「ビットコイン価格の暴騰は仮想通貨『テザー』による買い支えが原因だ」とする疑惑が浮上
by fdecomite
仮想通貨ビットコインの価格は2018年1月初頭の時点で1BTCで200万円を超えていましたが、それからわずか1カ月後の2018年2月6日現在、1BTCの価格は約75万円と、実に60パーセントを超える大幅な下落を記録。ジェットコースターのように乱高下するビットコインの価格について、QUARTZが「ビットコインの価格はさらに40パーセント以上暴落する可能性がある」と記しています。
Bitcoin prices could be 40% lower because Tether propped it up - Quartz
https://qz.com/1196866/bitcoin-prices-could-be-40-lower-because-tether-propped-it-up/
昨年発生したビットコインの異常ともいえる価格上昇の背景には、テザー(Tether)と呼ばれるドルとのペッグ制(連動)をうたったタイプの仮想通貨が関係していると、匿名の報告書は発表しています。テザーはUSDTとも表記され、ドルと連動してドルと同じ価格変動を行うため、ドルの代替としてビットコイン等ほかの仮想通貨取引に利用されています。アメリカなどの数カ国では仮想通貨で仮想通貨を購入する際には税金がかからないため、ビットコインの利益を確定させたい場合にいったんビットコインでドルと連動するテザーを購入することで、持ち主はその時点では課税を逃れることができるのです。これによって一度ビットコイン利益をテザーに移し、また頃合いを見計らってビットコインや他の仮想通貨に投資するという取引が無税で可能という仕組みになっています。
匿名の報告書によれば、2017年の4月から2018年1月までの間に、ビットコインの大手取引所Bitfinexに度々大量のテザーが流入しています。そして大量のテザーがBitfinexに流入してから数時間以内に、この期間中に発生したビットコインの価格上昇の40パーセントが起こっているとのこと。つまり、このレポートは「テザーを発行するTether LimitedとBitfinexが結託してビットコインの価格操縦を行っているのではないか?」と指摘しているのです。2018年1月4日にこのレポートが公表された時点で、1BTCの価格は約1万5000ドル(約160万円)でしたが、40パーセントが価格操縦によるものだとすれば、実際の適正価格は約9000ドル(約100万円)ということになります。
by BTC Keychain
また、米商品先物取引委員会(CFTC)がBitfinexとTether Limitedに召喚状を出したというニュースも流れており、2018年1月末から2018年2月初頭にかけてのビットコイン下落は、テザーとBitfinexそのものに対する不安感が現れたものだと考えられています。
さらに、「発行されているすべてのテザーは実際のドルを裏付けにしたものだ」とテザーを発行するTether Limitedは主張していますが、その裏付けとなる2500億ドルの実在が確認されていません。BitfinexとTether LimitedのCEOは同一人物であるため、「Bitfinexがその気になれば、自由にテザーをBitfinexのホットウォレットに流入させることが可能である」という事実も疑惑に拍車をかける形になっています。
「今回のビットコイン価格暴落によってある程度適正価格に戻ったため、これ以上心配する必要性は低い」と専門家のChris Burniske氏は述べていますが、依然として仮想通貨に投資する場合は慎重に時期を見極める必要があると思われます。
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