相模原市制施行70周年記念イベント「さがみはらキーボードフェス2024」で未来のプログラマーたちに出会う
2024年12月15日に、相模原市は「さがみはらキーボードフェス2024」を相模原市立産業会館で開催しました。これは市制施行70周年記念と、市内でPFU HHKBシリーズや東プレ REALFORCEといった高級キーボードの2大ブランドが生産されていることを広く周知するためのイベントで、同市としては初の試み。PFU、東プレの協力のもと、相模原市が主催したイベントです。
多目的ホールでは午前中にタイピング大会、午後にeスポーツイベントが開催され、地下の多目的室やOA研修室では両メーカーの各種キーボード展示、初心者向けプログラミング教室が午前午後を通じて行われました。
さがみはらキーボードフェス2024は、いったいどんなイベントだったのでしょうか。タイピング大会の様子を中心に紹介します。
総勢79人が参加したタイピング大会
市内在住の小中学生限定で募集したタイピング大会は、事前に申し込みのあった79人が参加しました。
会場のステージには左右に4セットずつ、計8セットのPCとディスプレイ、そしてHHKBが用意され、1グループ8人、全10グループの各参加者がその腕を競います。
競技に利用したタイピング計測アプリは「タイピング速度測定」(通称:タイ速)です。このアプリでは、30秒の間に次々とお題を表示し、打鍵数、文字数、ミス数、毎秒の平均入力打鍵数、1秒間の最高打鍵数を測定します。
本タイピング大会のルールは次のようなものでした。予選ではタイ速を使った計測を1回だけ行います。つまり持ち時間は30秒間です。
ニックネームの設定など準備をしたらタイ速で試合(計測)をしてもらい、タイ速側にエラーなどがないことを確認してから降壇してもらいます。その後、計測結果の発表を待ってから次のグループが登壇、準備ができ次第、計測をするということを繰り返します。
全10グループの計測が終わったところで、参加者全員の中から上位8人が決勝戦に進みます。そして、3回計測し、最も優秀な成績を残した人が優勝となります。
タイピング大会では、eスポーツ大会さながらの実況中継も行われました。担当したのはゲームキャスターの長谷川優貴さんです。
予選であっても、参加者の皆さんは腕に自信のある人たちばかり。大人顔負けのスピードでキーを叩いていきます。
試合の合間にHHKBブースへGo
予選に出場した参加者は、決勝戦前の練習に、地下の多目的室にあるHHKBの試し打ちができると聞くと、「HHKBが下にあるってさ」「えっ、HHKBで練習できるの?」と誘い合って地下へと向かっていきました。
小学生の口からHHKBという単語が出てくることに、関係者として少し感動ものです。
そのHHKBブースでは、タイピング練習ソフト「寿司打」のプレイをHHKBで行えます。
小学生の手に、HHKBは大きすぎないかという大人たちの不安をよそに、皆さん、問題なく次々と課題をクリアしていました。
HHKBブースでは、寿司打のほか、「無刻印チャレンジ」も開催されていました。これは、真っ白な雪モデル無刻印を使い、1度の入力ミスなく例題を入力できたら景品がもらえるというものです。
1度でもミスをするとそこで終了。キートップに何も文字のないキーボードに戸惑いつつ、列ができるほど多くの来場者が自分の感覚を信じてチャレンジしていました。
優勝者のタイピング速度に驚き
いよいよタイピング大会の決勝戦が始まりました。ステージに上って準備の終わった参加者に、石川さんや長谷川さんがインタビューをしていきます。
予選でS+7、平均打鍵速度毎秒10.7という記録が出たのを知って、「自分も速いほうだと思っていたけど、すごい人もいるんだなぁと驚きました」と答える人もいましたが、ほとんどの参加者は「勝つために来ました!」「それでも優勝目指して頑張ります」と意気込みを語ってくれました。
試合が始まると、会場のスクリーンには入力画面と手元のライブ映像が映し出されます。キーボードを叩く指の速さに、観覧席のあちこちから「うわぁ」という小さな声が漏れていました。
3回の計測を終え、ステージ上の参加者も、観覧席にいる人たちも見守る中、結果が発表されました。
