる
・投資の神様と言われるウォーレン・バフェットさんの妻への遺言
・「オルカン・S&P500のどっちがいい?」については、積立、一括投資ともに長期間継続できそうな方を選ぶべき
・オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要な理由①:インフレ
・オルカン・S&P500のどっちを選ぶにしても「継続」が重要な理由②:投資信託の平均保有期間が短いと資産形成ができない
・S&P500のデメリット:①リスクが大きい②国力の長期的な衰退リスク
・オルカンのメリット:①将来、新興国が高成長していった際にも恩恵を受けやすい②低コスト③分配金を再投資してくれる
シャープレシオはオルカン、S&P500であまりかわらない
・オルカンを1月に一括投資をするやり方が3番目に高いリターンを出す
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