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活況を迎えたバスケットボール Bリーグと地方創生ビジョン

2024年のパリ五輪に日本代表が出場したことも後押しとなり、活況を迎えているのが男子バスケットボールのBリーグです。2023-2024年の入場者数は過去最多を更新しました。2016年の開幕から8シーズン目を迎え、入場者数は開幕時の倍となる450万人を突破、事業規模も当初の196億円から580億円へと成長しています。また国内リーグの選手にとどまらず、アメリカのNBAリーグにおいても八村選手、河村選手が活躍し、強いアイコンとなっています。


2026年からエクスパンション型リーグに移行

投資家としての視点で見ると、Bリーグの最大の魅力は「地方チームの魅力向上」です。地方スポーツと書くと意地の悪さを感じますが、プロ野球もサッカーJリーグも、日本全国にチームが誕生しています。野球は12チームの少数精鋭として(最近新規チームが誕生してはいます)、対するJリーグは熾烈な上位リーグと下位リーグの入れ替えシステムとして、独自の経済圏を確立してきました。


Bリーグはどちらでもなく、「エクスパンション型リーグ」への移行を目指しています。2024年現在はJリーグに近い入れ替え体制ですが、ビジネスとして一定の経営規模を達成したチームを上位リーグに組み込みます。具体的に最上位である「Bリーグ・プレミア」に参画できるチームは以下の条件です。



2024年10月に初回審査が行われ、要求規模を達成した22チームが承認されました。とはいえこの規模を3年連続で維持できない場合は、降格となる厳しいものです。


現在、次段階の上位リーグ参加の認可を見据え、日本各地に新設アリーナが誕生しています。


投資家にとってはコンセンサスとなるのは「強さ」から「成長可能性」へ

Bリーグは地方創生リーグとなることをビジョンとして掲げています。スポーツビジネスに限らず抽象的な掛け声になりやすい「地方創生」という言葉ですが、事業面で一定の基準を示し、その規模感に適ったチームのみ評価する、という姿勢は、チーム間の格差を無くしていくことに繋がります。


投資家にとっては、現在Bリーグのチームは投資先として宝の山です。各チームのスポンサーに限らず、ブランディングや地域活動などで協業している企業などにも対象を広げ、支援するという選択肢が生まれます。


基本的にスポーツビジネスは個人投資家からの投資には馴染みません。チームが勝てばスポンサーが着くものの、負けたり下部リーグ降格となれば離れる懸念があります。一昔に比べて無くなってはきましたが、チーム自体は経営不振なのに親会社の支援で成り立っているチームもいまだ多いです。


2024年現在、Bリーグ全体では55のチームがあります。最上位リーグに現時点で選ばれているチームは22と、まだ全体の半数にも及びません。言い換えれば成功モデルを横目にこれから成長可能性を期待できるチームが全国各地にあるということです。


投資家が投資適性を測るコンセンサスとしても、流動的な強さではなく、財務諸表からもわかる「成長可能性」であることも、投資判断の後押しとなるでしょう。



Bリーグが見据えるアジア枠

Bリーグは2024年6月に、5か年の中期経営計画を出しています。将来図としてアジア枠を設け、韓国・フィリピン・台湾・中国などの選手が1人入れる仕組みをつくることが記載されています。


プロ野球は最近、台湾からの選手が活性化しています。またJリーグは、国内リーグの成績上位チームを対象にACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ)が開催され、国内リーグの外郭円のような形でアジアリーグが成立しています。


Bリーグとはどちらとも異なり、選手個人としてアジア枠を争い、日本国内のリーグを構成していくイメージでしょうか。その先にはバスケットの高いアジア各国と連携したリーグの可能性も見えているのかもしれません。そしていずれは部分的にでもNBAと繋がることになれば、あらたな局面を迎えることでしょう。


いずれにしても10年前には競技団体で「内紛」をしていたバスケットボールが、強いリーダーシップのもとで纏まり、活況を巻き起こすという成功譚を我々は現在進行形で見ています。これは投資家としてではなく、スポーツを愛する日本人として、間違いなく胸の高鳴るものであることは間違いないでしょう。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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