ニュース
フェイクニュース撲滅を目指す、「インターネットメディア協会」設立準備会が発足
業界を超えた連携を視野 ネット媒体、新聞社、出版社など
2018年2月26日 18:33
インターネット上で発信する情報の信頼性を担保するためのガイドラインを制定する業界団体「インターネットメディア協会」(JIMA、仮称)が6月を目処に発足される。加盟団体は、インターネット専業のメディアだけでなく、新聞社や出版社などのメディアやプラットフォームが対象。2月26日には、同協会の設立に向けて準備会が発足された。
JIMAでは、コンテンツプロバイダーやプラットフォームなど、各メディアが参考にすべきガイドラインの発信、シンポジウムの実施により、メディアと、発信する情報の信頼性向上に取り組む。
発起人となるのは、小川一氏(毎日新聞社取締役・編集編成、総合メディア戦略担当)、長田真氏(DIGIDAY日本版編集長)、工藤博司氏(J-CASTニュース編集委員)、阪上大葉氏(現代ビジネス編集長)、竹下隆一郎氏(ハフポスト日本版編集長)、藤村厚夫氏(スマートニュース株式会社執行役員メディア事業開発担当)、古田大輔氏(BuzzFeed Japan創刊編集長)、楊井人文氏(GoHoo編集長)、山田俊浩氏(東洋経済オンライン編集長)。
協会設立段階での参加資格は、インターネット媒体を運営する企業や、媒体の情報提供先となるアグリゲーションサービスなどが対象。有識者などの参加に関しては議論中だとしている。
媒体・情報の質を読者が識別するための“ものさし”を
JIMA設立に至ったのは、2016年に起こった「WELQ問題」のフェイクニュース騒動による影響が大きい。BuzzFeed Japanの古田氏によると、同事件後には、記事の書き方を学んだことがないという相談をインターネット媒体各社から受けており、新聞社やテレビ局からはインターネット上での情報発信に関する相談が寄せられたという。記事の執筆方法や訂正方法は各媒体により異なるため、読者も情報の質を判断するための“ものさし”が存在していない。また、そういった問題に関する議論が日本で行われていないことを準備会では懸念しており、報道に限らずエンターテインメントを含めた情報の正確性を高めるためのガイドライン制定の必要性に迫られたという。
また、個人の書き手でも発信力を持つ時代において、ブログやSNS上でのデマ拡散などが問題視されている。過去には大規模災害時に嘘情報が被災地の混乱を引き起こす事例などもあった。このように、企業や個人を問わず、情報発信者や情報自体の信頼性を判断するためのガイドラインを作ることで、“読者のためになるインターネット”を目指すという。
今後の活動予定としては、正式な協議会を発足させるための事務局の整備や、多様なメディアへの協力の呼び掛けを行っていく。JIMAの法人化については、時間とリソースの問題から現時点では明確には決まっていないとのことだ。