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メモ

なぜ「サイフ」のプロジェクトがKickstarterにはやたらと多いのか?


クラウドファンディングサイトのKickstarterでは、スマートウォッチや、3Dプリンターワイヤレスイヤホンなど多種多様な製品のプロジェクトが展開されていますが、その中でもダントツに多いのが「サイフ」のプロジェクトです。ありきたりな「サイフ」という製品のプロジェクトが多い理由を、Kickstarterのスタッフ自らが分析しています。

Why are there so many wallets on Kickstarter? — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/stories/wallets

Kickstarter上で出資を募集中のプロジェクトは記事執筆時点で4463個あり、そのうちサイフに関わるものは17個で全体の約3%にすぎませんが、Kickstarterのプロジェクトの種類が映画から食べ物まで多岐にわたる中で、17個というのは決して小さい数字ではありません。また、コンパクトなサイフ、革製のお札入れ、柔軟な素材のカードホルダー、カーボンファイバー製のマネークリップ、CNC加工のほどこされた金属製サイフなど、サイフの素材や形は様々。なぜサイフの企画がこんなにも人気なのか非常に気になるところ。


◆モノ作りのスタートとして最適
Kickstarterでデザイン・テクノロジー分野のリーダーを務めているJohn Dimatos氏によると、サイフ作りの企画は、評価よりも得るものが多く、特にモノ作りを学びたい人たちの出発点として最適とのこと。Dimatos氏は、「もしあなたがサイフを作りたいとすれば、サイフ作りの手順を示すことができますか?手順をひとつひとつ並べていけば、製品として完成させるまでの道順が理解できるでしょう」と話しています。

また、Dimatos氏は、サイフのプロジェクトが多いのは、サイフが作りやすい製品であるからではなく、親しみやすい製品であるためだ、と分析しています。サイフはシンプルな構成で、生地を折る、縫い合わせる、もしくはヒモでくくるという単純な設計で、誰もがクリエイターになることが可能です。「最初のプロジェクトをサイフから始めることで、2個目、3個目とだんだんリスクが高く野心的な製品に挑戦することができます。1個目のプロジェクトは小さい製品からとりかかるべきです」とDimatos氏は語ります。


2014年秋に「Yubi wallet」プロジェクトを成功させたデザイナーのStephen Greenberg氏は、2015年春から新しく食品保存容器の収納器具「Stackerware」プロジェクトを開始しました。このプロジェクトはサイフよりも前にアイデアを練っていたものですが、サイフのプロジェクトを先行して行ったことで、「サイフ作りでたくさんのミスを経験してモノ作りの足慣らしをしたことで、前回よりもかなり複雑な企画に取り組むことができた」とサイフ作りの利点を明かしています。


モノ作りの出発点としてサイフを用いているのはKickstarterだけではありません。Stanford’s Hasso Plattner Institute of Design(通称d.school)では、モノ作りに初めて取り組む人向けの90分間のワークショップ「The Wallet Project」が行われていて、ここではクリエイティビティをはたらかせて消費者を満足させる方法を学ぶことができます。ワークショップでサイフを用いている理由は、サイフには人々の日常やニーズに関する情報がたっぷりつまっていて、理想的なテーマだからとのこと。


◆誰でも作ることができる
サイフは単純な作りゆえに無数の可能性があり、これまでモノ作りを経験したことのない人が、モノ作りの世界に飛び込むきっかけとしてちょうどいい規模の製品だとのこと。マネークリップ「Flexy」を企画したMike Sargent氏は、サイフのシンプルさと親しみやすさが、おもしろいデザインのサイフを作ることへの挑戦心に火をつけていると分析。「お札やカードを持ち歩く手段は多種多様であり、カンペキな機能を備えたサイフを作るために時間をかけるのです」とSargent氏は語ります。


Kickstarterのサイフプロジェクトで最も多くの出資金を集めたのは「TGT」というサイフで、これは映画製作者のJack Sutter氏が、自身の使っていたサイフに不満を覚えて、本業の片手間にサイフを自作したというプロジェクトです。TGTは目標額2万ドル(約239万円)に対して31万7424ドル(約3790万円)の出資金を集め、「200~300個作れば十分だろう」というSutter氏の予想とは裏腹に1万3000個のサイフを作ることになりました。このことから、プロのデザイナーでなくともKickstarterでは簡単に出資を募集できることが分かります。


◆常に需要がある
そしてKickstarterでサイフのプロジェクトが多い最大の理由は「人々がサイフを求めているから」だとのこと。サイフ代わりにクリップを使ったり、そもそもサイフを使っていない人たちがいて、そういった人たちにとって出資プランが20ドル(約2400円)前後のサイフは出資しやすいアイテムです。また、「サイフ」という製品は他の企画に比べて身近であるため、企画の趣旨を理解しやすく、既存のサイフとは異なったカンペキなデザインのサイフを求めている人々が出資するわけです。


また、札入れとカードスロットを備えた伝統的な革製のサイフは1940年代~50年代に生まれたもので、現代人の「なるべくモノを持ち歩かずに、最低限の現金とカードだけ持っておく」という風潮に合っておらず、できるだけスリムで軽いサイフへの需要が高まっています。Kickstarter上で展開されているさまざまなサイフプロジェクトは、現代人のニーズを満たしており、生活スタイルに合わせたサイフを求める人からの企画や出資が多いのだと分析されています。「極小サイズのサイフ」「カーボンファイバー製のサイフ」「CNC加工の施されたアルミニウム製のサイフ」などが現代のサイフのトレンドです。


サイフの製作でモノ作りを初めて経験する人にとっても、自分にピッタリのサイフを探し求めている人にとっても、Kickstarterは絶好の舞台となっているわけです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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