ロボットビジネスの最前線、iRobotの米国本社に行って研究開発の現場を取材してきた
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ロボットといえば組み立てラインのアームのような産業用のものか企業のデモンストレーションでダンスを踊ったりするもの、というイメージを覆し、家庭の中から戦場まで実際に人間が活動してる場所に入り込んで作業を行えるロボットを開発、販売しているiRobot社。今回はそんな同社のオフィスに行って開発中の試作機などを撮影することができたので、その詳細をレポートしてみることにします。
iRobot Corporation: Robots that Make a Difference
http://www.irobot.com/us/
iRobotの本社があるのはマサチューセッツ州のBedford。
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会社の前には大きな道路が走っているだけで、それ以外は何も無し。最も近い大都市ボストンからでも移動には車で30分以上かかるという郊外に本社を構えています。
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社屋はこんな感じ。
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朝日を浴びて輝くビル。
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「iRobot」と書かれた看板。
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玄関に向かいます。
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受付に到着。軍事用のロボットを扱う企業でもあるので身元チェックがしっかりとしており、取材に当たってはパスポートの提出などが必要でした。
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今回取材に協力してくれたのはiRobot社の研究開発チームでディレクターを務めるDr.Chris Jones氏。
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彼は現在、主にロボットを人間の生活環境の中に適応させる為の研究をしており、そのためにロボットのアームを人に当たってもけがをさせないように柔らかくしたり、周囲のあるものをカメラで認識できるようにする技術を開発しています。今回はその一部に関連する実機を撮影することができました。なお、いくつかのロボットに関してはアメリカのDARPA(国防高等研究計画局)との契約により外部の人間による撮影が禁止されているため、iRobotが撮影したデモ映像の提供を受けYouTubeにアップしたものを記事中に掲載しています。
◆エアアーム
現在開発中の新技術が、空気で膨らむロボットアーム。
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触ってみるとブニブニとしたゴムボートのような触感で、何かを握るには十分な強度がありながら万が一人とぶつかっても大けがには至らないという絶妙な堅さになっています。
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この部分にいろいろな物を挟むことで持ち運びが可能。
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実際にアームを空気で膨らませてペットボトルを運んだり、アタッシェケースを引きずって動かしている様子は以下のムービーで見られます。
空気で膨らむロボットの腕「エアアーム」が作動する様子 - YouTube
全身がエアアームと同じ構造でできたクモ型ロボットの試作機。
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脚の部分をギュっと握るとブニッとつぶれます。
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このようなエアアームを備えたロボットは人間とぶつかった際の安全性だけでなく、金属製の部品に比べて低コストでの量産が可能な点や容易に大型化できる点で優れているとのこと。理論上は、ピックアップトラックの荷台に置ける程度のサイズで収納してあるロボットを膨らませることで、大型トラック位の大きさにして稼働させることもできるそうです。
また、それほど強度を求めない場合は関節をジッパーで追加して簡単に長さを調節することも可能となっています。
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◆ユニバーサルグリッパー
ゴム製の袋の中にビーズクッションのような素材を詰め、中の空気を出し入れすることでほとんどあらゆる形状の物を持ち上げられるというロボットの手「ユニバーサルグリッパー」。
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写真の左側に写っているのが空気の出し入れを行うポンプユニットで、右側にあるのが手の部分です。
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持ち上げたい対象物に対してギュっと押しつけて空気を抜くことで包み込むようにして握ることが可能。
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実際にドアノブを握って扉を開ける様子は以下のムービーで見られます。
万能のロボットハンド「ユニバーサルグリッパー」でドアを開ける様子 - YouTube
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また、同様の仕組みを応用して膨らんだり縮んだりしながら動き回れるようにしたロボットのデモは以下のムービーでチェックしてみてください。
空気で膨らみ変形する軟体ロボット「JamBots」がグニャグニャと動く様子 - YouTube
◆柔らかいロボットハンド
一般的なロボットアームは金属やプラスチックなど堅い素材でできているものがほとんどですが、パワーのある機械で使用する場合、何かを握ろうとする際に1ミリでも動作がずれると対象物や床、机などを傷つけてしまいかねません。また、強い力が加わった場合、ロボット本体に破損が起こる可能性も高くなってしまいます。
そこで、ロボットハンドにゴムを採用して適度な強度と柔らかさを両立させることで、周囲のものを傷つけたり自分自身が壊れたりすることが無いようにするという研究が行われています。以下のデモムービーでは、ロボットハンドが持った野球のボールをバットで思いっきり叩いても全く壊れることなく動作し続けている様子が見られます。
3本指のロボットアームが持ったボールをバットで打つ強度テストの様子 - YouTube
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◆荒れ地を走るための新型無限軌道の開発
凹凸のある地面やガレキが落ちている場所を走行する際には無限軌道(キャタピラ)を備えたロボットが用いられますが、サスペンションが十分でないとひっくり返ってしまったりバウンドしてしまい、安定した速度で走行することが困難です。そこで開発が進めれているのが、以下のようなサスペンションを内蔵した小型の無限軌道。
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大きな輪で動力を伝え、小さな輪がサスペンションの役割を果たします。
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このような構造はパワフルな内燃機関と金属製の履帯を備えた大型の戦車や工事用車両では一般的ですが、小型のロボットでは小石などが挟まっただけで履帯が止まったり外れたりしてしまうことが多く応用が難しいそうです。
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テスト用のマシンを前から見るとこんな感じ。
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ギュッと手で押すとサスペンションが縮んでいることがわかります。
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実際に荒れ地を走ったりガレキの上を速度を落とさずに走り抜けていく様子は以下のムービーでチェックしてみてください。
不整地走破能力に優れる小型ロボット用無限軌道を備えたマシンのデモ - YouTube
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◆人工知能の研究
iRobot社では人間が人間とコミュニケーションを取る様にロボットともコミュニケーションを取れるようにしたいという目標を持っているそうですが、そのためにはまずロボットが人間のように周囲の環境を認識できるようになる必要があるため、いろいろな物体をカメラで捉えそれが何であるかを理解させる為の技術の開発が進行中です。
人間であれば「この車の向こう側を掃除して」と言われれば車が白くても黒くても小さくても大きくても、あるいはちょっと変わった形状のものであっても理解することができますが、実はロボットに取ってはそれがなかなかの難問。車の前に人が立っていたり、見ている向きが違っているだけでも認識できなくなってしまうなど、なかなか人間のようには物体を把握することができません。以下のムービーではそのような壁を越えるために進められてきた実験の成果として、クルクルと回転する台の上の載った車や馬の模型をあらゆる角度からコンピューターに認識させたり、馬と馬に乗った人間を別々に認識させることができている様子が見られます。
人工知能による物体の認識テストの様子 - YouTube
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というわけで、日本ではロボット掃除機「ルンバ」の印象が強いiRobot社ですが、本社では軍事用から家庭用まで幅広いジャンルの製品が開発されており、ロボットアームから無限軌道、人工知能まで、さまざまな研究を行っているというわけです。
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in 取材, ハードウェア, 動画, Posted by darkhorse_log
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