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メモ

睡眠中に無意識に性行為してしまう「セクソムニア」とは?


「セクソムニア」は睡眠中に無意識に性行為に及んでしまう睡眠障害です。このセクソムニアにまるわる法的問題などについて、シドニー大学で法学を研究しているクリストファー・ラッジ氏が解説しています。

What is sexsomnia? And how can it be used as a defence in court?
https://theconversation.com/what-is-sexsomnia-and-how-can-it-be-used-as-a-defence-in-court-248756

セクソムニアは睡眠障害の一種で、睡眠中に無意識のうちに性的な接触や性交、自慰行為などに及ぶものです。精神疾患の診断名や診断基準をまとめた「DSM-5」にも2013年の更新で追加されています。

セクソムニアはアルコールの摂取やストレスなどが原因で発症すると報告されています。また、セクソムニアの症例は2020年までに累計116件報告されていますが、「受診するのが恥ずかしい」「セクソムニアを発症していることに気付いていない」といった理由で報告漏れしている患者が存在する可能性もあります。


性的暴行に関する裁判では、セクソムニアを理由に被告人が無罪を主張することもあります。例えば、2025年1月には「自宅で女性に対して同意のない性行為に及んだ」として起訴された男性の裁判がオーストラリアで実施されましたが、男性がセクソムニアを患っており意識のない状態で行為に及んだとして無罪が言い渡されました。この裁判では男性がセクソムニアを患っていることは事実として扱われ、事件当時に男性に意識があったのか否かが争点となったそうです。

Man with ‘sexsomnia’ not guilty of raping woman after judge warns jury in Sydney trial | Australia news | The Guardian
https://www.theguardian.com/australia-news/2025/jan/30/timothy-malcolm-rowland-sexsomnia-not-guilty-rape-sydney-ntwnfb


ラッジ氏によると、セクソムニアは法的には「精神の一時的な機能不全」として扱われており、仮にセクソムニアが「精神障害」であることが立証されると被告人が無罪を勝ち取ることは難しくなるとのこと。オーストラリアでは精神障害を患った人が罪を犯した場合は無罪判決を下すのではなくメンタルヘルス法廷に送致するそうです。

実際に2022年にはセクソムニアを「精神の一時的な機能不全」ではなく「精神障害」とみなすように求める裁判がオーストラリアで実施されましたが、原告はセクソムニアが精神障害であることを立証できませんでした。この裁判では、一部の判事が「メンタルヘルスに関する新法の目的は公衆の安全を守ることである」としてセクソムニアが法的に精神障害と見なせると主張したものの、「人間は眠っている際に意思を持つことができず、関連法に照らし合せるとセクソムニアは精神障害とはみなせない」という主張が多数派を占めていました。

一方で、カナダではセクソムニアが法的に精神障害とみなされており、セクソムニアを理由に完全な無罪判決が下されることはなく、被告人は精神衛生審査の対象となります。


ラッジ氏は「深刻で暴力的な性的暴行事件の弁護としてセクソムニアを利用するケースが増えていることは懸念するべき事象です。セクソムニアに関するさらなる研究と注意が求められます」とコメントしています。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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