大量の科学者がX(旧Twitter)からBlueskyに移住している
2024年11月前半頃にX(旧Twitter)からBlueskyへ移行するユーザーが急増し、2024年11月20日にはユーザー数が2000万人を超えました。同日には世界最高クラスの権威を持つ学術誌「Science」のウェブサイトに「多くの科学者がXからBlueskyに移住している」という内容の記事が掲載されています。
Like ‘old Twitter’: The scientific community finds a new home on Bluesky | Science | AAAS
https://www.science.org/content/article/old-twitter-scientific-community-finds-new-home-bluesky
以下は、疫学者のAdam Kucharski氏が2023年7月7日に旧Twitter上で実施した「1年後、最も多くの時間を過ごすSNSはどこだと思いますか?」というアンケートの集計結果です。最も多かったのは61.5%の票を獲得したTwitter(現X)で、Blueskyに投票したユーザーはわずか7.5%でした。しかし、記事作成時点ではKucharski氏本人がBlueskyに移住済みなほか、多くの科学者がBlueskyのアカウントを作成しています。
Where (if any) do you think you'll be spending most time one year from now?
— Adam Kucharski (@adamjkucharski) July 6, 2023
科学者とSNSの関係に詳しいMike Young氏によると、2024年8月時点で「Bluesky上で30人以上の科学者にフォローされている科学者」は約2万人だったものの、2024年11月に「Bluesky上で40人以上の科学者にフォローされている科学者」を調べた結果約4万人に増加していたとのこと。さらに、Young氏は「現時点(分析から約1週間後)では倍に増えている可能性もあります」と述べています。
Young氏によると、科学者たちは「昔のTwitter」を求めてBlueskyに移住しているとのこと。「昔のTwitter」とは「科学者同士が対話できる」「論文を投稿して議論できる」「研究成果を一般向けに公開するためのハブとなる」「タイムラインを眺めるだけで話題の論文を把握できる」といった役割を果たしていた頃の旧Twitterを指します。裏を返せば、現Xでは上記の利用方法が困難になっているというわけです。例えば、テキサス工科大学の気候学者であるKatharine Hayhoe氏は「イーロン・マスク氏によるTwitterの買収から2カ月で、アルゴリズムが『気候に関する事実に基づいた投稿をする人』にとって不利に働くようになりました」と述べ、事実に基づいた議論が困難な状態になってしまったと指摘しています。
Xからの移住先としてはBluesky以外にMastodonやThreadsなども存在しています。しかし、Mastodonに移行した科学者を追跡した調査によると、毎月10%~20%の科学者がMastodonを離れていたとのこと。調査を実施したSarah Rajtmajer氏は「Xには科学者の広大なネットワークが構築されています。科学者はネットワークの動向を見逃したくなかったのです」と述べています。
他のSNSと異なり、Blueskyでは「科学者があまり活動せずとも多くのフォロワーを獲得できる」という状況が発生しているそうです。SNS間のユーザー移住について研究しているUjun Jeong氏は「興味深いことに、Xで大きな存在を示している科学者ほど、Blueskyへの移行を望んでいました。また、Blueskyで存在感を確立したユーザーはXとBlueskyの両方で活動を続ける傾向にありました。これにより、Bluesky上に科学者のコミュニティが形成された可能性があります」と述べています。また、Jeong氏は「XとBlueskyの類似性」が科学者の移行を助けているとも指摘しています。
なお、Blueskyには特定の条件で投稿を抽出して並べられる「フィード」という機能が存在しており、科学に関する広範な情報を得られる「Science」や気候学に関する情報を得られる「Climate Science」など多様なフィードが公開されています。
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