すべての言語に共通して存在する単語はあるのか?
言語を学習している時につまずくことが多い難しい点として、複数の言語間で同じものを指すのに全然違う音の単語になっていたり、「この言語のこの単語は別の言語でこう訳す」とされているものの正確には同じものを指していなかったり、という言語の複雑さにあります。近い地域で話される言語や同じ由来を持つ言語は似ているため学習しやすいこともありますが、「それでは、全ての言語に共通する単語というものはあるのか?」という質問に対して、言語学習プラットフォームの「Duolingo」が回答しています。
Are Any Words the Same in All Languages?
https://blog.duolingo.com/words-shared-in-all-languages/
外国語を学習するためのプラットフォーム「Duolingo」は、言語学習者専用のアドバイスコラム「Dear Duolingo」で学習者から質問を募っています。Dear Duolingoに寄せられた「私は言語の違いについて読むのが好きです。それとは逆に、全ての言語に共通する単語というものは存在しているのでしょうか?」という質問に対し、Duolingoのシンディ・ブランコ氏が解説しています。
ブランコ氏によると、この質問を受けて7000以上ある全ての言語を調査できたわけではありませんが、数多くの言語を調べた結果として、言語間でパターンの少ない5つの単語と、全ての言語で共通する可能性の高い2つの単語が発見されたとしています。
まず、複数の言語間でも少ないパターンしかない単語として、ブランコ氏は「お茶」を挙げています。「お茶」は、紅茶や緑茶など種類にかかわらず「tea(ティー、テ)」もしくは「chai(チャイ)」に近い音で呼ばれることがほとんどで、そのどちらも昔に東アジアで使われていた言葉に由来するそうです。
また、「パイナップル」は世界中で「ananas(アナナス)」「abacaxi(アバカシ)」という音、もしくは「pine cones(松ぼっくり)」に由来した単語の3パターンに分かれています。「ananas(アナナス)」「abacaxi(アバカシ)」はパイナップルの起源である南米の先住民族が使用する言葉に由来しており、古くは英語でも「ananas」と表記していました。それが、果物の総称として用いられた「apple(リンゴ)」と形が似ている「pine(松)」と組み合わされ「pineapple」と呼ばれるようになりました。ブランコ氏によると、例外として中国語ではこの3パターンのどれでもない単語であるとのこと。
複数の言語間で少ないパターンしかない単語の3つ目は「オレンジ」で、「サンスクリット語の『ナランガ』という木の変種を使用した商人によって普及した」「ポルトガルの商人がより甘いものを普及させた」という2つの歴史により、サンスクリット語に近い単語とポルトガル語に近い単語の2パターンが大多数となっています。加えて、より少数のパターンとして「中国の果物」を意味する「appelsin」に近い言葉も北ヨーロッパやロシア、ウクライナの言語で見られています。
ブランコ氏はさらに、「ほぼ合格ラインに達した2つの単語」として「タクシー」と「トマト」を挙げています。「タクシー」は20世紀初頭に作られたばかりの新しい単語のため、中国語とアイスランド語など一部を除いて、近い音の単語となっているそうです。また「トマト」は多くの言語でナワトル語の「tómatl(トマトル)」に由来していますが、イタリア語の「pomodoro(ポモドーロ)」に近い音の言語もいくつか確認されています。また、中国語ではどちらのパターンでもない「シーホンスゥー」という音になっています。
ブランコ氏が「基本的にどの国でもその単語を使用でき、同じ意味を持つ単語のチャンピオン」として挙げた単語のうち1つが「コーヒー」です。コーヒーは世界中で取引されるようになると同時にアラビア語の「カフワー」という音も同時に採用され、言語によっては「w」の音が「v」や「f」に変化し、近い音の単語として世界中で広まっています。
2つ目の単語は「チョコレート」です。「cocoa(カカオ)」から作られた飲み物を表すナワトル語の単語から派生し、英語では「chocolate」、ドイツ語では「ch」の音を「sh」に置き換えた「Schokolade(ショコラーデ)」、「t」の音で終われない日本語では「o」を追加して「チョコレート」とするなど、言語によって細かく変化しながら共通する音が残っています。
ブランコ氏は「多くの無関係な言語が共有している単語を知るのは楽しいです。今あなたは、地球上のほぼ全ての言語で2つの単語を知っているのです!」と語りつつ、「コーヒーとチョコレートに関しては例外を確認できませんでしたが、私たちの知らないところに例外があるかもしれません」として、例外となる言語を募集しています。
・関連記事
Twitch上では少数言語を存続させるための戦いが繰り広げられている - GIGAZINE
世界にはさまざまな文字が使われていて「人類すごい」と感動すら覚える - GIGAZINE
インターネットユーザー数や母語人口、世界で最も話されている言語は何語か?ということをランキングしてみるとこうなる - GIGAZINE
世界の国々で「2番目に最も使われている言語」は何なのか? - GIGAZINE
Google翻訳の対応言語が100カ国を突破、オンライン人口の99パーセントをカバーに - GIGAZINE
世界の23の主要言語を話者数と使用地域で分類するとこうなる - GIGAZINE
・関連コンテンツ