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サイエンス

「室温かつ常圧で超電導状態になる物質」を開発したとする論文&ムービーが公開される


韓国の研究チームが「室温かつ常圧での超電導」を実現したとする研究論文をプレプリントサーバーのarXivで公開しました。研究チームは超電導によって磁気浮上が発生する様子を撮影したムービーも公開しています。

The First Room-Temperature Ambient-Pressure Superconductor
https://doi.org/10.48550/arXiv.2307.12008

Superconductor Pb10−xCux(PO4)6O showing levitation at room temperature and atmospheric pressure and mechanism
https://doi.org/10.48550/arXiv.2307.12037

特定の物質を一定の温度まで冷やすと、電気抵抗がゼロの超電導状態となります。超電導には「エネルギーを損失ゼロで伝送できる」「強い磁場を生成できる」といった特徴があり、リニアモーターカーやMRIなど多様な分野で応用されています。しかし、超電導状態を生み出すには物質を極低温状態まで冷却する必要があるため、冷却コストを抑えるために比較的高温でも超電導状態になる物質の開発が進められていました。


これまでに開発された物質では「比較的高温」と言ってもマイナス100度を大きく下回る温度まで冷却する必要がありました。そんな中、韓国の研究機関「Quantum Energy Research Centre」に所属する研究者を中心とする研究チームが「室温かつ常圧での超電導」を実現したとする論文を2023年7月22日に発表しました。

超電導体は外からの磁場を打ち消すように逆向きに磁化する「完全反磁性(マイスナー効果)」を備えています。研究チームは開発した超電導体「LK-99」にマイスナー効果が生じていることを示すムービーを公開しています。

「超電導体の磁気浮上を室温かつ常圧で確認した」とされるムービー - YouTube


コイン型の磁石の上に、超電導体「LK-99」の小片を移動させます。


すると、「LK-99」の片端がフワッと浮き上がりました。


「室温で超電導を実現した」と主張する研究論文は2020年にも別の研究チームによって発表されていました。しかし、2020年に発表された論文では物質を1ギガパスカル(1万バール)という高圧環境下に置く必要があった他、「データが欠如している」といった指摘を受けて発表が撤回される事態に至っています。今回の論文も記事作成時点ではプレプリントサーバーに公開されただけなので、今後の検証結果に注目する必要がありそうです。

なお、2020年に「室温で超電導を実現した」と主張してその後発表を撤回した研究チームは、2023年3月にも「室温で超電導を実現した」とする論文を発表していますが、過去の実績を踏まえて懐疑的な意見が寄せられています。

「室温超伝導」を実現したという画期的な論文が発表されるが研究チームの過去の不正疑惑から疑念の声も - GIGAZINE


・つづき
常温常圧で「超電導」になる物質を合成したとする論文について科学雑誌Scienceが解説 - GIGAZINE

by Julien Bobroff

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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