なんと、ランク「S+10」、打鍵数368、平均入力打鍵数毎秒12.3、1秒間の瞬間最高打鍵数16の“ゆうま”さんが優勝しました。優勝者インタビューに応じたゆうまさんは、「緊張はあったものの、大会に向けてタイ速で練習し、お題に慣れていたこと、また自分の実力を出す方法を思い出して緊張を乗り越えられた。優勝できて良かった」と語ってくれました。
優勝したゆうまさんには、なんと東プレREALFORCEシリーズの「GX1 Keyboard / X1UC11」(以下、GX1 Keyboard)が贈呈されました。GX1 Keyboardは、静電容量無接点方式の東プレスイッチを使った、静音タイプの高級キーボードです。HHKB同様、1列ごとにキーの高さや傾斜が異なるステップスカルプチャー方式を採用しているので、最小限の指の動きで高速入力を行えます。
→参考:キーキャップのプロファイルと種類・印字方法について解説
また、優勝を逃したものの決勝戦に進んだ選手たち全員が、予選より決勝でタイピング速度が平均30.25も上がっていました。平均打鍵数では毎秒1.025回のアップです。休憩のわずかな時間も練習に充てた成果でしょうか。これからもきっとメキメキと腕を上げていくのでしょうね。
eスポーツ大会では『FORTNITE』Chapter 6『鬼ノ島』で対戦
午後にはゲストにeスポーツプロチーム所属のChiffon選手と元プロ選手で現在はストリーマー(ゲーム実況などの配信者)として活躍しているくららさんが登場し、まずはChiffon選手のエキシビションを観戦。圧倒的な強さに、実況中継を午前に引き続き行っていた長谷川さんも興奮気味です。
さがみはらキーボードフェス 2024内eスポーツ大会でのプレイタイトルは『FORTNITE』。その中でも配信が始まったばかりのChapter 6 Season 1『鬼ノ島』が戦いの場面として選ばれました。
簡単なルール説明の後、通常10回プレイするところ、3回という短期で8人の参加者に試合をしてもらいます。
試合が進むにつれ、実況席にいる長谷川さん、Chiffon選手、くららさんの目がスクリーンに釘付けに。
あっという間に終わってしまいましたが、会場にいる人たちはeスポーツ大会の雰囲気を味わっていました。
激レアな「さがみんモデル REALFORCE キーボード」も展示した多目的室
多目的室に戻りましょう。ここでは両サイドにHHKBブースが、手前には東プレ REALFORCEブースが、奥には小学生の手がけたプログラミング作品が展示されていました。
東プレ REALFORCEブースでは、相模原市マスコットキャラクター「さがみん」をデザインした非売品の激レア「さがみんモデル REALFORCEキーボード」や、ゲームに最適なGX1 Keyboardを展示していました。
小学生によるプログラミング作品は、Scratchを用いたもの。最優秀作品、特別賞、デザイン賞などが展示されており、同年代の人が作ったゲームを来場者たちが思い思いに楽しんでいました。
隣のOA研修室では初心者向けプログラミング教室が開催されていました。なんと1時間ほどでサッカーのPKゲームを作るという内容で、午前午後とも盛況でした。
高級キーボードのうち2大ブランドを市内で生産している相模原市。2020年2月にふるさと納税返礼品に採用されたREALFORCEは、2021年度の寄付金額・件数ともにトップと大人気。2024年2月にはHHKBも追加され、今後の動向に注目したいところです。
いずれにせよ、「キーボードを制する者はPCをも制する」と昔からいわれているように、キーボードと親しむことはその後のITリテラシーなどにも大きく影響してきます。
今回のさがみはらキーボードフェス 2024では、多くの小中学生が華麗なキーボードさばきを見せてくれました。きっとここから優秀なプログラマーやeスポーツ選手が誕生するのだろうな、と期待感の持てるイベントでした。
執筆者
渡辺まりか
通電するガジェットをこよなく愛するフリーランスライター。馬が好きで乗馬ライセンスを、海が好きで二級小型船舶操縦士免許を、昔からのあこがれで普通二輪免許を取得するなど多趣味。物欲を抑えつつ、編み物をライフワークとするなどアナログな一面もある。