ドローンが給仕するレストランが登場、導入を決定した単純明快な理由とは?
レストランで顧客の注文を聞いたり料理を席まで運んだりするのが「ウェイター」ですが、とあるレストランでは人間ではなくドローンのウェイターがせっせと料理を運んでいるそうです。
BBC News - Drone waiters to plug Singapore's service staff gap
http://www.bbc.com/news/world-asia-31148450
シンガポールでは現在食事を顧客の元まで運ぶためのウエイターやウエイトレスの数が不足しており、これが大きな問題になっています。そんな中、とある企業が「ドローンをウエイター代わりに使う」ことで人手不足を解消する、という驚くべき施策を打ち出し実行しています。
実際にドローンが料理やドリンクを載せてレストラン内を飛び回る様子は以下のムービーから見られます。
BBC News Drone waiters unveiled in Singapore - YouTube
ドローンをレストラン内のウエイター代わりに使っているのは、シンガポールにあるローカルレストランチェーン店。ドローンが導入されたのは2014年度末のことで、使用しているのはIntelligent Robotics製のものです。ドローンは最大2kgまでの食事やドリンクを載せて飛び回ることが可能で、ビールの大ジョッキやワイン、ピザなども運べます。
実際にレストランで料理を運んでいるドローンが以下のもの。料理を載せて……
テイクオフ。
ドローンに載せられた料理と同じ高さからカメラでムービーを撮影するとこんな感じ。それほど高くないところを飛んでいます。
シンガポールでは国民が国外に移住する数を減らし、外食産業の貴重な労働人員となっていた外国人の低賃金労働者の流入を減らす施策を行っています。また、若いシンガポール人は低賃金で社会的地位も低いとされるサービス業での労働を避けているそうです。こういった背景があるため、シンガポールの外食産業は現在深刻な人員不足が起きているわけです。
人員不足を解消するため、シンガポールのレストランではiPadで注文されたメニューをロボットが調理をしたり、高速料理運搬システムなどの開発が行われています。しかし、実際に「ロボットが作った調理」や「ロボットによる料理の運搬」がレストラン内で行われることは、これまでありませんでした。
そんな中、Intelligent RoboticsのCEOであるJunyang Woon氏は、「ドローンを使うことでレストラン内のスタッフは時間に余裕が生まれるので、顧客とより対話できるようになり、より良い食事体験を提供できるようになる」とコメント。
レストラン内を飛び回るドローンは、人間の頭上くらいの高さを飛んでいるので、ジャンプするとぶつかってしまいそうなくらいの距離感。
しかし、ドローンは、コンピューターにより制御されており、赤外線センサーで誘導されながら決められたルートを飛行しているので安全、とのこと。
さらに、Woon氏によるとIntelligent Robotics製のドローンにはカメラとセンサーが搭載されており、他のドローンや人間にぶつからないようにプログラミングされているそうです。また、ドローンの動翼部分はカバーパーツで覆われており、運悪くぶつかってしまってもケガをしないようにデザインされています。
ドローンを使用しているローカルレストランチェーンのマネージャーEdward Chia氏は、6つのレストランとバーで合計90人の従業員を雇っているそうです。
レストラン内でドローンが料理やドリンクを運ぶのは、調理場からホールまでの間だけ。
実際に料理を顧客の目の前まで運ぶのは現在もウエイターの仕事、とのこと。
シンガポールでは有名レストランや屋台の多くが人員不足や高い賃貸料を支払えなくなって閉店しているそうで、政府統計によれば飲食業界では現在約7000人もの人員が不足しているそうです。シンガポール中で飲食業界の将来を不安視する声があがっているところですが、ドローンが救いの人員不足解消の一手となるのでしょうか。
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