この記事は、真冬の北海道横断の旅(5)の続きです。
層雲峡へ
上川駅から、層雲峡行きのバスに乗り込みます。
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上川駅すぐのバス乗り場なのですが、バス停の名前は「上川駅前」ではなく「上川駅前森のテラスバスタッチ」。16時ジャストの発車です。
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海外からの観光客の方がそこそこ乗ってはいましたが、観光地に向かうバス車内としては空いているなと思いました。
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バスは山道を走り、高度を上げていきます。類にもれず、途中の停留所での乗降などはほとんどありません。いや、途中の停留所で降りたら命の危険がありそうです。
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16時30分、バスは層雲峡に到着です。ここでの気温はマイナス14度。一気に寒くなりました。
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「層雲峡」は、もちろん渓谷のことです。どの川が作った渓谷かというと、こちらの川、石狩川になります。全国で3位、北海道内で1位の長さを誇る石狩川。なんとなく下流の、石狩平野を穏やかに流れるイメージが強い川に思えますが、上流ではこんな渓谷を作り出していたのです。
まずは層雲峡に1軒だけあるコンビニ・セイコーマートで買い出しをして、ホテルに向かいます。我々のホテルはここからさらに山の上にある「ホテル大雪」。バス停からは遠いですから連絡いただければ宿の送迎車を出しますよ、とホテルの方に言ってもらってはいたのですが、まあ歩きます。
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大雪山・黒岳へ上がるロープウェイ乗り場があります。今は人っこ一人いないどころか、いる気配すらありませんが、紅葉シーズンなどは賑わうのでしょう。
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山道を上がっていきます。ホテルまでは1本道なので迷う心配はありません。
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ホテルに着くとフロントの方が出迎えてくれました。「バス停から歩いてきたんですか?!」と驚かれてしまいました。宿の送迎もあったのですよ、と言ってくれましたが、それも知ってはいたが歩いて来たかったのだ、という旨を伝えました。全然大した距離ではないのですが、雪国の人って短距離でも割とクルマ利用が多いんですよね。
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白老牛
さて、夕飯はバイキングなのですが、ここで問題が一つ。
旅行支援のクーポンが1日2000円ついてくるという話は1日目のところで書きましたが、実は2日目分のクーポン、今日が有効期限なのに、まだ使い切っていないのです。どうにかして使わなければなりません。
そこで目をつけたのがこちら。
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白老牛と言ったら知る人ぞ知るブランド牛です。
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いやあ、これは美味そうです。
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バイキングの肉と並べて撮ってみました。同じ肉とは思えません。バイキング会場は海外からの団体旅行客でかなり混雑していましたから、この肉を取るのだってそこそこ長い列に並ばないといけません。そんな集団を横目に、クーポンの力で並ばずとも白老牛を食べられるのはたまりません。他に頼んでいる人はいませんでしたけどね。まあ、バイキングで有料の追加メニュー頼む人なんていませんよ普通。
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すごいですね。
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まあ、当たり前ですが、とろけるように柔らかく、非常に美味しかったです。
普通だと白老牛の代金は明日のチェックアウト時の支払いになってしまいますが、そこは交渉済み。今日のうちに白老牛の代金だけをクーポンで支払って、今日有効期限を迎えるクーポンは見事消化できました。ミッションクリアです。
でも、このクオリティーで3000円って、結構安いのではないかと思いました。
氷瀑まつり
さて、層雲峡でのメインイベント、層雲峡温泉氷瀑まつりというのが、冬季間開催されています。ホテル大雪から会場まで歩いて行こうかと思っていたのですが、ホテルのロビーに行くとすぐ送迎バスに誘導いただけたので、ここはバスに乗ってまったりいきます。
氷瀑まつりは、「北海道3大冬まつり」の一つにも数えられ、海外の方からも人気の祭りです。
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氷でできた建造物や氷像、写真スポットがたくさんあります。
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幻想的な雰囲気です。
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氷の建物の中は結構広いものが多かったです。歩き回るだけでも楽しいと思います。写真撮影がメインの祭りである印象は受けましたけどね。
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特徴的なのがこれ。建物が氷瀑でできていることがわかります。「氷瀑まつり」という名の通りですね。
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そして会場中央には石狩川が。これも「氷瀑まつり」らしいですね。実際に層雲峡で石狩川に注ぐ滝である銀河の滝と流星の滝は、冬季は凍りつき「本物の」(自然にできた)氷瀑となります。
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この日は花火も上がりました。何気に今回の旅行、2度目の花火です。夏の風物詩の花火を冬に見るのは、しかもマイナス15度以下の環境で見るのは、なかなか新鮮でした。
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チューブスライダーも楽しみます。
氷瀑まつり終了時刻ギリギリまで会場にいましたが、終わった時の気温はマイナス18度でした。皆さんも防寒対策は万全に。
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氷瀑まつり会場からの帰りは、やはり歩いてホテルに戻ります。当然ながら、歩いている人は他に誰もいませんでした。でも道中、星がものすごく綺麗でした。満天の星空でしたよ。
ホテルに戻った後は温泉に入ります。露天風呂では髪の毛が一瞬で凍りました。
マイナス24度の世界とは・・・
時刻は0時すぎ。再び外に出ます。気温がマイナス24度まで下がったので、その極寒の世界がどんなものなのか色々実験をしてみます。
用意したのは、タオル・いちご・バナナ・カップ麺です。まず濡れたタオルは、すぐにカチカチになって・・・
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こうなりました。本当にすぐこうなります。
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せっかくなので、今度はアーチ状にして凍らせました。そして、このアーチ状のタオルの上にスマートフォンを乗せてみました。それでも大丈夫なくらいの強度があります。
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危なげもなく、スマートフォンを薄いタオルが支えています。
バナナとイチゴは一瞬で凍る、ということはありませんが、少し外に置いておくとバナナは金槌のような硬さに。やる気になればバナナで釘を打てるんだろうな、ということはよくわかりました。
そしてメインがこれ。カップ麺です。
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わかりますか。麺を持ち上げたところで麺が凍りつき、そのまま落ちることなく止まっています。箸は全く支えてないですからね。
ちなみにマイナス24度と言っても、箸を持ち上げてすぐには凍りません。しばらく持ち上げた状態でホールドする必要があります。とんでもない寒さの中、しばらく待つ必要があるので、少しばかり忍耐は必要ですが、興味のある方は極寒の地でぜひ試してみてください。
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結構しっかり凍り、箸の上に温度計を乗せてもびくともしません。ちなみにこの温度計はマイナス20度までしか対応していないので、もう温度計としての機能は失っています。まあ、再び暖かいところに持っていけばちゃんと直るはずですが。
そして、合わせ技。先ほどのアーチ状のタオルの上にカップ麺を乗せてみます。
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マイナス24度とは、こういう世界です。なかなか面白かったです。
(つづく)
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