8月10日、9時半を回った時に、小さな集落には不釣り合いの大型バスが留まり、リックを背負った富山の町の子どもたちがやって来た。「わかば学童クラブ」の小1年生から小3年生の子どもたちと先生との総勢40名だ。富山県は高い岳に囲まれているが、最近は里山という自然林で遊ぶ子たちはほとんど見かけない。おそらくこの町の子たちもそうであろう。どんなことになるのか楽しみだ。
「平林里山整備の会」のおおば会長は、歓迎のあいさつの言葉に「ここは公園林ではありません。野生の生きものの棲む森です。道も土のままで狭くて滑りやすいです。危険がいっぱいあります。自分で自分をまもるしかありません。いいですか!では出発します。」と付けくわえた。
最初に向かったのは、水辺の生きものの生態系維持のためにこしらえた丸い池です。水生動物が生息できるように水の流れを整備した場所をビオトープといいます。この池はおおば会長がスコップ一つで、一カ月かけて造りました。今ではメダカ、イモリ、トノサマガエル、ツチガエル、アメンボ、ヤゴなどが棲んでいます。また、5月はモリアオガエルの産卵場所になります。
子どもたちは、メダカやイモリ、カエルなどを見つけようと眼を輝かせていました。
遊歩道を上りはじめると、すくに大きな杉が出迎えてくれます。胴回り4メートルの天然杉です。大きな天然杉は磊山(らいざん)にしか育ちません。下に岩盤がないと大樹を支えきれないのです。これから登る山は岩山であることをこの天然杉は教えてくれています。
天然杉に別れを告げると、小径は急な登りになります。尾根迄100メートルほどですが、汗びっしょりで、息をハアハアさせて登ります。滑りやすくみんな真剣です。
顔を真っ赤にし大粒の汗をかきながら尾根に出ました。もうこれ以上登ることはありません。ここで休憩して麦茶を飲みました。
休憩が終わると下りの難所がまっています。崖に足を置く凹が交互につけてあります。滑り落ちてきた子を受け止めようと、下で先生が身構えていました。
お尻や膝に泥をつけた子はいましたが、全員ケガもなく下山しました。
ともやんの家につきました。ここは昔の農家の家で広いから、40人くらい入って余裕です。朝から冷房を入れておきました。みんな、汗だく、泥んこになった山行きの服を脱ぎ、夏の軽装に着替えました。それから先生とのお食事会です。食事がすんだたら、外でめいめい遊んですごすことになりました。
みんなの来るのを知って平林の区長さんが歓迎の挨拶と共に、冷えたスイカを届けてくださいました。それをみんな腹いっぱいに食べました。
それから、しばらく、風車づくりや蝉とりなどに中に過ごし、午後2時半に「泊まりたい」「あすも来たい」という思いを伝えて、大型観光バスに乗り込んで行きました。
おおば会長も、私も、「ひらりんの森」に新鮮な体験ができるよう汗をかいてきました。しかし、それはさほど重要なことではありません。小さな子供のころ、子どもたちは脱皮を繰り返すようにして成長していきます。その脱皮の切っ掛けになることに出会ってくれていたら、うれしいと思います。
先生から、子どもたちに体験日記のようなものを書かせてみようかという話も聞きました。今後の活動に参考にしたいので、出来れば見せてくださいませんか、とお願いしました。
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