デザートなら入る「別腹」の存在を科学者が証明
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もう食べられないほど満腹だったのに、いざデザートを前にしたらぺろりと平らげてしまったという経験がある人は多いはず。エサをたらふく食べたマウスに追加でデザートを与える実験により、脳には満腹時に甘いものを食べたときのみ快感物質を放出する「デザート胃(別腹)領域」があることがわかりました。同様のメカニズムが人間の脳にもあることから、研究者らはこの発見が過食や肥満を防ぐ薬や治療法の開発につながるのではないかと期待しています。
Thalamic opioids from POMC satiety neurons switch on sugar appetite | Science
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adp1510
"Dessert stomach" finally found in the brain
https://newatlas.com/biology/dessert-stomach-brain-sugar/
So THAT's why you always have room for pudding! Scientists prove 'dessert stomach' is real | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-14394303/Scientists-prove-dessert-stomach-real.html
Why we may crave dessert even when we are full from dinner | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2468346-why-we-may-crave-dessert-even-when-we-are-full-from-dinner/
マックス・プランク代謝研究所のヘニング・フェンセラウ氏らの研究チームは、2025年2月13日に科学誌・Scienceに掲載された論文で、糖分を多く含んだ食べ物に対するマウスの反応を調べた研究結果を報告しました。
この実験では、まずマウスに糖質が3%しか含まれていないペレットを与え、90分以上かけてマウスが満腹になるまで食事をさせました。そして、満腹になったマウスに通常のペレットか、糖質が35%含まれた甘くておいしいおやつのペレットを追加で与えて、30分間のデザートタイムにおけるマウスの摂食行動を観察しました。
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その結果、高糖質食のペレットを与えられたマウスは、通常のペレットを与えられたマウスの6倍のカロリーを摂取したことがわかりました。つまり、マウスにも甘いものが入る別腹があることが確認されました。
論文の責任著者であるフェンセラウ氏は「進化論的な観点からすると、これは理にかなっています。糖分は速やかにエネルギーを与えてくれますが、自然界では希少なので、脳は砂糖が手に入る時はいつでもその摂取量をコントロールするようプログラムされているのです」と話しました。
さらに、研究チームが甘いデザートを与えられたマウスの脳を調べたところ、視床下部にあるプロオピオメラノコルチン(POMC)ニューロンが活性化していることがわかりました。
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POMCニューロンは一般的に、食後に活性化して食べ過ぎを抑える働きをしています。ところが、食後のデザートを目にしたマウスの脳内では、POMCニューロンが満腹信号を発信すると同時に、隣にある視床室傍核(PVT)という領域にも信号を送り、快楽物質のエンドルフィンを放出させていました。
研究チームは、この脳の領域を「別腹領域」と呼んでいます。また、快楽物質の分泌によりマウスに限界を超えて甘いものを食べさせるメカニズムは「オピオイド経路」と呼ばれています。
脳のオピオイド経路はマウスが甘いものを摂取したときに活性化しましたが、通常の食べ物や脂肪分が多い食べ物では活性化しませんでした。また、研究者らがマウスのオピオイド経路を遮断してみたところ、満腹のマウスはそれ以上糖分を摂取しなくなりましたが、興味深いことに空腹のマウスではエンドルフィンの放出を抑制する効果はありませんでした。
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フェンセラウ氏は「満腹感をもたらすことで有名なこの種の細胞は、砂糖への欲求を引き起こす信号も放出します。特に、満腹状態ではその傾向が強まります。人間が、本当は満腹なのに砂糖を過剰に摂取する理由も、これで説明がつきます」と説明しました。
実際に人間の脳でも同じ仕組みが働いているのかどうかを調べるため、研究チームは30人のボランティアを募って、MRIスキャンをしつつ砂糖入りドリンクを飲んでもらいました。
すると、マウスと同様に人間の脳にも「別腹領域」があり、POMCニューロンの近くにオピオイド受容体が存在していることが確かめられました。これは、今回見つかったメカニズムを遮断することが食べ過ぎや肥満を抑制する新しい手法になることを示唆しています。
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実際に、光の信号で脳のニューロンを刺激するオプトジェネティクスという手法でPOMCニューロンを活性化させると、マウスは砂糖が含まれていなくても、チェリーやレモンの風味がするペレットをより多く消費しました。これは、マウスがもっと何かを食べたいと感じたことを示しています。また、POMCニューロンからPVTに送られる信号をブロックすると、逆にデザートの摂取量が40%減少することも確かめられました。
フェンセラウ氏は「脳内のオピオイド受容体をブロックする薬はもうありますが、食欲を抑制する注射よりも体重が減りません。ですから、そのような薬と食欲抑制注射や他の治療法と組み合わせると非常に有効だと考えています。しかし、それを確かめるにはさらなる研究が必要です」と話しました。
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in サイエンス, 食, Posted by log1l_ks
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