Redisがライセンスを変更してオープンソースソフトウェアではなくなるもののエンドユーザーには影響なし
データベース管理システム「Redis」の開発を主導するRedis Ltd.が2024年3月20日にRedis 7.4以降のライセンスを従来の三条項BSDライセンス(BSD-3)からRedis Source Available License 2.0(RSALv2)およびServer Side Public License(SSPLv1)のデュアルライセンスに変更すると発表しました。
Redis Adopts Dual Source-Available Licensing | Redis
https://redis.com/blog/redis-adopts-dual-source-available-licensing/
Change license from BSD-3 to dual RSALv2+SSPLv1 by K-Jo · Pull Request #13157 · redis/redis · GitHub
https://github.com/redis/redis/pull/13157
Redisは2009年より開発されているNoSQLデータベースで、インメモリで動作して高速にアクセスできるという特徴があります。最初のリリースよりライセンスにBSD-3を採用するオープンソースソフトウェアでしたが、将来リリース予定のRedis 7.4以降はRSALv2およびSSPLv1のデュアルライセンスでの提供となります。
RSALv2では「ソフトウェアの使用・コピー・配布・利用可能な状態にすること・派生ソフトウェアの作成」が許可されますが、ソフトウェアの商品化やマネージドサービスとして他者に提供することが禁止されます。また、SSPLv1はサービスの一部としてコードを使用した場合にサービス全体のコードを公開する義務が発生するコピーレフト型のライセンスです。
ユーザーは自身の希望に応じてRSALv2およびSSPLv1を選択することが可能で、どちらを選んだ場合でも引き続きRedisのソースコードを無料で使用できます。一方、AWSやGCP、Azureなどのクラウドサービスプロバイダーはライセンスの変更によってRedis製品を無料で使用することができなくなります。
Redisの開発を主導するRedis Ltd.はこれまでBSD-3ライセンスで配布するRedisのことを「Redis OSS」と呼んでいましたが、RSALv2およびSSPLv1はともにオープンソースの定義を満たさないため、ライセンス変更後は「Redis Community Edition」と名称を変更するとのこと。
Redis Ltd.は「Redis開発者コミュニティにとっては何も変わらず、引き続き寛容なライセンスを享受し続けることになる」と従来のオープンソース製品のエンドユーザーには変化が無いことを強調するとともに、「Redis Ltd.やオープンソースコミュニティの努力をクラウドサービスプロバイダーが収益化する」という構造を変更するためにやむを得ずライセンスを切り替えたと述べました。新たなライセンスに違反するかどうかのより具体的な判断についてはブログの下部にQ&A形式で例が記載されているほか、直接問い合わせて確認することも可能です。
ライセンスの変更は従来のBSD-3ライセンスで配布されたRedisについては適用されず、引き続き無期限に使用可能です。また、Redis Community Edition 9.0がリリースされるまでは重要なセキュリティパッチを過去のバージョンのRedisにもBSD-3ライセンスにて適用する予定と述べられています。
なお、オープンソースコミュニティは今回の変更に反発しており、発表から数日もたたないうちにRedictやPlaceHolderKVなどRedis 7.2.4からオープンソースライセンスを継続したフォークが登場しています。
・関連記事
AWSによる「タダ乗り」へのオープンソースコミュニティの対抗策 - GIGAZINE
ライセンス料が10倍に跳ね上がることを理由にCERNがMicrosoft製品からオープンソースソフトウェアへ移行 - GIGAZINE
Amazonがライセンス変更した「Elasticsearch」をフォークしオープンソース版として提供続行することを決定 - GIGAZINE
Terraformのライセンス変更を受けてオープンソース版のフォークとして「OpenTF」の開発が進んでいる - GIGAZINE
Terraformのオープンソース版フォークの名称が「OpenTofu」に決定、Linux Foundation Project化も行われる - GIGAZINE
・関連コンテンツ