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ハードウェア

5カ月にわたって解読不能なデータを送り続けたボイジャー1号の不具合の原因が判明


2023年11月14日、地球から遠く離れた宇宙空間を漂う「ボイジャー1号」が解読不能なデータを地球に送信し始めました。およそ5カ月間にわたり不具合の原因が判明しない状態が続きましたが、ついにNASAが真相の究明に成功したことを明らかにしました。

Engineers Pinpoint Cause of Voyager 1 Issue, Are Working on Solution – Voyager
https://blogs.nasa.gov/voyager/2024/04/04/engineers-pinpoint-cause-of-voyager-1-issue-are-working-on-solution/


NASA knows what knocked Voyager 1 offline, but it will take a while to fix | Ars Technica
https://arstechnica.com/space/2024/04/the-diagnosis-is-in-bad-memory-knocked-nasas-aging-voyager-1-offline/

ボイジャー1号は1977年に打ち上げられた探査機で、記事作成時点で地球から約240億km離れた地点に到達しています。NASAは約45年間かけてボイジャー1号を追跡していますが、2023年にボイジャー1号が解読不能なデータを送信していることを確認しました。


NASAによると、測定値や探査機の動作状況を報告するデータが解読不能になっており、ボイジャー1号が現在どのような状況にあるのかがわからなくなってしまったとのこと。NASAは原因を追究し、不具合発生から間もなく、ボイジャー1号の観測データや動作状況をパッケージングする「フライトデータシステム(FDS)」に不具合があるのではないかと推測するに至ったそうです。

2024年3月、NASAのチームはFDSを管理するメモリの読み出し結果を送信するよう求めるコマンドをボイジャー1号に送信し、その結果を待ちました。その後ボイジャー1号から返ってきたデータにより、FDSのメモリの約3%が破損していて、コンピュータが正常な動作を行えない状態になっていることが判明したとのことです。


こうした結果から、NASAのチームは「FDSメモリの一部を保存する役割を担うチップの一部が機能していないのではないか」と推測しています。数週間から数カ月かかる可能性があるものの、復旧の見込みは残されており、NASAは機能しなくなったチップを使わずにFDSを動作させる方法を模索中です。

不具合が発生した原因を特定するのは容易ではありませんが、記事作成時点で、チップが宇宙からのエネルギー粒子に当たった可能性と、長い年月が経過したことでチップが劣化した可能性が考えられています。

by NASA/JPL-Caltech

2024年2月、ボイジャー計画のプロジェクト・マネージャーであるNASAのスザンヌ・ドッド氏は、今回の不具合について「ボイジャー1号がこれまで直面した中で最も深刻な問題のひとつです」と語っていました。FDSは当時革新的な技術でしたが、それからほぼ半世紀が経過した2024年時点では相当に古くなってしまい、NASAのエンジニアは設計を理解するために紙の文書や設計図を参照しなければならなかったとのことです。

ボイジャー1号は地球から遠い位置にあるため、無線信号を送受信するには片道で約22.5時間を要します。また、ボイジャー1号と通信するためには大型の通信アンテナを使用しなければならないのですが、このアンテナは他の宇宙計画でも使用されており、ボイジャー1号で占有することはできません。こうした事情により、ボイジャー1号を通常の運用に戻すには時間がかかる可能性があるそうです。

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in ハードウェア, Posted by log1p_kr

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